妹物はファンタジー
本日も某投稿サイトでいつもの作品を読む。じっくりと妹を堪能しながら読むので中々進まない……だって脳内変換しなきゃならないんだもん、この兄と自分を。
今一番嵌まってるこの作品『妹に突然告白されたんだが妹と付き合ってどうするんだ』って言うんだけど、全部で200話50万文字を越えているので読みごたえはある。ただ書いているのはアマチュアでおそらくあまり頭が良くないんだろう、誤字脱字や下手くそな言い回しが気になる。
ただ、妹は可愛い、とにかく可愛い、頭が良くて、そして何よりお兄ちゃんの事好きで好きで堪らない所がいい。
「こんな妹が欲しかった……」
「ハイハイまた私批判ですかそうですか」
「いや、別に……って言うかまた居るし……」
そう、妹大好きの僕には現実に妹がいる。
一つ下の中学2年生、名前は空、僕は中学3年の陸
水無月陸と空、まあ水が無くても陸と空はあるって事で付けた名前らしいんだけど、いや、今はそんな事はどうでもいい、とにかく僕には妹がいる。
「いいじゃん、もう今更でしょ、それより兄ちゃんどこまで読んだ?」
「え? えっと11話、銀髪の美智瑠って娘が出てきた所」
「えーーーー遅!」
「良いだろ、僕はじっくり読む派なんだよ」
「えーーーー、早く読んでよ、私続きが気になってるんだから」
「先に読めば良いだろ?」
「ふーーん、私もう少し先迄読んでるから、えっとねその美智瑠って娘と話した後にね」
「だめええええええ、ネタバレ禁止!」
「私前の作品でお兄ちゃんネタバレされまくったんですけど!」
「いや、だって……喋りたいし……」
「だから二人とも読んだ事のない作品を一緒に読もうって事にしたんでしょ!
はーーーーやーーーーくよーーーんーーーーでーーーー」
僕のベットに仰向けで寝ながらジタバタしだす妹……ああ、本当この妹は……今もパンツ見えてるけど何も感じない……ああ、これが愛しの栞だったら……
「わかったよ! ちょっと待ってろ」
妹にベットを占領されてるので僕は椅子に座り机に向かってスマホを読み出す。
「はーーーーい」
返事だけはちょっと可愛いんだけどな、僕はきちんと座り直し少しペースを上げて読み始める。
まあこのシーンは栞が出てないからサクサク読んじゃうか……
20分程かけて読み妹に追い付き妹の方を向いた。妹は僕を見つめてようやく話せると思ったのか笑みを浮かべる。
「読んだ? どうだった?」
「あーーまあ……僕、銀髪属性ないからな~~」
「そこは聞いてない! 今回のお兄ちゃんマジ格好良くなかった? 自分を省みず、友達よりも容姿で入れて貰えなかった美智瑠ちゃんとサッカーって、ああああ超優しい~~~格好いいいい」
「いやいやそれよりも栞でしょ、お兄ちゃんの事を思って美智瑠と会うのを許可したけど、最後焼きもち焼いてお兄ちゃんに拗ねて、あああ、超可愛い~~~」
「いやいやいやいや、それただの我儘じゃん」
「いやいやいやいや、兄駄目じゃん、付き合ってるんだから他の女の子とあっちゃ駄目じゃん」
「良いんだよ優しいから」
「優しいければ良いってもんじゃない、栞の気持ちがわかってないんじゃね?」
「えーーだって栞って自分から別れるって言ったんだよ、付き合ってって言って別れるって何マッチポンプしてんの? って感じだし~~」
「それは! 兄をお兄ちゃんを愛するがゆえにだろ?」
「そりゃこんだけ優しい兄だもん、あーーーあ」
「な、なんだよ、あーーあって」
「べーーつーーにーー」
妹は僕を見てから残念そうに寝転びスマホを見始める。
「あーーあ」
僕も反撃で同じように言い、ベットから机に向かってスマホを見始める。
「…………」
「…………」
「ねえ兄ちゃん」
暫くすると妹がいつもと違う真剣なテンションで僕を呼ぶ。
「ん?」
「この兄妹と私達……どこが違うんだろ……」
「うーーん」
どこって言われても……全部?
「……真似したら……仲良く慣れるかな?」
「え?」
「真似してみない?」
「は?」
「うん、そうだよ、そうしたら私達……物語の主人公とヒロインなれるんじゃ?!」
「え? ええええええええええええええ!!」
「大好きな小説、大好きな物語のヒロインになれるんだよ私達!」
「ちょっと待て、それってつまり……」
「うん! なろうよ、なってみようよ!」
キラキラとした目で僕を見る妹……マジで? マジで言ってるの?
妹物はファンタジー、現実ではあり得ない……でも本物のファンタジーは実現出来ない絶対に出来ない。
英雄にはなれない、異世界にも行けない。
ただ……妹物は……妹がいれば、兄妹ならば実現可能……僕と妹は物語を作れる……主人公になれる……大好きな物語の主人公に……なれる!