第弍記:ぼったくりにはご注意を
遅刻遅刻〜!投稿の周期は決まってないのですが毎回0時更新だったので...それでは第弍話!説明会になっていますがどうぞごゆっくりお楽しみください。
僕が質問をしようとするといきなりシロが喋り始めた。
「はーい、ここでシロから報告がありまーす。実はケーキ君は......宿代をぼったくられてます!」
「え?」
「だからー、宿代は本当はもう少し安いです。ケーキくんが出したのは小銅貨2枚、ケーキくんにわかりやすく言えば2万円くらいの価値ですね。で、ここの宿が素泊まりで2500円、朝食600円夕食900円で合計4000円くらいです。5泊は出来るはずなんですよ。まぁ、1枚で2日なので半日分しかぼったくられてませんが」
「教えてくれても良かったのに、あとお昼ごはんってつかないの?」
「私がいなくなってもちゃんとこの世界で生きれるようにってことです。今回は勉強代ですね。あとお昼はここの人達は軽く済ませるんです。日本で言うおやつくらいの感覚ですね。で、宿に泊まっている人は商人でも冒険者でもたいてい外出しています。なのでつかないのが一般的ですねぇ」
日本と同じ感覚ではいけないようだ。普通に言われたままの値段を出すのはまずいのかもしれない。人を疑わなくてはいけないとは......
「あ、この宿屋が常習的にぼったくってるわけじゃないですよ?ケーキくんがこの辺の人じゃなくてしかもあまりなれていなさそうで、挙句の果てにもう一回来そうもないとでも思われたんでしょうねぇ。もう少し格好を変えたらぼられないと思いますよ?」
僕の格好が悪かったらしい。ちなみにシロにこの国での貨幣の価値を日本円に直して教えてもらった。
賊銭:1円
小青銅貨:10円
中青銅貨:50円
大青銅貨:100円
小銅貨:500円
中銅貨:1000円
大銅貨:5000円
小銀貨:1万円
中銀貨:5万円
大銀貨:10万円
小金貨:50万円
中金貨:100万円
大金貨:500万円
小ミスリル貨:1000万円
中ミスリル貨:5000万円
大ミスリル貨:1億円
王貨:10億円
となっているらしい。正直金貨がギリギリ市場に出回ってる程度らしく、ミスリル貨は大商人が取引に使う程度。国家間の取引でギリギリ王貨を見る程度だそうだ。だから金貨まで覚えておけば十分だとか。
「とりあえず2日間の宿と食事はいいけどその間洋服や武器も買わなきゃいけないのに1万円しか持っていないことがまずいのはなんとなく分かる。どうにかしてお金を稼がなきゃいけないんだね?」
「そうですね、冒険者ギルドにでも登録すればいいと思いますよ?あと、武器は日本に比べるとだいぶ安いですね。ニホンでは必要がないのでほとんど売られませんから高くなるのは当然です。まぁそれでも金属の塊なのでそれなりに高いですが」
「もう小銀貨1枚しか無いけど、ギルドの登録して武器買ったり出来るの?」
「ギルドの登録が小銀貨1枚ですね、なので武器は買えないですねぇ。でも短剣は無限時間停止倉庫に入ってますよ?それに戦う方法はチートをあげたじゃないですか......あ、まだ説明してませんでしたね」
「いんべんとり?ちーと?」
「あぁ、インベントリは異空間倉庫の最上位ですね、これは転生者しか持ってないのであそこではアイテムボックスって言ってもらったんですよ。インベントリは念じるだけでものを取り出したり入れたり出来ますよ?あと、マップって念じてもらっていいですか?」
(マップ)
言われたとおりに念じると目の前に地図が出てきた。よくゲームである敵味方識別がついたアレだ。
「まぁ、言語理解と収納魔法とマップは転生の基本ですよねぇ」
ダメだ、だんだんシロが何を行っているのかわからなくなってきた。
「あ。あとチートでしたよね、ケーキ君のチートはー......!!角砂糖でーす!ケーキ君がずっとコーヒー飲んでて決めないので勝手に決めました!ぱちぱちぱち」
「え?今なんって?」
「だーかーらー、ケーキくんのチートは角砂糖なんだって!」
あまりにも予想外な発言に思考が追いついていかない。勝手に決めた剣はとりあえず置いておく。
「角砂糖がチートってこの角砂糖が?」
ついさっきシロに説明してもらったインベントリとやらから角砂糖を取り出してみる。いたって何も変わらない普通の角砂糖だ。
「その角砂糖にはすごい力があるんだよ!まぁ、神器と角砂糖は比べ物にならないんだよね」
そうシロは目を輝かせながら言った。
「神器と比べ物にはならないとはいえ、角砂糖にすごい力とか言われても信じられないなぁ」
別にシロを疑ったわけではなかったが素直に思ったことを言ってみた。
「確かににわかには信じがたいことだけど勇者達の持つ神器が世界のバランスを保つために必要なものならば、ケーキくんのチート......もとい角砂糖のチートは可能性なんだよ。」
