農業を頑張らなければ!!!
澤村 仁(32) 童貞
これが前世での俺だった気がする。何で死んだかは知らないが気づいたら
ジン(10)
になっていた。なっていたと言うより、憑依と行った方が正しい。ジン君の10歳までの記憶も感覚もちゃんとあるのに自意識は前世の自分なのだ。まだ、憑依して数日だが。
この異世界は魔法はないがスキルはある世界観らしい。
「お〜い、ジン遊ぼうぜ。」
「牛の乳盗みに行こうぜ〜。」
モリーとフィンどちらも土地持ちの農家の4男坊。
小作農の父を持つ俺と同じ境遇で将来大きくなったら、冒険者になるか、猫の額ほどの土地を耕しながら小作農として働くかの二択しかない。
「無理だ。父ちゃんが死んだから畑の手伝いに行かないといけないんだ。」
「え〜。サボればいいじゃん。」
「そうだ〜、そうだ〜。」
「母ちゃんがいるからな。また今度誘ってくれ。」
病弱な母親のために俺死んだ父親に変わり働かなければならない。
(もうちょっと早く、自意識がもとっていればな〜。)
過ぎたことを考えながら1日を終える。
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ザァザァと雨が降る。最高の特訓日和だ。
農民の生活は規則正しい。太陽が出ている日には働き出ていなかったら休み。
つまり、雨の日は休みなのだ。
「ちょうどよさそうな棒があって良かったな。」
ジン君にはこの世界の人間に稀に持っている『オリジナルスキル』なるものを持っている。
なぜこんなことがわかるかと言うと、この村では子供は10歳になると司祭様を呼んでスキルを見てくれるのだ。
「まあ、微妙なんだが。」
『経験値0.5倍、スキル成長度2倍』これが自分の持っているオリジナルスキル。はっきり言って、微妙だ。むしろ弱い。これが逆だったら、どうにでもなっただろうが。
「スキルって言っても分からんからな。」
自分の持っているスキルやレベルは教会に行って、分かるらしいんが、そんなものはこの村にはない。
街に行くための金も教会で調べてくれるための金もない。
なので、今は、なんとなく棒を振っている。
「スキルってどうやったら覚えられるんだ?」
今はとにかく、その日暮らしレベルの生活から抜け出したい。