第二章
合コンに参加してみたいと言い出したのは誰だったか忘れたが、僕自身、彼女もいなかったし参加することに躊躇いもなかった。
大学の友人数人で集まった居酒屋で未だ現れない女性を待ちながら、合コンが初めてだという後輩は期待に胸を膨らませながら声を弾ませていた。
「可愛い子くるといいな!」
「オレ、アイドルの猪口眞帆みたいな子がいいなー」
その横でSNSアプリを開いたのは、そんな理想が当たるわけがないと解っていたからだ。何故なら、アイドルのような女性が合コンなどに参加するわけはないからだ。有名大学ならまだしも底辺大学の合コンなんかに参加するわけがない。もし可愛い女の子が来たとすれば、それは他のどこかに欠陥があるのだ。
SNSアプリのタイムラインに軽い愚痴を書き込んでスマホを閉じる。
“相手側の女子、遅すぎだろ”
誰も見ていないアカウントだ。どこかで愚痴を溢さなければ爆発してしまう。それは悪いことではなくて、必要なことなのだ。
しばらくして女子は来たが、軽い感じの女子だった。ひとりの女が僕に目を付けたのか、何度か話しかけてきたり写真を撮ろうとしてきたりと五月蠅かったが、軽く交わしている内に僕の友人に標的を変えたらしい。僕としては助かったが、彼としてはどうだったのだろうか。その頃から、僕を恨んでいたのかもしれない。
そうだとしても仕方がないのだ。何故なら僕は他人を壊すのが上手だからだ。
“合コン、微妙だったな”
タイムラインに打ち込むと同時にメッセージがきたことを知らせる音が鳴った。あまり連絡のくる方ではないためか、一瞬、肩を揺らしたが急いでタイムラインを閉じて、メッセージを確認する。誰からだろうか。メッセージアプリを起動して、送り主を確認すると宮島真斗からのメッセージが一件。
すぐに今日の合コンの事だろうと予想はついたが、宮島真斗には僕にしつこく話しかけてきていた女をなすりつけたのだ。恐らくは嫌みの一つでも言われるだろうと思いながらメッセージを開いたが、真斗は嫌みの一つも言わずに数回のメッセージを遣り取りして次の遊びの約束をしただけだった。
たまにだが連絡をくれる真斗を僕は大事に思っていた。数少ない友人のひとりだ。それ故に遊びに誘われれば最大限の誠意を見せていた。
次は映画を見よう。人気のお店に連れて行こう。まるで彼女にするような感覚だが、それほどまでに僕は真斗を友人として大切に思っていたということなのだ。
けれど、彼との仲にも亀裂は入った。当たり前だ。他人と他人なのだ。必ずしも毎回意見が一致し、相手の考えていることを理解できるわけではないのだ。否、すべては僕の器の小ささが原因か。




