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破獄の章

暗い房の中。四人の男たちが、難しい顔をして座り込んでいる。

九番そクソ房。四人とは、ウンリュウ、アラカワ、トコツネ、マルゲリー。ショウキチの姿はない。ショウキチ、そして、カシハモチの二人は、あの騒動の後、美帝国兵士たちによって連れ去られていた。その場で取り返さなかったのは、ショウキチが乱戦に巻き込まれる危険を避けた、ウンリュウの判断である。指揮官殺しの下手人であるカシハモチはともかく、何故、ショウキチが連れていかれたのか。それを理解出来ていたのは、その指示を出したグリッドマンの他には、彼の正体を知るウンリュウしかいない。

美帝国兵士、KAKURIKIカクリキたち、その両方が納得のいかないものを抱えながら、その場はとりあえず解散となった。

以来、KAKURIKIカクリキたちは各房での待機を命じられ、実質の監禁状態にある。視力6.0のマルゲリーが窓から外を偵察したところ、構内の兵士は全て機関銃を装備し、厳戒態勢にあるという。

チッ!と忌々しげに、アラカワが舌打ちする。彼はあれからずっと、イライラし続けている。口には出さないが、連れていかれたショウキチのことが心配で心配で、じっとして居られないのだ。

「いったい、なんだってんですかね。」

アラカワが口を開いた。明らかに、ウンリュウに対する不満を滲ませている。常日頃の彼ならば、絶対にあり得ない態度である。

「ショウキチのことなら、無事だ。安心しろ。」

何度目かの同じ返答を、ウンリュウは返す。ついに、アラカワの我慢が限界に達した。

「無事だ安心しろって。なんでOral‐SEXitオーゼキにそんなことがわかるんですかい!相手はあの美帝国なんですぜ!今頃、酷え目に逢わされてるに決まってる、あいつら、人間じゃねえんだ!まったく、Oral‐SEXitオーゼキも、あのグリッドマンの野郎も。ショウキチに何があるってえんですかい!Oral‐SEXitオーゼキ、あんた。俺たちにいったい何隠していやがるんだ。あいつは、ただのドン臭ぇガキだ。それをよってたかって、どいつもこいつも、いじめやがって、よう!」

感情が昂るあまり、アラカワは半泣きになっている。

「そうだな…」

しばらくの沈黙の後、ウンリュウが口を開いた。

「確かに、お前たちにだけは、話しておくべきだった。すまん。」

ウンリュウが、Oral‐SEXitオーゼキが。自分たちに頭を下げている。想像もしなかった光景に、アラカワだけでなく、トコツネとマルゲリーも目を丸くしている。

「や、や、やめてくださいOral‐SEXitオーゼキ。今のは、俺が悪かったんだ。謝ります。この通り、ですから、ね。お願いですから頭ァ上げてくださいよ!」

完全に狼狽えて土下座するアラカワと入れ替わるように、ウンリュウが頭を上げる。しばらくして、ようやく頭を上げたアラカワに、ウンリュウは語り始めた。

「お前らもこの前。ショウキチの奴が美帝国(てき)の言葉を話していたのは聴いたろう。」

ウンリュウの言葉に、アラカワは不思議そうに尋ねる。

「そんな言葉(モン)。マルゲリーの野郎だって、いくらでも喋れますぜ。」

サンキュウベロマッチョ!だしぬけに叫ぶマルゲリーを振り向きもせずアラカワが殴る。

「ショウキチの奴は、以前にも。美帝国の連中が話す冗談を聴いて、怒っていた。その事を問いただすと、奴は、学校で習った、と事もなく答えたのだ。」

あっ。察しの早いトコツネが、何かに気づいて声を上げる。まだ話が理解出来ていないアラカワに、ウンリュウが問いかけた。

「アラカワ。お前。学校なんてものに、一度だって行ったことがあるか。わかるだろう。ショウキチは、俺たちとは違う。KAKURIKIカクリキじゃねえんだ。」

驚愕に、アラカワが言葉を失う。ウンリュウは遂に、その真実を伝えた。

「ショウキチは、MIYABIミヤビだ。」

「ハァア!?」

限界に達したアラカワが、素っ頓狂な声を上げた。



よく、お眠りになられましたか。

司令本部に設けられた、VIP・ルーム。

その窓から無人の運動場、あの試合のまま取り残されている闘場(リング)を眺めていたショウキチは、4回のノックの後に入室してきたグリッドマンに後ろから語りかけられた。

美帝国軍に連れ去られて以降、ショウキチはこの部屋で過ごしている。手足を伸ばし、広いベッドで眠ったのはいつ以来の事だろう。ショウキチはここでの時間のほとんどを、深い眠りのなかで過ごしていた。

