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樹里ちゃん、瑠里がいじめられそうなのを知る

 御徒町樹里は日本有数の大富豪である五反田六郎氏の邸の専属メイドです。


 結局、有栖川倫子と黒川真理沙は五反田邸に残る事になりました。


 いなくなる詐欺が酷いと思う地の文です。


「うるさいわね!」


 痛いところを突いてきた地の文に激ギレする倫子です。


(そう思われても仕方ないなあ)


 それに比べて、真理沙は冷静でした。さすが三十路だと思う地の文です。


「死にたいのですか?」


 笑顔で恐ろしい事を告げた真理沙のせいで、全身の水分がほとんど出てしまった地の文です。




 いつものように、樹里が出勤し、昭和眼鏡男達が役に立たない護衛をして駅に向かってから、長女の瑠里が小学校へと向かいました。


「瑠里、パパがついて行こうか?」


 不甲斐ない父親の杉下左京が言いました。


「やめろ! 夫は我慢するが、父親だけはやめろ!」


 意味がわからない理由で地の文に切れる左京です。


「パパはついてこなくてだいじょうぶだよ」


 笑顔全開であっさりと断る瑠里です。


「そうなんですか」


 左京は引きつり全開で応じました。


「いってらっしゃい、おねえちゃん!」


 次女の冴里が笑顔全開で言いました。


「いってくるね、さーたん、のり!」


 瑠里も笑顔全開で応じました。ベビーカーの三女の乃里も笑顔全開です。


「ワンワン!」


 ゴールデンレトリバーのルーサは、


「何かあったら、すぐに駆けつけるぜ!」


 瑠里を応援しているかのように吠えました。


 瑠里は、まもなく集団登校の一団に合流して、小学校へと歩いて行きました。


「パパ、いくよ!」


 冴里が瑠里をいつまでも見送っているので、ムッとして言いました。


「わかったよお、冴里」


 デレデレして言う左京です。気持ち悪いので降板して欲しいと思う地の文です。


「うるさい!」


 正直な感想を述べただけの地の文に理不尽に切れる左京です。


 


 そして、瑠里達はしばらくして小学校に着きました。


「あっちゃん、またね!」


 皮肉にも、ボーイフレンドの淳とは違うクラスになってしまった瑠里は、名残惜しそうに言いました。


「うん!」


 淳はニコッと笑って、大きく手を振りながら、一年一組の教室に入りました。瑠里は踵を返して、一年四組の教室へと向かいます。


「すぎしたさん」


 そこへ悪役令嬢が現れました。


「誰がお市の方だ!」


 シリーズを間違えた地の文に切れる元美人の女優の竹林由子の娘の咲良です。


「元美人の女優じゃないわよ! 今でも美人の女優の竹林由子よ!」


 どこかで地の文に切れる由子です。


「なんですか、ちくりんさん」


 瑠里は全く悪気なく笑顔全開で樹里直伝の名前ボケをかましました。


「たけばやしよ!」


 言われ慣れているのか、素早く突っ込む咲良です。兄の名は寅次郎でしょうか?


「そのさくらじゃないわよ!」


 続けざまに繰り出される名前ボケを見事に拾って切れる咲良です。


「はっ!」


 我に返ると、すでに瑠里は一年四組の教室に入っていました。


(つぎのやすみじかんにおもいしらせてやるわ!)


 悔しそうに歯噛みする咲良です。芝居がかった仕草が、大根女優の母親に似ていると思う地の文です。


「誰が大根よ! 私は演技派よ!」


 地の文のボケは全部拾うと決めたのか、見事なまでのキレ芸を披露する由子です。


 咲良はプイと顔を背けて、一年二組の教室に入りました。


(ああ、嫌だわ。だから、一年生の担任は引き受けたくなかったのに、学年主任まで任されてしまって……)


 瑠里と咲良のやり取りを柱の陰から見ていたおばさんは思いました。


「おばさんて何ですか! セクハラで訴えますよ!」


 保護者と教育委員会以外には強い内村亜希子先生です。見た目はおばさんですが、実はまだ三十前です。


「余計な事は言わないで!」


 あれこれと口を出したくなってしまう地の文に抗議して、職員室に走っていく内村先生です。


 


 一方、樹里は何事もなく五反田邸に到着しました。眼鏡男達は台詞もなく立ち去りました。


「樹里さん、ちょっといいですか」


 倫子がロビーで待っていて言いました。新しい宗教の勧誘のようです。


「違います!」


 今日はボケを拾ってくれる人が多いので、いつもより多めにボケている地の文です。


「そうなんですか」


 樹里は笑顔全開で応じました。


 倫子は声を低くして、


「実は、瑠里ちゃんがいじめの標的にされているらしいという知らせがありました」


 樹里の耳元で言いました。


「そうなんですか」


 倫子の耳元に囁き返す樹里です。


「ああん……」


 耳が弱点の倫子は十五禁スレスレの声を出しました。倫子は何とか気を取り直して、


「そうじゃなくてですね、私の友人が、瑠里ちゃんの小学校の通学路に住んでいるんですけど」


 危険なのですぐに通報しようと思う地の文です。


「どういう事よ!」


 危機管理意識が高い地の文に切れる倫子です。


「瑠里ちゃんを取り囲むようにして歩いているのを見たらしいんです。とても仲良くしている風には見えなかったそうです」


 倫子は深刻なしわだらけの表情で言いました。


「深刻の修飾対象が変わっちゃうでしょ!」


 言葉遊びが好きな地の文に切れる倫子です。


「そうなんですか」


 樹里は笑顔全開で応じました。倫子は一瞬呆気に取られましたが、


「いいんですか? 瑠里ちゃん、いじめられてしまうかも知れないんですよ?」


 念を押しました。ところが樹里は、


「もし、瑠里が自分で対処できないと思ったら、すぐに私に言うと思います。あの子は強い子ですから、大丈夫ですよ」


 更に笑顔全開で応じました。


「そうなんですか」


 樹里の言葉に思わず樹里の口癖で応じてしまう倫子です。


 続きが見逃せないと思う地の文です。

 

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