シロは真面目な眼差しで語り出した。
「この世界の均衡はある意味勇者達によって守られてるんだけど、勇者達が居なくなればこの世界の均衡は崩れ争いが絶えない世界になっちゃう訳ね。もし勇者が勇者同士で戦い始めちゃったら周りに大変な被害が出ちゃうから勇者は戦えないの。でもいなかったら争い続けちゃう。だからこそ勇者の存在が必要なんだよ。勇者はいわば抑止力だね。地球で言う核爆弾みたいな?ここまでは理解できてる?」
そうシロは僕に聞いてきた。
「大体わかったけどそれってつまりどうゆうことなの?この角砂糖にはどんなチート能力があるの?」
結局のところそれがわからないことにはどうしよもない。僕はシロに聞き返しながらいくつかの角砂糖を取り出して手の上で転がしてみる。
「もちろん普通に砂糖として使えるよ。でも、例えば、水に溶かせば回復薬。例えば、粉にすれば万能薬。例えば弾き飛ばせばホーミングする。例えば、例えば投げれば角爆弾。自分の可能性を信じてね」
「核爆弾!?」
「ニュークリアウエポンじゃないよ!角砂糖の角に爆弾!角砂糖の爆弾だよ!クリーンなエネルギーなのです」
シロの言葉に嘘や言い訳は感じられなかったけど何か腑に落ちなかった僕は「そうなんだ」とだけ答えたが、指先で弄んでたこれが爆発するとわかるとちょっと怖くなった。
そうするとシロは顔を綻ばせた。
「それじゃ、真面目な話はこの辺りにして着替えが必要って言ってたよね?洋服屋さんに行こ!」
慌てて角砂糖をポケットにしまい込み、シロの案内で洋服屋の前まで来た。
「ここが洋服屋か。」
ショーウィンドウこそ無かったがなかなかに立派な作りの建物だった。
「それじゃ中に入りましょう!」
そう言われた時にふと気づいた
「そういえば、僕ほとんどお金持ってな「お父さん!」......」
いきなり中から悲鳴に近い言葉が聞こえてきて僕は少し驚いた。
「洋服屋さんの中からですね。行きましょう!」
言われるがままに僕はお店の入り口を思いっきり押し開けた。
すると中には腕の付け根を刺されて血を流している男性と刺したであろう血のついたナイフを持っている男、そして黒い髪の少女がいた。そしてその全員が固まってこちらを見ている。
一番初めに復帰したのはナイフを持った男だった。
「だれだぁ?てめぇは」
「あ、えぇっと......客です?」
「なんで自分のことなのに疑問形なんだよ!まぁいい、目的は果たしたからな」
そう言って男は僕のことを押しのけて出て行ってしまった。すると少女は少し慌てた様子で血を流している男性、おそらく少女の父親に駆け寄っていった。
「お父さん!大丈夫!?」
「あ、あぁ、大丈夫だ。そんなに深い傷じゃ、ない」
大丈夫と言っているものの段々と顔色が悪くなっていくし息遣いは荒い。少女は必死に傷口を抑えて血を止めようとしている。
「(さっきのナイフには毒が塗ってあったようですね)」
ちゃっかり俺のフードの中に隠れていたシロが教えてくれる。そしてポケットの中で何かが指先に触れ、シロの話を思い出した。
「コップに水を!あとなにかかき混ぜるものを!早く!」
「え?は、はい!」
僕は素早く指示を出し、ポケットから角砂糖を取り出して指で砕いていく。シロが嘘をいっていなければこれで万能薬になるはずだ。毒を打ち消せる。砕いたものを少女の父親の口へと運んでいった。
「薬です、飲み込んでください」
「あの、水持ってきました!」
「ありがとう」
僕は未図を受け取るとその中に角砂糖を入れ、溶かしこんで行く。これで回復薬になるはず。傷口にかければいいのだろうか?傷口にぶっかけてみた。
するとみるみるうちに傷口が塞がっていく。
「「す、すごい(すげぇ)」」
父親はばったりと倒れてしまったが、顔色はよく、呼吸は安定している。治ったのだろうか?
「お、お父さん?大丈夫?」
「多分寝てるだけだからベッドに運ぼう」
シロに言われた言葉をそのまま伝え、ベッドに運ぶのを手伝った。
ねむ・彩乃「こんばんはー」
彩乃「はい、第弍話です。え?フラさんはどうしたって?フラさんはですねぇ、今回はお休みです!リアルが忙しいそうですよ?」
ねむ「リアルイソガシイ......ウッアタマガ!」
彩乃「ネムさんがなんか役に立たないので、私が説明しますね。今回は彩乃→ねむ→彩乃で書いてます。次回はふらさんも書けるはず?」
ネム「リアルで魔王討伐(ソロ)ですからねさすがうちの勇者は格が違いますわ」
彩乃「えーっと?フラさんそんな事してましたっけ?どこのパラレルワールドです?」
ねむ「リアルの話はさておき遂にヒロインが出てきましたね!登場しただけですが(苦笑)」
彩乃「ですねぇ、この子はねむさんの知り合い考案のキャラでしたよね?」
ねむ「根堅州国に往かぬ程度には頑張ってくれる予定です」
彩乃「まぁ、今回はこの辺で」
ねむ「また夢でお逢いしましょう。」