ショウキチが振り返る。グリッドマンを見るその目に、あきらかな敵意が燃えている。

ああ。グリッドマンは、心から申し訳なさそうに頭を垂れた。

「ショウキチ様。貴方がMIYABIミヤビであると気づかず、美帝国(われわれ)の働いたご無礼、改めてお詫び致します。特に部下の働いた、兵士として恥ずべき蛮行。すべては、このグリッドマンの責でございます。」

ショウキチの頭に、コイノボリの最期の姿が思い浮かぶ。表情に、暗い影が射す。

「あなたは。」

言葉を選ぶように、しばらく考えていたショウキチが、口を開いた。

「イヅルノ国語が、上手いのだな。」

それは、いつものショウキチの口調ではなかった。


MIYABIミヤビ

イヅルノ国には、彼らの誇る最強の戦闘種族・KAKURIKIカクリキとはまた別に、知能に秀でたMIYABIミヤビと呼ばれる者たちがいた。

イヅルノ国を旧くから統べる皇帝の血統に属するという彼らは政治・経済・文化・科学、あらゆる分野で世界最高峰の知識を持ち、KAKURIKIカクリキですら、本来は彼らを守護するために造り出された戦闘種族・KYUBAクーバの中のいち種族に過ぎない。

世界の文化・科学技術の発展に大きく関わってきた彼らは他国においても最高のVIP待遇を受けており、筋肉以外の価値観を認めない美帝国にあっても、その扱いは変わらない。

この度の戦争にあっても、MIYABIミヤビの一族は不可侵の対象であるとして、美帝国と彼らの間には密約が交わされていた。国土のほとんどが焦土と化すような戦争の中において、ショウキチの生家の一帯が被害を免れていたのは、実はこのような理由による。

グリッドマンがショウキチの正体に気づいたのは、あの試合の後、争乱の中である。

たった一人の少年の叫びが血気に逸る戦士たちを止められたのには、理由があった。

KAKURIKIカクリキたちにはその遺伝子レベルで、主であるMIYABIミヤビの命令には絶対服従することが刷り込まれている。ショウキチがここに来てから、いや、闇市場の最初の一件から、KAKURIKIカクリキたちにmamorareteいたのは、彼らの侠気(おとこぎ)だけが理由ではなく、知らず知らずのうちにショウキチがMIYABIミヤビとしての力を発揮していたことにも原因があった。

また、美帝国の兵士たちが動きを止めたのは、ショウキチの放った言葉があまりにも正確な発音の美帝国語で、現在では一部の限られた貴族階級の者しか話さない言葉だったからだ。

動きを止めた両者を見て、グリッドマンは全てを察した。

その高度に発達した知能を何よりの誇りとするMIYABIミヤビの者たちは、太っていることを最高の美徳としている。KAKURIKIカクリキと見間違う程の肥満体である少年、その正体がMIYABIミヤビの家の中でも相当の名家の者であることを、グリッドマンは一瞬にして見抜いていた。



「今宵。牢を破る。」

ウンリュウが重々しく言葉を発した。

待ぁってましたぁ!とアラカワが膝を叩いた。

いくら厳戒態勢にあるとはいえ、この収容所の戦力は、たかが知れている。せいぜい、総勢で300人といったところだろう。不意を突いて敵の迎撃態勢が整う前に一点突破をかければ、ここから出ること事態は実は彼らにとってそう難しいことではない。

今までKAKURIKIカクリキたちを留め置けたのも、彼ら自身に脱走の意図がないという、彼らの自由意思に因るところが一番の原因を占めていた。

そう、ここから出るだけなら、そう難しいことではないのだ。だが。

「ショウキチ、それに、カシハモチ。二人を、救出したいと思う。」

ウンリュウの言葉に、それは!とまず、トコツネが反応する。

そ、そうこなくっちゃあ、なあ?と言うアラカワの顔にも、緊張の色が見られた。

マルゲリーは、長い話にとっくに飽きており、彼にしか見えない空飛ぶひよこをさっきから追いかけ回している。

ショウキチ、そして、カシハモチの捕らわれている司令本部は収容所の一番奥に配置されている。美帝国兵士たちの本部であり、当然、もっとも警備が厳重であることは容易に想像できる。

その中に、この人数で突っ込む。本部まで無事、たどり着ける確率が50%。さらに、そこからもただ、敵を薙ぎ倒して脱出すればいいのではない。本部のどこかにいるショウキチとカシハモチを見つけ出し、彼らを連れて逃げなくてはいけない。本部内での戦闘を無事乗り越えられる確率が、さらにそこから50%。そしてそこから、収容所のゲートまで遮蔽物も何もない運動場を突っ切り機関銃の斉射に身を晒しながら突破できる確率となると、最終的には…。

