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泣き虫とふわふわ

作者: こまき

しくしく

真っ白でふわふわな優しいその場所に、小さな泣き声が響きます。

独りぼっちが寂しいの。

そう、一人で蹲って泣く大好きな子の姿に真っ白なふわふわは哀しくなって体を灰色に染めました。

大粒の涙はポロポロと零れ落ちて、下へ下へと消えていきました。



『どうして泣いているの?』

君は一人じゃないのに。

僕は君のすぐ近くに居るのに。

気付いてもらえなくて、ふわふわはとても哀しくなりました。


灰色はどんどん色を染めて、黒く黒く染まっていきます。

優しかったふわふわは、ピリピリと心を暗くしてしまいました。


『ボクに気が付いてよ!』

叫び声は声になりません。

しかし、その強い思いはピカリと光って大きな音になって下へ落ちて行きました。


大きな音に驚いて、泣き虫な子はハッと顔を上げました。

気が付いて貰えた嬉しさに、ふわふわは沢山叫びました。

『ボクはここに居るよ!だから、泣かないで。独りぼっちじゃないんだよ。』

叫んだ声は言葉にはならなかったけれど、大きな音が鳴り響きます。


一瞬だけ驚きで涙は引っ込んだと思ったのに。

大きな音と光に怖くなった泣き虫は、えんえんと大声を上げて再び泣き出してしまいました。

ポロポロと大粒の涙はさっきより酷くなり、落ちていきます。


『どうしよう。失敗だ!』

おろおろと涙を止める方法を考えますが、ふわふわはどうする事も出来ません。


『泣かないで。お願いだから泣かないで。』

届いていなくても伝わらなくても、優しく優しくふわふわは包むように泣き虫をなだめます。

どうか、泣かないで。

黒く染まっていたふわふわは。ピリピリとした空気を薄めて優しくなりました。

怖くなんて無いよ。泣かないで欲しいんだ。

黒く染まった色は段々薄くなり穏やかな灰色に。


ふわふわの願いが叶ったのでしょうか。

泣き虫は嗚咽をゆっくりと治めていきました。

泣きつかれてしまったのでしょうか。

ひっくひっくと、しゃくりあげる声が寝息に変わります。



『泣き止んだ・・・』

眠ってしまった泣き虫の姿は、笑顔が見たかったふわふわの望み通りではありません。

独りぼっちじゃ無いんだと、伝えられても居ません。


だけれど、泣き虫の顔は穏やかで。

あどけない泣き虫の寝顔を見つめながら、ふわふわは色を元の真っ白に戻しました。


ふわふわは、嬉しく優しい気持ちになりました。


どうかどうか

泣き虫の笑顔が見られますように。

独りじゃないって事を分かってもらえますように。

ふわふわは眠気に誘われて、泣き虫を包みながら眠りにつくのでした。


何とは言いませんが、多分なんかの擬人化なんだろうと思います。

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