表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朱染戦姫の大剣  作者: クロル・N・ロイズ
第一章 幼少期
8/19

アビリティ

前の話を少し直しました。

 私が入ってきた通路は土壁を作って封鎖した。これでここにいる奴はお姉ちゃんを人質にすることはできない。まあ、元からそんな隙は作る気はないけどね。

 えっと盗賊の数は……十三人か。全部で何人いるか知らないけど思ってた以上に多いな。

 とりあえず最初に調べるアビリティは確認も込めてあれかな。試してみたいこともあるから、確認するのにも丁度いいし。


「お前ら囲んで切り殺せ! あのガキが詠唱していない今の内だ!」

「「「おう!」」」


 魔法使いが詠唱するのは誰もが知ってることだしね。生活魔法で。

 それに盗賊の仲間に魔法使いがいるなら当然か。でも大勢でかかって来たらアビリティの確認もし難いし、できるだけ一対一か、二対一で戦えるように行動しようかな。

 私のはイメージだから身体強化の魔法って、どうなるのか試さないといけないけど……筋肉がズタズタになったりとかないよね? 内出血とかはさらに嫌だけど。

 そしてこんな感じかな、と思って体に魔力を通し魔法を発動すると淡い輝きが体を包んだ。

 ……これ、使ったら一発でバレるよね。

 まあ、身体強化の魔法で起きた今の現象は置いておいて、動いてみるか。


「なんで体が光ってるんだ」

「まさか、魔法なのか?」

「だけどあのガキが詠唱をしてな――」


 喋っている途中だったけどいいかな別に。身体強化の方は問題なさそうだけど、光るのは問題があるな。暗闇で光るのとか絶対狙われるだろうし……。

 重要なことではあるけど、今は筋肉がズタズタになったりとか問題なくてよかった。

 その代わりにアビリティを調べれなかったけど仕方がないか。最悪あのアビリティを調べるのはあとにして、サングィスの力が使えるか調べようかな?

 残念なことに私が使えるかちゃんと確認できるアビリティは二つぐらいしかないし。

 一つは魔法の熟練度を上げるアビリティで、もう一つはMPの回復速度アップのアビリティのようなものだから見てわかるものじゃない。それに残ったもう一つのアビリティは、確認したくないアビリティだ。あれは本当に使いたくない。


「この化物め! 死ねや!」


 盗賊の一人が切りかかってきたし、これは丁度いいからアビリティの確認をしよう。

 剣の軌道上から体を逸らして片腕を軌道上におく。剣が肉を断ち骨を打つ衝撃は考えていた以上に痛いが、怪我をしなければアビリティを調べることもできない。

 剣で切られた怪我とか見たくないけど見ないと確認にならないし、と悩んでいる間に痛みがなくなった。それだけで十分確認は取れた。ゲーム時代よりこのアビリティが良くなってるけど。

 近接戦がしやすくなったと考えれば十分いいかな。


「嘘だろ。怪我が治っ――」


 風の刃を作って盗賊の首を刈りとる。残っている盗賊の数は十一人か、とりあえずサングィスも使って集団戦の練習をしよう。

 サングィスを顕現させ身体強化を使った上で振ってみる。

 さすがに強化しているとちゃんと振れるし使いやすい。でもやっぱりゲーム時代と違って小さくなっているような、もしかして今の私の背丈に合わせてるのかな?