眼鏡をクイッとしながら計算するトコツネを遮り、アラカワが俺は、やるぜ。と意思を示した。

トコツネはため息をつくと、やるしかありませんからね、と苦笑する。

いつの間にか、マルゲリーまで真面目な顔をして話の輪に加わり、グッ、と親指を立てて見せた。

ウム。三人の意思を確認したウンリュウは、無言で頷いた。



「ショウキチ様。」

グリッドマンが、ショウキチに跪く。

「私は美帝国の軍人ではありますが、MIYABIミヤビの一族に仕える者です。」

サマン・アイランドでの大激戦。その最中で彼が九死に一生を得、歴史的な大敗北を喫しながらも粛正されることなく軍に籍を置き続けられたのは、美帝国軍の上層部に裏からMIYABIミヤビたちの圧力が働いた為である。

彼らの最先端技術による治療で奇跡的な快復を遂げたグリッドマンは、それ以降、MIYABIミヤビの駒として、美帝国軍内で暗躍し続けた。美帝国軍がイヅルノ国を殲滅せず、後一歩と言うところで占領という方針に切り替えたのも、彼の密かな働きによるものだ。

「ショウキチ様。」

無言で自分を見下ろしているショウキチに、グリッドマンは言葉を続ける。

「数日内に、ここは戦場となります。貴方様は、このような場所にいるべきではない。私とともに、どうか美帝国へ―。」

その言葉が言い終わるか、終わらないかの内だった。

外から雷鳴のように、銃声が響いた。次いで、ワッ、という、人の叫び声。怒号。悲鳴。絶叫。何かが何かにぶつかる、衝撃音。破裂音。

あっという間に、窓の外にあらゆる音が溢れ出した。

ファー!ッデムッ!言葉にせずに、グリッドマンは叫んでいた。

早すぎる。何故、今夜なのだ。相手がKAKURIKIカクリキだとわかっていながら、心のどこかでまだ余裕を持っていた。この期に及んで美帝国軍人としての癖が抜けきっていない自分を、グリッドマンは忌々しく思った。


ショウキチはすぐに、窓の外でなにが起きているのかを理解した。思わず駆け出そうとする彼の前に、グリッドマンが立ち塞がる。

「控えよ、グリッドマン!」

怒気を込めた声で、ショウキチが叫ぶ。

「申し訳ございませんが、貴方様を行かせる訳には参りません。」

グリッドマンは丁寧な口調ながらも、強硬な態度でショウキチの言葉をはね除けた。

「先の戦争。イヅルノ国が殲滅を免れた、その条件。」

グリッドマンが淡々と言葉を続ける。

MIYABIミヤビのご一族が、美帝国と交わされた、密約。それは、サマン・アイランドで使われた、あの新型爆弾。MIYABIミヤビによって開発された、あの兵器の美帝国のへの譲渡、そして。」

最強の戦闘種族・KAKURIKIカクリキの、確実な殲滅。その言葉を聞いた時、ショウキチの顔色が変わった。いま、まさに、この状況。この男は、ここでそれを実行しようとしている。

ショウキチに聴かせるでもなく、グリッドマンは続ける。軍上部に申請した、新型爆弾使用の許可は結局降りなかった。奴ら、KAKURIKIカクリキの戦闘力を、過小評価していたからな。あのお方たちに命ぜられた、KAKURIKIあいつらの殲滅任務は、ほぼ諦めていたんだ。軟禁状態に置き続けることで、お茶を濁すつもりだった。だが。

「最後の最後で、貴方という最強の切札(ジョーカー)が手に入ったのですよ。」

ショウキチは愕然とした。ウンリュウたちKAKURIKIカクリキは、絶対にショウキチを見捨てない。必ず、彼らの本来の主であるショウキチを奪い返しに、ここへ来る。この男は、それを戦術に組み込んでいる。

退()け!!」

ショウキチはグリッドマン目掛けて走り出した。

仕方、ありませんな。グリッドマンは身を開いてかわすと、ショウキチの身体を脇に抱えるよう持ち上げ、床に叩きつけた。

サイド・スープレックス。

美帝国の伝統格闘技、レッスルの奥義であった。

「貴方様の為でも、あるのです。」

グリッドマンが、冷たく言い放った。


この老軍人は、その年齢に関わらず、恐るべき戦闘力を誇っていた。長年の戦闘経験に加え、MIYABIミヤビの医療技術による肉体改造。さらに、美帝国最強の格闘技、レッスルの技。あのブライアンですら、グリッドマンの前ではなす術なく子供扱いである。まして、なんの戦闘力もないショウキチにどうにかできる相手ではなかった。ショウキチは諦めず、何度も何度もかかっていったが、その度に投げられ、叩きつけられ、遂にはグリッドマンの放った必殺の投げ、ジャーマン・スープレックスの前に沈んだ。ようやく動かなくなったショウキチを見下ろしながら、グリッドマンはショウキがここまで粘った事に、素直に感心していた。

