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第一章
夜はいつも嫌いだ。嫌なことばかり思い出して、どれだけ探したところで答えなんかでない。嗚呼、違うか。正解なんてないのだから答えなんて出しようがないのか。
僕は、そこまで考えたところで、また無意味な答え探しをしていることに気が付いて、天井に向かって溜息を吐いた。
分かっている。眠ればいいのだ。目を閉じて、何も考えずに幸せな夢の世界に落ちてしまえばいいのだ。そう解かってはいても身体が言うことをきいてくれない。否、頭が言うことを聞いてくれないと言った方が正しいのだろうか。
「嗚呼、明日は市役所に行かなければいけないんだった。印鑑は準備したっけ」
何度目かになる電気を点けて、今度は印鑑を探して部屋を探し回る。
最近はこういうことばかりだ。寝ようと眼を閉じてから頭の中を嫌な思い出ばかりが駆け巡る。気を紛らわそうとして、電気を点ける。また寝ようと横になっても今度は忘れ物が気になって身体を起こす。こんなことばかりで、身体が休まるはずもない。
だから僕は、この厭な気持ちを寝不足の所為にするのだ。そうすれば僕が犯した罪に言い訳ができる。それだけで少し、僕は救われるのだ。




