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前世
両親が死んだ。
ガードレールに乗りあがってきた車に轢かれたらしい。相手は飲酒運転をしていたそうだ。
「お母さん!お父さん!私をひとりにしないで。」
ずっと泣いていた。私はまだ16歳だ。
いきなり大好きな人が死んだら泣くに決まっている。
でも、「そこで何してる。」
この出会いが後の前世の人生にとても影響を及ぼすことなど私達は知る由もなかった。
彼は私の話を聞くと悲しい顔をして親戚も居ないと言うと「家に来い。」と言ってくれた。
名前は優さんと言うらしい。
優しい彼にはピッタリな名前だと思った。
彼の両親も優しい人達で励ましてくれた。
彼は若社長らしく秘書を私に任せたいと言ってくれて彼らの恩返しがしたいから引き受けた。
それから私達は恋に落ち、そろそろ結婚となった時
私は事故で死んだ。
車に轢かれそうな優さんを助けたのだ。
最後に見たのは泣きながら私の名を何度も呼んでいた優さんの姿だった。
どうか、どうか優さんだけは幸せに。