「お許しください。貴方様は、これからの世界にとって、おそらく居なくてはならないお方。」

グリッドマンは跪き、ショウキチに向かって十字を切った。その目を開けた時、彼は信じられない光景を見た。倒れていたはずのショウキチの巨体が、全速力で自分に突っ込んできていたのである。

人間は、どんなに鍛えた達人であっても、気づいた時既に目前まで迫っているダンプカーに対して出来ることはない。

グリッドマンはそのまま跳ね飛ばされ、壁に強かに激突し、血反吐を吐いて倒れた。その身体の上に、ショウキチが覆い被さる。

うわああああああ!!ショウキチが言葉にならない叫びを上げる。彼はグリッドマンの頭を掴むと、夢中で床に何度も何度も叩きつけた。その度に血飛沫が飛び、ぐちゃ、めちゃ、とグリッドマンの顔が潰れていく音がする。

習ったKAKURIKIカクリキの技術など、なに一つ発揮されていない。原始的な、ただ、体格と体重だけに任せた、純粋な暴力。

「ファー…ッデム…醜脂(デブ)…。」

グリッドマンの口から、最期の呪いの言葉が漏れた。

醜脂(デブ)じゃない!KAKURIKIカクリキだ!」

訳もわからず、ただ、ショウキチが叫ぶ。

気づいた時にはグリッドマンはブクブクと血の泡を噴き、ビクンビクンとその身体を痙攣させていた。

殺し、た…?

ショウキチの心に走ったのは罪悪感ではなく、これで自分に危害を加えるものが居なくなったという、安心感だった。

ゆっくり、息を整えながら、立ち上がる。

行かなくては。

ショウキチが立ち去ろうとしたその時、グリッドマンの懐から、じゃらり、と鍵束が滑り落ちた。



殺してやる。

捕縛されて以来。真っ暗な牢獄の闇の中、カシハモチはただ一人、それだけを呟き続けていた。その目は深く落ち窪み、髪は乱雑に広がり、以前の整った顔立ちの面影はない。

彼の心の中を、絶望の闇が支配していた。憧れのSEXITセキートは、もうこの世の何処にもいない。せめて瞼を閉じ、その笑顔を思い浮かべようとするのだが、浮かんでくるのは何故か、自分ではないあの餓鬼が、SEXITセキートの太い腕に力強く抱き締められている、あの日の光景。カシハモチが、もっとも見たくなかった光景であった。

どいつもこいつも、殺してやる。

あの扉が次に開いた時、入って来たのが誰であろうと、殺す。その後は、自分が殺されるまで、目に映る全てを殺して、殺して、

殺しまくってやる。そう、決めていた。

ガチャガチャ!と鍵を回す音が、闇の中に響いた。何を手間取っているのか、扉はなかなか開かない。

ようやく、キィ、と軋んだ音を立てて扉が開いた時、光の中に浮かんでいたのは、カシハモチの全く予想外の男の顔であった。

「カシハモチさん!大丈夫ですか!」

問いかけてくるショウキチの顔は、少し前にカシハモチに絡まれて怯えていた少年とは、まるで別人のように見えた。

「お前…!?」

誰だ?と思わず問いかけそうになった自分の言葉を、カシハモチはすんでのところで飲み込んだ。



ウンリュウたち四人は、本部への防衛ラインを突破することに成功していた。計算に入っていたことではあったが、騒ぎを聞き付けた他の房のKAKURIKIカクリキたちが、思いの外早く、加勢に駆けつけてくれたのである。彼らが派手に暴れてくれているお陰で、そちらに戦力を割かれたのか、意外にも、本部の前まではあっさりとたどり着くことができた。ウンリュウたちがロビーのガラスを打ち破り、次々に飛び込む。本部の中には、いるはずの警護の兵士の姿がまるで見えなかった。さすがに怪しんだその時、階段の方からから駆ける足音が聴こえてきた。

来たか!身構えたウンリュウたちの目の前に飛び出して来たのは、救出対象であるはずのショウキチ、それに、カシハモチである。

おかしい。うまく行きすぎている。

罠、という言葉がウンリュウの頭を掠めたのと、投光器の眩い光が外からロビーをてらしたのは、ほぼ同時であった。

美帝国兵士の音声が、大音量のスピーカーから聴こえてくる。

「ユータッチワー、パーフェクトォニ、ホウイサレテイマース!ムダナレジスタンスシナイデ、サッサトデテキナサァイ!センセイ、オコラナイカラ!!」

ありゃー、とアラカワ、トコツネ、マルゲリーが顔を見合わせる。全ては、彼らをここに誘い込み、包囲して全戦力で確実に消し去るための、グリッドマンの計略。すまん。ウンリュウは項垂れながら、己の迂闊さを恥じた。