 それだったらいいんだけど、というかなんか周りが騒がしいんだけど……。


「あんなデカイ剣、どこから出したんだよ?!」

「あのガキ、魔法使いなのに。さらに才能持ちなのかよ! 頭、どうすれば!」

「うろたえてんじゃねえ! ただデカイ剣を出すだけだ。囲んで殺せ!」


 囲んでもいいけど、確認は済んだからあとは練習用に一人いれば十分なんだよ。

 だから蹂躙しよう。それからはまさに蹂躙と言える光景が広がった。多種多様な魔法を使い盗賊たちを焼き、凍らせ、貫く。サングィスはちょっとしか振らなかった。

 サングィスを出した意味がないかもしれないけど、使うのに慣れないと困るからね。盗賊たちの頭は残しておいた。サングィスの能力を使う練習と……ちょっとした保険用に。

 あと、今更だけどこの体――


「おいおい、呼ばれたから来てみたら、どうなってるんだ。これは?」

「頭、大丈夫ですか! マルクスさんを呼んできたんで、もう安心ですぜ」

「マルクス、あいつは化物だ! 詠唱もなしに魔法を使いやがるし、剣を出す才能持ちだ」

「詠唱をしない。剣を出す才能持ち。どれだけふざけた力を持ってるんだよ……」


 あの優男みたいなのが魔法使い。盗賊の一人って感じがしないんだけど、本当に盗賊なのか? まあ気にするところはそこじゃないか。でも盗賊に見えない。


「おい下っ端。とにかく時間を稼げ、俺がやってやる」

「マルクスさん、あんなの近づけるわけないじゃないですか!? 剣を出す才能持ちなんて、化物って有名なやつですよ!」

「いいから時間を稼げ。じゃないと普通に皆殺しにされるぞ」

「クソ、こうなったらやってやる!」


 下っ端って名前をちゃんと覚えてやればいいのに。確かに下っ端って言われるだけある。さっき蹂躙した盗賊たちより見ただけで弱いのがわかる。

 それにカフルみたいに単調だな。それより頭は私が身体強化、わからなくても身体能力について言ったりとかしないの? もしかして魔法の威力とか見て記憶から飛んだのか?


「【風よ集いて我が敵を切り刻め。ウィンド・カッター】」

「え? まさかの?」


 まさかよくある魔法名が聞こえるとは思わなかった。古代語の詠唱とか、この世界の言葉の意味で名前がついているのかと思ってたけど、まさかシンプルな魔法名。

 動揺していたせいで片腕切られた。凄い痛いし、好機とばかりに下っ端くんも刺してきたし。

 まあ、サングィスは持っているから保険を使おう。魔法を使う時の要領で剣に魔力を込める。

 その瞬間、(かしら)の体が突然内側から爆発し周囲に血を撒き散らす。


「なんだ! 一体何が起きたんだ!」

「頭が、頭が粉々にな――」


 下っ端くんには刺されたお礼に首にサングィスを刺してあげた。大剣だから首が落ちたけど。

 血を浴びたおかげで回復したし、魔法は一つしか見てないけどレベルは理解した。

 今のまま学校に通っても私は十分やっていけるだろうし、でもちょっと剣を出す才能持ちは気になるから話し合いだな。だって私と同じ転生者がいるかもしれないんだから。

 殺すのは決定事項だから手足を切って反撃や、逃走しないようにする。すぐに死なれると困るし止血程度の回復に挑戦をしてみた。

 だけど、あまり想像魔法に回復系は向かないみたいだ。

 足が生えるか挑戦してみたけど駄目だったし。


「いてえ、いてえよ。この化物め」

「ようやく悲鳴を止めてくれた。もう少し早く止めてほしかったけど。いくつか聞きたいことがある」

「宝のありかか? 俺たちが今までしてきたことか? 何を聞かれても俺は答えない。どうせお前は聞いたあとに俺たちを殺す気だろ。俺の手足もこんなにしやがって」

「逃げるかもしれないから仕方がない。話す気がないなら望み通り殺すよ。本当は見逃す気だったけど仕方がないよね。話す気がないんだもん」

「わかった話す! だから見逃してくれ! なにを聞きたいんだ?」


 聞く内容は決まっている。剣を出す才能持ち――だと慣れないから、アビリティ名である神剣と呼ぼう。聞く時に神剣アビリティは、と聞きはしないけど。

 神剣アビリティ持ちについて聞かないといけない。だって面倒な人がいたら嫌だし。

 知っておかないと、会った時に困るからね。


「剣を出す才能持ちについて知っていることを教えて」

「公国ベルツの姫を救ったと話題になったスラムの少女がその才能を持っている。どんな攻撃もそいつには届かないらしい。見えない壁に弾かれるとか。それ以外は知らない」

「なら、とんでもない事件とか知らない? 不思議な事件とか、この部屋の惨状みたいなのとか」


 神剣アビリティ持ちは個性が強いのが多いから。

 何か仕出かしている可能性が高い。盗賊に捕まって血だらけの部屋を作り上げる私がいるように。聖剣系でも魔剣系でも、なんらかで有名になるのは当たり前だし。


「そんな大事件なんて……一つだけある。聖国フォーティアであった教会の孤児院が、一人の孤児を残して全員が行方不明の事件」

「その事件については詳しく知らないの?」

「それ以上は知らねえよ。それでちゃんと見逃してくれるんだよな」


 見逃すことに嘘はないが、騒がれると面倒だから寝てもらうけどね。

 姉に気づかれたら気にしかねないから死んでいることにしたいんだ。まあ、今の両手足がない状態で見逃したら、いずれ死ぬだろう。

 他に盗賊とかいたら助かるかもしれないけど、いたとしても……。


「そんな盗賊たちには死んでもらうけど」


 私は構えた大剣の腹で叩き魔法使いの意識を奪った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