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朱染戦姫の大剣  作者: クロル・N・ロイズ
第一章 幼少期 リメイク版(?)
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罰ゲーム

第二話のリメイク版(?)になります。

「リンシアがアリシアのことを、凄く好きなのはわかっているけど、もうちょっと周りのことを考えなさい。それにアリシアに冷めたご飯を食べさせたくはないでしょう?」

「うん。お母さんもアリシアも、ごめんなさい。次は前もって髪型と服装は考えておくよ」


 なるほど、面倒をみるのは止める気がないということか。まあ、そうなることは予想できることだからね。私はとっくの昔にそれは諦めているから気にしてないさ。

 でも、お姉ちゃんのは面倒を見るというより、面倒を与えているようにしか思えないんだけど。主に私とか。

 だって今の私でも一人でできるし。服を選ぶのも着るのも、髪を直すのも全部。髪は直す気とかは面倒でほとんどしないけど、ちゃんと一人でできるんだから。諦めているけどね。

 お父さんもお母さんも呆れているし、ささやかだけど私は期待しているよ、お母さん!


「……今度からはそうしてね」


 お母さんが私に向ける視線に、ごめんね、という意思がこもってる気がした。でも私は、できればお姉ちゃんを止めてほしいんだよ! 自由な時間がほしいの!

 あ、別に完全に自由な時間がないわけじゃないよ。お姉ちゃんが出かけたりしたら私の自由時間はあるし。もうちょっと自由時間がほしいところだけど、仕方がないからね。

 一番ほしい自由は、服装や髪型の自由だね。無理だというのならば、せめてホットパンツを作りたい。

 あれ? 私の感じている違和感て、ズボンを穿いたからできたのかな?


「父親としてはあまり聞きたくないことだが……リンシア、ちゃんと結婚してくれるよな? お父さんはいつも気になっているんだ。リンシアがこのまま結婚しないんじゃないかって」

「お父さんは気が早すぎだよ。結婚できるようになるのは成人からだよ。あと五年もある」

「確かにまだだが、父さんが気にしているのはそこじゃない。リンシアが将来結婚する気があるのか気になってるんだ」

「それはお母さんも思ってるわ。リンシアは妹離れもしなさそうだから、ちゃんと適齢期の内に結婚できるかって。リンシアのことだから、アリシアが結婚するまで待つといいかねないと私も思っているし」


 確かにお姉ちゃんなら言いそうだ。それにお姉ちゃんのことだから「私がアリシアに相応しいか見極める!」とか言いそう。でも……私はあまり結婚とか考えていないんだけどねー。

 さすがにお姉ちゃんのために結婚するのはおかしいからしないけど。私が結婚したいと思ったりしたら別だ。仮に思ったりしたら状態異常かもしれない、だって私がそんなこと思ったらそうとしか思えないよ。


「私はちゃんと妹離れできるから大丈夫だよ! お父さんもお母さんも、最近そんな話ばっかり、私を信じて!」

「え、ええ信じているわ」

「お父さんも信じているぞ」


 二人とも目を逸らすなんて、信じてないと言ってるようなものじゃないか。

 今までのことを考えれば当たり前のことだし、私もお姉ちゃんが妹離れできるとは思ってないから同じだけどね! だってお姉ちゃんだから……。

 ほら、お姉ちゃんも気づいてるよ! 頬を膨らませ不満を表情に出しているよ!

 でも、なんか頬を膨らませているの可愛いから弄ってみよっと。


「もしかしてお姉ちゃん、どっか行っちゃうの?」


 もちろん悲しそうな表情をちゃんと浮かべる。無表情でやるわけにはいかないし、ニヤついてやるわけにもいかないからね。中々よくできたんじゃないかって思うよ。

 (本職)には劣るだろうけど私だって一応、今は女だからね。基本そんなことしないけど。


「お姉ちゃんはアリシアを置いてどこにも行かないから安心して!」


 お姉ちゃん、手のひらを返すのが早い気がするんだけど大丈夫?

 普通は更に呆れられそうだけど、なんか二人とも安心したような表情してるけどどうして? まさか、お姉ちゃんの頭がおかしくなったんじゃないかって心配したの? 私もするから納得しちゃうけどさ……お姉ちゃんに悪いよ。

 今のお姉ちゃんは気にしていないみたいだけど、一応ね。



   ☆   ★   ☆



 今日も父と母は仕事に出かけていった。お父さんは弓を持って行くし、いつも「大きい獲物を取ってくるからな」と言っているから狩りだろう。お母さんはなんの仕事をしているか知らないけど、いつもご苦労様です。

 私とお姉ちゃんは留守番、といっても自由にでかけていいんだけどね。

 この村は小さいから近所は知っている人ばかりで、それに元から盗みを働く人はいないから。一応警戒したりはしてるけど森や山に対してね。

 そんなことより、お姉ちゃんが遊びに出かけないなんてどうしたんだろう?