「こちらは、ショウキチ君を入れても6人。外には、重火器を装備した兵士が、300。これはもう…」

眼鏡をクイッとやろうとしたトコツネを、ショウキチの言葉が遮った。

「まだ、勝ち目は、あります。彼らには、指揮官がいない。包囲した後のプランが、彼らには何もない。彼らの指揮官・グリッドマンは、死にました。」

ぼくが、殺しました。

そう付け加えるショウキチを、驚きの目でKAKURIKIカクリキたちが見つめる。

「今の彼らは、数だけが頼りの、烏合の衆だ。一度崩してしまいさえすれば、突破できる可能性は十分にある。」

はー、と感心したように、アラカワがショウキチをじろじろと眺める。やがて、言いづらそうにアラカワが喋りだした。

「なあショウキチ、オメー、…アナタサマ?KAKURIKIカクリキじゃなかったんですって?」

あー!めんどくせえ!と叫ぶと、頭をガリガリ掻きむしり、アラカワはいつものしゃべり方に戻った。

「ショウキチよぉ。なんで言ってくれなかったんだよ。言ってさえくれりゃ、俺は。」

言いかけて、アラカワが黙る。そういやコイツ、初日に俺のすぐ横で言ってなかったっけ。そう思い出して、バツが悪くなったのだ。

「ショウキチ、ケチクサイ。ケチクサーイ!」

騒ぎだしたマルゲリーを、水くさい、ですよ。とトコツネが黙らせる。今は、二人で話させてあげてください。小声で、トコツネが付け足した。

「ショウキチぃ、オメーはよぉ、ドン臭くて、わけわからない野郎で。おまけにアホのクセにプライドばっか高くて。でもよ、誰よりも負けん気が強くて、気がつけばいつも、俺たちの中心にいた。俺ァよ、オメーならきっと、すげえ立派なKAKURIKIカクリキになれんじゃねえかって、ずっと思ってたんだぜ?それがよう、ちょっと見ねえ間に、んーな逞しく、なっちまってよお。」

最後の方は、ほとんど涙声になって、聞き取れなかった。ショウキチは、申し訳なさそうに微笑むと、すいません、とだけ呟く。

「別れは済んだか?どうやらもう、時間はあまりないようだぜ。」

ウンリュウが外を指し示す。

兵士たちが機関銃を構え、一斉射撃の合図を今か今かと待ち構えていた。しかし、その号令をかける色がもはやこの世にいないことを、彼らは未だ知らない。

「おう。ゴガツHEYAヘイヤのぉ。」

ウンリュウが、ひとり輪の中に入れず、突っ立ったままでいるカシハモチに声をかけた。

「すまねえんだが、こういう状況なんだわ。巻き込んじまって、悪いとは思っている。俺たちは今から、あン中に突っ込んでいかなきゃならねえ。あのよ、本当すまねえんだが…」

ショウキチを守って、一緒に逃げてやってくれねえか。この俺の最期の頼みだ。ウンリュウが、頭を下げる。

フン、とそっぽを向いたカシハモチは、ハァ、とため息をつくと、Oral‐SEXitオーゼキの命令は絶対、ですからね。と毒づいた。

マルゲリーが、ショウキチオソウナヨ、ホモハモチ!と囃し立てる。ぬかせ、俺は面食いなんだよ、と言い返したカシハモチが、僅かに笑った。

ウンリュウは、コイツ、こんな風に笑えたのか…と、ついカシハモチを不思議そうに眺めてしまう。どうか、されたんですか?不思議そうな目をしているカシハモチを見て、あ、いや、と慌ててウンリュウは誤魔化した。


「行くぜ!野郎ども!美帝国軍収容所場所、一世一代、最後の大勝負だ!!」

ウンリュウの発破とともに、KAKURIKIカクリキたちは次々と表に姿を現した。あまりに彼らが堂々と出てきたので、美帝国兵士たちは、投降か?と勘違いし、彼らを撃てないでいた。

五人のKAKURIKIカクリキが、横一列に並ぶ。彼らはぴったりと呼吸を合わせ、いっせいに脚を振り上げた。

ドォン。地響きを立てて、KAKURIKIカクリキたちの脚が振り下ろされる。今度は、逆の脚が上がる。ドォン。初めて見る彼らの動きを、ショウキチは素直に美しい、と思った。

それは、SIKKOシッコ。美帝国の兵士たちが知らなかったのは仕方ない事だが、KAKURIKIカクリキたちが本気で戦う前に見せる、神聖なる儀式。彼らの、不退転の意思表示であった。

