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幻惑勇者2


次の日


朝起きて昨日の情報をもう一度頭に入れる。


・アゼリアは誰かに付きまとわれている。

・アゼリアに想い人がいる。

・俺を探している人が何人かいる 。

・ブロスはその話を聞いていた。



ヒントはあったが、確信めいた理由はまだ特に分からない。

俺は第2の手がかりとなるであろうパーティーメンバーの手記を見させてもらうことにした。

とは言っても馬鹿正直に

「俺を避けている原因を知りたいので見せてください。」

と言っても見せることはしないだろう。

なのでこっそり見させてもらうことにした。


今の時間帯、ブロスは郊外に出ているはずだ。そのため自室には誰もおらず、侵入することは容易に可能である。


ヘアピンで部屋の鍵を開け中に侵入すると、石畳の床にベッドと1人用の机と椅子が並び、横には大きな本棚があるだけの部屋の中が見える。整理整頓されすぎて生活感はあまり感じなかったが、よく見るとベッドの脇にあるトレーニング器具は使用した形跡があり、ブロスらしい部屋だと感じた。



窓から俺の姿が見えてしまうので窓の向こう側から見える景色は俺が作る幻で見えなくしている。


早速棚にあったブロスの手記を手に取り、中を読んでみる。


✕月1日

今日から勇者様と共に魔王討伐へと向かう。魔王に対して畏怖の心はあるが、何より勇者様と共に戦えることは名誉あることである。この任務をしっかり全うしたい。


相変わらずお堅い文章だ。ブロスは初めて俺に会った時からあまり態度は変わらない。俺を頼ったのも魔王討伐を依頼された時ぐらい。それ以降は、チームで戦うことはあれど基本的には1人で黙々と鍛錬をしているタイプだ。

俺からすると少し取っ付き難い印象ではあったが、尊敬してくれていたみたいだ。


その後、しばらくは鍛錬の内容や魔王討伐に向けての情報を整理していたりと特に原因となるような事は書いてはいなかったが、あるページから少し変わった内容が書かれ始めていた。


✕月28日

最近勇者様は他のパーティーメンバーと交流をよくしてらっしゃる様子。お二方の様子を見ていると少し心配ではありますが、我々の任務は魔王討伐ただ一つ今日もしっかり鍛錬を続けていく所存。


✕月30日

アゼリアから相談を受けましたが、魔王討伐は明日で終わりなのでそれまでは頑張って欲しいとお伝えした。勇者様は真面目で、責任感が強いお方であり、私のことを少しだけライバル視してくださってる様子。明日はついに魔王との決戦なのでパーティーの皆の足を引っ張らないよう精神統一に励むこととする。


どうやら、アゼリアから相談を受けたのは魔王討伐の前日だったようだ。魔王討伐まで頑張るとのことだったので魔王討伐に向けての相談だろうか。この当たりも特に関係は無さそうだ。

しかし、俺が2人と仲良くしてるのを見て何を心配したんだろうか。その辺はまだよく分からないが、もうすぐブロスが帰ってくる時間になるため今日はこの辺りで撤収した。

帽子をかぶったまま家に帰るまでの道を歩いていると途中でアゼリアとマーシャが話しているのが目に入った。どうやら明日、外の国から有名な音楽家が来るらしくその公演に行く約束をしているらしかった。


「 明日の公演楽しみだね!!なんてったってあの有名なイケメン音楽家が来るんだよ!!」


「そうね。私もとっても楽しみなの。でも少し心配が…」


「勇者のこと???あー。あいつ絶対着いてくるっていうもんね。」


「そうなの…。」


「アゼリアも大変だね。大丈夫!!今回は公演後に女子会があるもん!!あいつの入ってくる隙は無いし、アゼリアのことは私がしっかり守ってあげる!!」


「マーシャちゃん...!フフッ。とても心強いわ。ありがとう!」


どうやら俺はここでも邪魔な扱いを受けているらしい。いや恐らく、女子会と称して恋バナ等をする際に俺がいると話しづらいとかだろう。どういう理由であれ実際に避けられているということを本人達の口から聞いてしまい、俺はショックを隠しきれず、うるさい心臓を抑えながら家までの道を早足で歩いた。


公演は全部で3時間。明日はマーシャの手記とアゼリアの手記を見よう。


これで俺が避けられている理由がわかるはず。


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