「お姉ちゃん。今日は友達と遊びに行かないの?」

「今日は遊びに行く気はないよ。今日のお姉ちゃんはアリシアと久しぶりに一緒に遊ぼうと思ってるからね。アリシアはいつもこの時間は何をしているの?」


 ……確かに、というよりこの時間帯にお姉ちゃんと一緒にいるのは久しぶりだ。

 お姉ちゃんはいつもご飯を食べ終わったらそのまま友達のところに遊びに行くからね。いつも私を家において行く理由はわかっているけどね。前に聞いちゃってさ。

 私に友達と遊ぶ時間を、それに私自身の力で友達を得らせるためにって……私はその時間で魔法の練習をしていたからボッチだけど、私は気にしていない。だって望んでボッチになっていたんだから。

 どう過ごしていたのか知ったらお姉ちゃん驚く……より、辛そうな表情をするだろうね。

 言わないでおこうか悩む。この世界の魔法には問題がある、というより正しくは魔法使いにある問題がある。


「…………いつもは山の入口辺りで魔法の練習をしてる」

「魔法の練習を……。アリシアって、もしかして魔法使いになりたいの? でも、魔法使いは――」


 やっぱりそう言いたくなるよね。別に魔法使いは兵役の義務があるとか、扱いが酷いとかは別にない。皆、魔力を持っているしどこの国でも酷い扱いはされない。魔法のおかげで成り立っている国もあるからね。

 だから姉はちょっと心配しているんだろう。夢が叶わない確率が高くて私が辛い思いをしないかを……。


「ちゃんとわかっているよ、お姉ちゃん。魔法使いは初級魔法が使えないといけないのはわかってるよ」


 この国というよりこの世界に何種類の魔法があるかとかわからないが、私が今知っている魔法は詠唱魔法である、生活魔法と初級魔法だ。初級魔法は魔法使いと名乗る基準であるか知っているだけで、詠唱を知らない私は使えない。

 そして生活魔法は平民でも使える生活に使われる簡単な魔法だ。七歳になると親から子に教えられているため誰もが知っている。それに生活魔法には威力がないからね。

 まあ、魔法使いになれる可能性がないからこそ、お姉ちゃんは心配しているんだよね。叶わない夢だと思っているからこそ……。

 だとしても私は諦めないけどね。可能性は零じゃない。


「でもね、お姉ちゃん。頑張るのはきっとむだじゃないから、きっと大丈夫なんだよ」

「そ、そうだね。お姉ちゃんはアリシアならきっと魔法使いになれるって信じてるよ!」

「…………ありがとう」


 これは絶対に信じていないな、慰めようとしているようにしか思えない。

 さすがにバレているのがわかっているのか表情がちょっと暗い。どんな表情をしようとも私は魔法の練習を止めないからね。今日はお姉ちゃんが一緒にいる気みたいだけど、魔法の練習はどうしよう?


「それで、お姉ちゃん。私は今日も魔法の練習をしようと思ってたんだけど」

「……アリシアがもし、練習だけしたいって言うならお姉ちゃんは見てるだけにするけど。ついて行ったりとかだめだったりする? だめなら諦めるけど」

「んー。別にいいよ。でも、せっかくお姉ちゃんと一緒なんだし、今日は練習を休みにする。だから今日は一緒に遊ぼう、お姉ちゃん」


 さすがに練習だけしてると飽きるし、いつもは満足に感じたり、ある程度時間が経ったりしたら練習を切り上げているからね。一日、何時間練習するって私は決めていないから問題ない。

 それに魔法の練習なんていつでもできるからね。私がしている魔法の練習って、魔力操作がメインの練習だから。今では基礎と思えるもの以外に二つの応用を時々やってるから。問題ないとしても色々と魔法の練習はするけどね。

 ちょっとだけ生活魔法について理解できてきたところでもあるし。

 多分、お姉ちゃんに気づかれずに練習できる。


「本当にいいの? 魔法の練習を休みにしても……」

「大丈夫だから気にしないで、お姉ちゃん。それでどこで遊ぶの? お姉ちゃんに任せるよ」

「じゃあ、アリシアがいいならなんだけど、花畑に行かない? あっちの方にある山にちょっと入ったところにあるの。リッカちゃんに教えてもらったって行ったんだけど、凄く綺麗な場所なんだよ」


 山の麓辺りまでは行ったことあるけど山か。どこまで登るかわからないけど、ちょっとと言っているし、最近は結構体力もついてきたからね。午後にやっている練習のおかげだ。

 あ、でも今日は午後の練習は止めた方がいいかな。お姉ちゃんが見たら心配するだろうし。

 でも、どうやって今日は参加しないと連絡しよう。

 向かっている最中に会ったら、それとなく行かないことを伝えればいいか。


「いいけど、お姉ちゃん。山に入って大丈夫なの?」


 山や森には怖い生き物がいると皆言ってたからね。お姉ちゃんたちが入っていたのに驚きだけど、それよりお姉ちゃんたちが心配だ。肉食獣や魔物が山や森にはいるらしいから。


「大丈夫だよ。本当にちょっと行ったところだし、その辺りは怖い生き物はいないから大丈夫だよ」

「でも、お姉ちゃん。花畑でいったいどんな遊びをするの?」

「花畑での遊びは、それは……」


 私には花畑での遊び方はわからない。というより、子供としての遊び方がわからないけど、花畑での遊びの方がもっとわからない。

 花を摘んだり、花の冠を作ったりとか……いや、これでは行程だな。花を摘んで冠を作るだけ?

 駄目だ。日常の記憶がないから、というより私には花畑での遊びが思いつかない。


「それは着いてからのお楽しみってことで楽しみにしてて、アリシア。じゃあ、準備して花畑に行こっか」


 お姉ちゃんも花畑での遊びが思いつかないんじゃないの? 本当に大丈夫なの?

 色々と不安なところだけど、遊びが思いつかないのなら違う遊びにすればいい。村に戻って友達の輪にまじればいいからね。その友達は全員、姉の友達だろうけど。

 その姉が作った昼食をバスケットに詰めて近づいてきた。姉は凄く満足そう。でも家にある材料だとあまり美味しいものは作れないんだけどね。

 可哀想だから気分の下がるようなことは言わない。


「よし! 準備ができたから行こ、アリシア!」


 そして家を出た時に姉が嬉しそうに提案してきた。


「アリシア。山の入口のところまで手を繋いで行かない?」


 お姉ちゃんよ。それは一体、なんの罰ゲームなの? 恥ずかしいんだけど……。

改善点や誤字脱字があった場合、教えてもらえると感謝です。

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