彼らが腰を落とし、立ち合いの構えを見せた時、その並々ならぬ殺気に、兵士たちはようやく、彼らが本気で向かってくるつもりであることに気づいた。三秒、遅かった。銃を構え、狙い、引き金を引くまでの、三秒。それを失った時、彼らの命運は尽きた。


人間はその身体に危機が迫った時、反射的に同じ行動をとる。本能的に、身体を丸めて身を守ろうとしてしまうのだ。それは、死を恐れる人間の本能を極限まで抑え込むよう訓練されてきたはずの美帝国兵士の音声がとっても同じだった。彼らはこの状況で冷静に銃を撃つにはまだ若すぎ、戦闘経験が圧倒的に不足していた。彼らは一発の銃弾も撃てないまま、突っ込んできたKAKURIKIカクリキたちに押し潰されていった。

せめてその三秒の猶予があれば、彼らは一矢報いることができたかもしれない。だが、人生のどんな場面においても、後悔役に立たず、である。

運動場を埋め尽くしていた兵士たちが、あっという間に2つに割れる。DENSHASMITIデンシャミチKAKURIKIカクリキの体重をそのまま機動力に乗せた、KAKURIKIカクリキ最大の奥義のひとつである。

戦闘を行くアラカワがオラァ!オラァ!と次々敵を蹴散らす。マルゲリーが、

トコツネが。そして、殿(しんがり)のウンリュウが。襲い来る銃弾をものともせず、戦っている。その後ろを、カシハモチに手を引かれたショウキチが、必死で駆けぬける。

いける!いけるぞ!ウンリュウの声が響く。誰もが、そう思ったその時、ショウキチは視界の端に異様なものを捉えて、思わず振り返った。

ロケット・ランチャー。巨大な兵器を担いだ兵士が、こちらに狙いを定めている。

「ダメだあァ!」

ショウキチの叫びも虚しく、砲弾は発射された。

何者かが、ショウキチを地面に引き倒し、覆い被さった。爆音。閃光。その煙が晴れた時、おそるおそる目を開けたショウキチは、その目に映ったものの前に絶叫した。

「嫌だァアアアアアア!!!」

ウンリュウの背中が無惨に爆ぜ、白い骨がむき出しになっていた。ショウキチを庇ったのだ。誰より強く、誰より大きかったウンリュウが、初めて地に伏した姿だった。

ぐい、とショウキチの身体をウンリュウの下から引っ張りだした者がいた。カシハモチ。彼は、ショウキチを半ば引き擦るようにして再び駆け出した。

「カシハモチさん!ウンリュウさんが、ウンリュウさんが!」

泣き叫ぶショウキチの胸ぐらを、突然カシハモチが掴み、捻り上げる。

「いいか。死ぬ気で走れ。二度と脚を止めてみろ。俺がお前を、殺してやる。」

カシハモチはショウキチを乱暴に放すとまた走り出した。ショウキチは彼の背中を、必死で追う。

「俺の、最期の頼みだ。」

ウンリュウとカシハモチの最後の会話が、ショウキチの胸によみがえっていた。


ロケット・ランチャーを担いだ兵士は、上機嫌で次弾を装填していた。あいつらの、さっきの顔と来たら。つい、ニヤニヤと笑みがこぼれてしまう。

人の大切なものを吹っ飛ばしてやるってのは本当たまらねえぜ。これだから、軍隊は辞められねえ。

次のターゲットは、すでに決めていた。やつらが必死こいて守っている、あのチビ。アイツを吹っ飛ばしてやろう。あいつら、どんな顔するかな。泣き出すんじゃないだろうか。

突然、ターゲット・スコープの中が真っ暗になった。驚いて顔を上げたロケットマンの前に、巨大な肉塊が立っていた。

あり得ない。ロケット・ランチャーの直撃を喰らって。生きている訳がない。

ロケットマンはそれ以前に、ロケット・ランチャーの直撃を受けて人体が原形を留めている不自然さに気がつくべきだった。そうすれば、それが動きだし襲い掛かってくる可能性についても、もう少し考慮できたことだろう。

「ジーザス。」

最期にせめて自分の信じる神に祈ることができたことだけが、ロケットマンの幸運だった。


ウンリュウが腕を振るう度に、二人、三人と兵士たちの身体が潰され、引きちぎられていく。遠く、駆けて行くショウキチの背中が見えた気がした。もはや消えかけている意識のなかで、ウンリュウは必死に呼び掛けている。

そうだ。走れ。走れ、ショウキチ。お前は生きろ、生き延びろ。

お前は、ここにいちゃいけない。俺たちとは違うんだ。俺たちには、結局、戦って。殺して、死ぬことしかできない。お前は違う。お前になら、俺たちにはできないことができるはずだ。

