理想崩れは保守になる
大抵の人間が命乞いをする
自分を可愛いと思って
もっと生きていたいと思って
無様に懇願するのである
その様を見れば
誰もが保守的な人間であることが分かる
革新というものは
自らが殺されようと
頭のネジが外れているように振る舞い
理想と思想と自らが作った論理を
振り撒いているものだ
そこまで出来てこそ
革新と呼ぶに相応しいのである
現代において
全くそれは無い
誰もが自らを守る為に
思いついたことを動いて広め
誰もが自らを守る為に
失敗した者に石を投げている
それで「進んでいる」と
高らかに宣うのだ
自らを守りながら宣うのだ
既に頼れる論理は
保守的なものしか無いのだろう
僕等は
保守的な考えの元
少しの違いの中で
言い争いをしているだけである
それを素晴らしいと言ってみたり
それを下劣だと言ってみたり
狭い中で続けているのだ
理想は崩れ去ればゴミではあるが
その理想を作り直してきたからこそ
意味のある対立であった
たぶん、もう出来ないのだろう
現実世界で
証明されてきたものを前にして
理想は折れてしまっているのである
狭い中の新しいものに
何の意味があるのだろう
その評価とは
一体、なんなのだろう
科学技術の向上によって
もう一度だけ
出来るチャンスがあるだろうが
守りという考えに浸かった僕等に
確かな形が作れるだろうか