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樹里ちゃん、久しぶりに実家で過ごす

 御徒町樹里は日本有数の大富豪である五反田六郎氏の邸の専属メイドです。


 但し、今は産休中(有給休暇)で、実家に帰っています。


 ついでに不甲斐ない夫の杉下左京と離婚をすれば完璧だと思う地の文です。


「何が完璧だ!」


 自宅の居間で浮気真っ最中の左京が地の文に切れました。


「浮気なんかしてねえよ!」


 もう一度キレ芸を披露する左京です。恐らく、某太陽音楽の◯山さんより切れていると思う地の文です。


「そうなんですか」


 樹里はそれにも関わらず、実家の自分の部屋で笑顔全開で応じました。


 その部屋には長女の瑠里と次女の冴里も寝ています。


 広さが十畳あるので、以前、左京と暮らしていたオンボロアパートよりは遥かに快適です。


「いちいち比較するな!」


 更に切れてみせる左京です。今日は絶好調です。


「そんな事言われても全然嬉しくねえよ!」


 褒めたつもりはないのに褒められたと勘違いする自惚れが強い左京です。


 という訳で、本日は、昭和眼鏡男と愉快な仲間達も、保育所の男性職員の皆さんも、そして五反田邸のエロメイドも、警備員の皆さんも出てきません。


「何でよ!? それにエロメイドじゃないわよ!」


 代表して抗議するもう一人のメイドの目黒弥生です。


 弥生は出ませんが、住み込み医師の黒川真理沙は出るかも知れないと思う地の文です。


「どうしてよ! 差別だわ!」


 更に猛抗議する弥生ですが、話題にすら上がらない家庭教師のおばさんよりマシだと思う地の文です。


「それもそうね」


 あっさり納得して抗議を取りやめにした弥生です。


「おばさん言うな!」


 無理矢理登場して、地の文に切れる今年三十二歳になる有栖川倫子です。


「やめてー!」


 実年齢を公表されて血の涙を流す倫子です。


 皆さんのコントも一通りすんだので、話を戻す地の文です。


 


 樹里達が来たので、実家はかなりの大所帯になりました。


 ビッグ◯ディもびっくりの御徒町一家の一日を追う地の文です。


「只今」


 御徒町一族のそっくりぶりには慣れているはずの樹里の姉の夫である竹之内一豊ですが、妻の璃里と長女の実里、次女の阿里の他に、樹里と瑠里と冴里が加わって、ほとんど見分けがつかなくなっています。


「ごめん、実里じゃなくて、瑠里ちゃんだったんだ」


 すると本物の実里が、


「ひどい、パパったら! もう、ママにいいつけるから!」


 プリプリして言いました。


「そうなんですか」


 それに対して、瑠里は笑顔全開で応じるという強烈な個性です。


「あれ、阿里だと思ったら、冴里ちゃんなのか……」


 そっくりさん地獄に迷い込んだような気がする一豊です。


「パパ、プンプン!」


 阿里は往年のアイドルのギャグを真似して怒ってみせました。


「そうなんですか」


 それにも関わらず、冴里は笑顔全開で応じるという反則ネタです。


「あら、一豊さん、お帰りなさい」


 そこへ更に話をややこしくしそうな存在である樹里達の母親である由里が、樹里の年の離れた妹達である三つ子を連れて現れました。


「只今帰りました、お義母さん」


 一豊は若干怯えながら由里に挨拶しました。すると由里は、


「あらん、お義母さんだなんて、他人行儀ね。由里って呼んでって、いつも言ってるでしょ」


 ウィンクして、早速笑えないボケをかましてきます。


「そうなんですか」


 一豊は顔を引きつらせて、樹里の口癖で応じました。


「樹里姉、宿題教えて!」


 するとそこへ、樹里の少し年の離れた妹達がなだれ込んで来ました。


 すぐ下の妹の真里、その一歳下の希里、更にその一歳下の絵里です。


 一豊は頭が混乱してきました。


「そうなんですか」


 笑顔全開で、妹達の宿題を見てあげる優しいお姉さんの樹里です。


「瑠里、さーたん、遊ぼ!」


 真里は笑顔全開で自分とそれ程年が違わない姪達に言いました。


 要するに真里と希里と絵里は、瑠里と冴里にとっては、叔母さんなのです。


「やめてよ、その呼び方は!」


 女性に対してデリカシーの欠片もない地の文に抗議する真里です。


「そうなんですか」


 瑠里と冴里は笑顔全開で応じました。


 しばらくして、璃里が帰宅しました。


「今夜は餃子よ」


 璃里が言うと、


「わーい!」


 子供達が大喜びしました。


「お呼ばれさせてもらってます」


 そこへ登場したのは、樹里の従妹の鶯谷うぐいすだにみどりと従姉の代々木つかさです。


 一豊は臨界点に達してしまったようにクラクラし始めました。


「一豊さん、厨房を手伝ってもらえますか」


 璃里は顔色が悪くなっている夫を気遣い、部屋の外へ連れ出しました。


「よかった、間に合ったみたいね」


 最後に現れたのは、樹里の従姉で、群馬県の女神湖でアルバイトをしていた秋葉原かなえです。


(結構耐性あるつもりだけど、かなりきついな、今日は)


 由里の夫である西村夏彦は嫌な汗をたんまり掻いて思いました。


 


 しばらくして、夕食の時間になりました。


「よおし、毎年恒例の、私はだあれゲーム、開催します!」


 ビールを一リットル飲んでもまだホロ酔いの由里が陽気に宣言しました。


(またそれやるのか? 間違えるとネチネチいびられるから、嫌なんだよな)


 そんな事を夏彦が思っていると、


「はい、今年の一番手は、夏たんね! 頑張ってね!」


 いきなり由里が指名してきました。


「そうなんですか」


 引きつり全開で応じる夏彦です。


 


 めでたし、めでたし。

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