だからお前は、これ以上、俺たちに染まるな。お前はお前のやり方で、未来を切り開くんだ。

史上最強のKAKURIKIカクリキ、Oral‐SEXitオーゼキ・ウンリュウ。300名以上いた美帝国兵士のうち、実に半数以上が彼に葬り去られたという。ウンリュウの遺体は、周りの美帝国兵士が残らず屍と化した後も、最後まで立ち続けていたという。



先頭を走るアラカワに、限界が近づいていた。容赦なく浴びせられる、機銃掃射。アラカワの身体は既に血塗れになり、その右腕は肘から先が吹き飛ばされていた。

へ、なんてザマだい。アラカワは自嘲する。若手KAKURIKIカクリキたちに散々、身体を作れ、オメーは身体が足りねえんだ、と怒鳴り散らしてきた、当の本人がこのザマである。

わかっていたさ。アラカワは、ひとり呟く。俺は、Oral‐SEXitオーゼキみてぇにはなれない。身体が足りねえんだ。食っても、鍛えても、太くならねえ。縦にばっか、伸びちまう。

何度目かの機銃掃射が、彼の左手を粉々にした。

だからって、よぉ。

「諦めきれっか、よぉ!!!」

アラカワは両腕を喪った身体で、ただ、敵にぶつかっていった。へ!最後まで俺らしい、不細工なKAKURIKIカクリキだぜ!!

アラカワは、文字通り五体を粉々にされるまで、諦めずに立ち向かっていった。



目前を、マルゲリーが、奇声を発しつつ、ムダに左へ右へ、さっきから飛び回っている。まったく、彼は。ひょっとしたら、既に当初の目的を忘れているんじゃ、ないだろうな。

トコツネは、血でずり落ちてきた眼鏡をクイッとやる。

だが今は、そのムダな派手さがありがたい。彼が敵の目を惹き付けているうちに、自分は。自分の仕事を、最速、最短、最効率的に。

インテリHEYAヘイヤ出身、トコツネ。彼のKAKURIKIカクリキは、詰め将棋に似ていた。敵の動きの先の先の先。そこまで読んで、一つ一つ、自分のすべきことを行い、敵の攻撃を潰していく。彼には、司令本部の前から走り出した時には既に、ゴールである正面ゲートまでのルートが見えていた。最も少ない労力で一番倒し易い敵を選んで倒し、出来うる限り消耗を抑える。最も地味な戦い方をする彼が、ただ一人、ゲートの前までたどり着けたのは、ある意味で当然だと言えた。

彼の意図ようやく気づいた一人の兵士が、電動ゲートのスイッチを入れ、慌てて閉じようとする。

「一手、遅い!!」

飛び込んだトコツネが手足を突っ張り、閉じかけていたゲートが途中で止まる。

その脇を、カシハモチとショウキチが、一瞬で駆け抜けていった。

「おっ先ィ!」

彼がらしくもない最期の言葉をかけたのは、同じ頭脳派力士として互いに少なからずライバル心を抱いていた、カシハモチだったからだろうか。

マルゲリーさんは、まだ戦っているのかな…。

静かに目を閉じたトコツネの眼鏡をゲートマンの機関銃が粉々に破壊したのは、彼の計算通りその0.2秒後のことであった。



チョロチョロと、小川が流れている。人目を避けるため、カシハモチは近くの橋の下に潜り込んだ。

追っ手の姿は、見えない。撒いたか。

ヨロ、ヨロ、と歩いてきたカシハモチは、安堵からか、その場にへたりこみ、そのまま大の字に倒れた。バシャ、と川面が水音を立てる。半身が浅瀬に浸かってしまっているが、今はもうこれ以上動こうとは、とても思えない。

隣でゲホ!ゲホ!と咳き込んで、ショウキチが目覚めた。担いでくれていたカシハモチ倒れたので、頭から水面に突っ込む形になってしまったらしい。

「…チッ。生きてやがったか。しぶとい野郎だ。」

カシハモチがぶっきらぼうに吐き捨てる。

ショウキチは、お陰さまで、と言い返したが、あながちそれが皮肉ではなく、自分が気を失ったっていた間、カシハモチが彼を運んでいてくれたことに気づいて、気まずく押し黙った。

