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樹里ちゃん、クイズ番組に出演する(前編)

 御徒町樹里は日本有数の大富豪である五反田六郎氏の邸の専属メイドで、七百八の資格を持つママ女優でもあります。


 今日は樹里は親友の松下(旧姓:船越)なぎさと共にテレビ夕焼のスタジオに来ています。


 よって、今回は、気持ち悪い男達の醜い争いを見なくてすむと思う地の文です。


僭越せんえつながら、観覧席から応援させていただきます」


 得意満面の顔で告げる昭和眼鏡男と愉快な仲間達です。


「私達も応援しています」


 その並びには、何と宿敵である保育所の男性職員の皆さんがいました。


 とうとう免職になったようです。


「違います!」


 不確実な情報に基づく発言をする地の文に切れる男性職員の皆さんです。


 意外な展開に裏切られた感が満点な地の文です。


「そうなんですか」


「そうなんですか」


 樹里と長女の瑠里は笑顔全開で応じました。次女の冴里も笑顔全開です。


 今日は、なぎさが書いた「青い消防車」を原作にした映画の宣伝で、クイズ番組の解答者として二人で出演するのです。


 樹里の初監督作品としてネットなどで注目を集めているので、視聴率を確実に稼げると踏んだ指紋のないプロデューサーが画策したのです。


 どこまでも欲の皮の突っ張った中年狸親父だと思う地の文です。


「誰が徳川家康だ!」


  気の利いた返しができたと思い、ドヤ顔で切れる素人丸出しのプロデューサーです。


「そんなつもりはない!」


 プロデューサーは図星をしっかりと突いて来た地の文に切れました。


「そうなんですか」


「そうなんですか」


 樹里と瑠里は笑顔全開で応じました。冴里は授乳全開です。


 男性陣が色めき立ちます。


「樹里さん、授乳は控え室でお願いします」


 ADの女の子が顔を赤らめて言いました。


「そうなんですか」


 樹里は笑顔全開で応じました。


「瑠里ちゃん、急に大きくなったねえ」


 なぎさが瑠里を見て言いました。前回、冴里と瑠里を間違えたので、その続編のようです。


「うん、おおきくなったよ、なぎたん」


 そんな事情は知らない瑠里は、笑顔全開で応じました。


 それをなぎさの後ろから苦笑いして見ている夫の栄一郎です。


 樹里は冴里を控え室のベビーベッドに寝かせ、瑠里を託児室に預けました。


 瑠里がいなくなったので、ホッとした顔で樹里に近づく中下陽子アナウンサーです。


 先日、瑠里の「おばあちゃん発言」で、一時はアナウンサー生命が危ぶまれましたが、何とか復帰したようです。


「その話には触れないでください!」


 気遣いという言葉を質に入れてしまった地の文に切れる中下アナです。


 決して、雪の女王の妹ではありません。


「樹里さん、なぎささん、本日はよろしくお願い致します」


 心のこもっていない見せかけだけの営業スマイルで言う中下アナです。


「そんな事はありません!」


 真実を述べただけの地の文に切れる中下アナです。


「では、段取りを説明しますね」


 誰もいない空間に向かって怒っている中下アナを放置して、ディレクターが樹里となぎさに解答の手順を説明しました。


「おわかりいただけましたか?」


 ディレクターが尋ねると、なぎさは、


「うん、大丈夫だよ。わかったら、ボタンを押せばいいんだよね」


「そうなんですか」


 樹里は笑顔全開で応じました。


(樹里さんはわかってくれたのかな?)


 ディレクターは笑顔全開の樹里に一抹の不安を感じました。


 むしろ、暴走列車と化す可能性があるなぎさに注意すべきだと思う地の文です。


 


 やがて、他の出演者達もスタジオ入りして、いよいよ本番です。


「ああ! クイズ王の久地原くじはらさんだ」


 なぎさが早速ミーハー全開になります。久地原は樹里となぎさに会釈しました。


「そうなんですか」


 しかし、樹里はマイペースに笑顔全開です。


「それから、答えを間違えてばかりいる岩原いわはら時純ときずみさんだ!」


 そう言われて、ムッとしてなぎさを睨むご本人です。栄一郎は嫌な汗を掻いています。


 他にも続々とテレビでよく見る芸能人達が入って来て、席に着きました。


 樹里となぎさも隣同士の席に着きました。


 クイズは早押し早抜け方式です。本命は久地原ですが、歯車が噛み合うと怖いのが岩原です。


「本番です!」


 ADが告げました。スタジオに緊張が走ります。


「皆様、今晩は」


 司会進行の中下アナとコンビ芸人のうぃんたーずの二人が挨拶しました。


「今は昼間だから、こんにちはだよね?」


 なぎさが小声で樹里に言いましたが、マイクが拾ってしまいました。


「なぎささん、喋らないでください」


 ディレクターが言いました。


「ごめんなさい」


 テヘッと舌を出して謝るなぎさです。栄一郎は項垂れています。


「皆さん、こんばんは。司会のうぃんたーずです」


「アシスタントの中下陽子です」


 中下アナはにこやかに言いました。


「始まりました、新感覚クイズ番組、うぃんたーずのおかげさま、本日が第一回目の放送ですね」


 うぃんたーずの髪の長い方の下柳しもやなぎまことが言いました。


「そうですね。冠番組ですから、気合いが入りますね」


 坊主頭の丸谷まるたに一男かずおが言いました。


「そんな番組にぴったりのゲスト解答者をお呼びしております」


 中下アナが作り笑顔で告げました。


「今回、映画の監督もされる女優の御徒町樹里さんと、作家で女優の松下なぎささんです」


 中下アナは地の文のボケにもえて、続けました。


 すると、いきなりなぎさが解答ボタンを押しました。


 ギョッとする樹里以外の人達です。


「そうなんですか」


 樹里は笑顔全開で応じました。


「コロッセオ」


 いきなり、問題も出されていないのに解答するなぎさです。


 中下アナとディレクターの顔が引きつりました。


(どうして、一問目の答えを知っているんだ?)


 二人は顔を見合わせました。どうやら、付き合っているようです。


「付き合っていません!」


 全力否定の中下アナです。かなり傷ついているディレクターです。


 どうやら、次回に続くらしいと知った地の文です。

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