その様子を見たカシハモチは、満足げに嫌な笑顔を浮かべると、「感謝しろよ、カントウHEYAヘイヤ」とトドメを刺した。

その言葉に、ショウキチはここにいない皆の顔を思い浮かべ、グッと胸が苦しくなる。

皆、死んだのだ。自分たちだけが、生き残った。

俯いているショウキチに、カシハモチが声をかけた。

「いいんじゃねえか。あいつらは、お前を生かすために、死んだ。お前は、その為に生きている。それが全てだろ。」

めんどくせえ。カシハモチは言い捨てると、ふて腐れたようにまた、バシャッと音をたて、仰向けに倒れてしまう。

仕方なくショウキチも、その隣で横になった。とにかく、疲れきっている。いまはただ、眠りたい。

背中の下を、小川が流れている。秋口だが晴れているせいか水温はまだ温かく、疲れた身体に心地よい。

しばらく二人は並んで寝ていたが、カシハモチが突然、口を開いた。

「お前。SEXITセキートのことが、好きだったのか?」

唐突な問いに、思わずショウキチは「はい」と素直に答えてしまった。気まずい沈黙が、二人を包んだ。

「あの、」

耐えきれなくなり、ショウキチが話しかける。

「カシハモチさんも、コイノボリさんのことが―。」

SEXITセキートとお呼びしろ、カントウHEYAヘイヤ。」

冷たく言い放ったカシハモチに、ショウキチはアラカワの言葉を被らせる。

そうだ。最初の頃、うっかり「ウンリュウさん」と話しかけてしまったショウキチを、アラカワは叱り飛ばした。それ以来、ショウキチはウンリュウと話す機会をほとんど持てなかった。

ウンリュウだけではない。アラカワも、マルゲリーも、トコツネも。そして、コイノボリさえも。思えばショウキチは彼らのことをなに一つ知らないまま、今日まで過ごしてしまった。アラカワに怒鳴り付けられ、すっかり萎縮してしまっていた彼は、彼らに自分から積極的に話しかけることを、自ら放棄してしまったのだ。

彼らは、もういない。二度と話をすることは、できないのだ。

ショウキチは

失ったものの大きさに、改めて気づき始めていた。

「お前にずっと、嫉妬していたよ。」

ぼそっ、と、カシハモチが呟いた。

一目惚れだった。出会った瞬間、恋に落ちていた。コイノボリを熱のこもった視線で追いかける彼は、アイツはコッチの趣味のあるやつだぜ、とあっという間に噂になった。

やがて、コイノボリまでもが男色の趣味がある、と揶揄されるようになった。

カシハモチは、自ら恋する心を殺した。

SEXITセキートの側にいられて、お役に立てれば、それでいい。それで満足なのだ、と自分に言い聞かせていた。

そこへ、こいつが現れた。こいつは平気でSEXITセキートに近づき、好意を隠そうともしない。目障りだった。殺してやりたい、本気でそう思った。だが。

「どうやら、最後には俺の勝ちになったようだぜ。しばらくは、SEXITセキートは俺と一緒だ。お前は、だから、当分こっちに来んなよ。」

ハ!とカシハモチが、鼻に付く笑い方をする。ショウキチは困った顔をして、疲れた笑いを漏らす。

そうだ。まだ、この人がいる。まずはちゃんと、助けてもらった礼を言おう。そして、コイノボリさんのことも、カシハモチさんのことも、色々教えてもらおう。皆に伝えられなかった気持ち、言葉、この人に、たくさん聞いてもらおう。

たくさん、たくさん、色々なことを話そう。


「カシハモチさん。」

ショウキチが呼び掛けるが、返事はない。無視されているのか、寝てしまったのか。仕方ないな、とショウキチは苦笑する。

穏やかな、温かい気持ちが、ショウキチの心を満たしていた。

みんな、素直じゃないけど、良い人たちだった。彼らに出会えて、本当に良かった。心からそう思う。

背中が、水に浸かっているのを感じる。小川が流れているのだ。

秋口だが、晴れているせいか、水温は温かく、心地よい。

まるで、人の体温のような。


「最後には、俺の勝ちになったようだぜ。」


「しばらくは、SEXITセキートは俺と一緒だ。」


「だから、お前は、当分こっちに来んなよ。」


「カシハモチさん!!」

カシハモチの最期の言葉が蘇り、その意味をようやく理解したショウキチは、叫びながら跳ね起きた。

カシハモチは、二度とショウキチと話すことはなかった。

真っ赤な血溜まりの中の、満足そうに微笑みを浮かべ、カシハモチは静に眠りについていた。



カシハモチの遺体は、ショウキチの摘んできた彼岸花で覆われていた。ショウキチの力では、カシハモチの身体を埋めることも、運ぶことも出来ない。彼にできる、精一杯の弔いであった。

すいません、カシハモチさん。ここに置いていくことを、許して下さい。頭を下げるショウキチに、「二度と脚を止めてみろ、俺がお前を殺してやる。」そう言ったカシハモチの声がまた、聴こえた気がした。

助けてくれてありがとうございました。行きます!

ショウキチは駆け出した。

これから先、一人になったショウキチの前には、さまざまな困難が立ち塞がることだろう。だが、ショウキチは知っている。本当に強い男の、広くて、固くて、大きい胸を。

あの日、何度もショウキチを受け止めてくれた、コイノボリの胸。どんな困難も、それ以上の壁にはなり得ないことを、ショウキチは知っているのだった。






















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