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(意識がある?)
(車が突っ込んだきたから死んだと思ったけど…)
(病院なのか?それにしては病院独特の雰囲気はないし、天井は木組みに漆喰みたいな感じだ)
(なんか眠いな)
魚沼 月は再び眠りについた。
◇◆◇
(やっぱり転生ってやつだよな…)
あれから目が覚めて、衝撃的なことがいくつかあった。
西洋系の顔立ち押した女性だ。その女性の背がとても高かった。小柄ながらも僕の身長は155cmはあった。
そして、気づいてしまった。手が赤ちゃんみたいな手だ。女性が大きいのではなく僕が小さくなっていた。
もっと衝撃的なことがある。この世界?には魔法がある。この女性が暖炉に手を伸ばして小声でなにかを呟くと暖炉に火が灯ったのだ。
(前世といって良いのだろうかわからないけど、ライトノベルや漫画で流行の来ていた異世界転生ものでよくある中世の世界のやつだよな……魔法もあったし)
この少年が気づく余地もないがこの世界は元の世界とほぼ同じ時間軸だ。魂の移動のロスタイムが多少あるが。
(それにしても、この髪色が金の微笑んで眺めてる女性は母なのだろうか。異世界転生ものにありがちの使用人の服装に比べると、明らかに華美な服装ではあるが)
「●◆◆←*§▼■@↑→↓◇@↑▲△」
(正直に言おう言っている言語がさっぱりわからない。これでもヨーロッパ系の言語は日常会話レベルならだいたい制覇してるのになぁ。制覇してない言語の可能性もあるがさっきの魔法といいここは異世界で決定だな)
「おぎゃあぁぁぁぁぁぁぁアァァぁああ」
(って、自分では感情を制御しきれないのか)
すると、女性がなにやらごそごそし始めた。
(ラノベなんかだとやっぱりご飯だよな)
(案の定そうだったか。にしてもこの体だとお腹いっぱいになると眠くなるのか)
(また寝よう)
◇◆◇
あれから約三ヶ月はたった。
あの女性はやはり母親だろう。転生して、一週間たったあたりで父親らしき人が来た。その男性は女性と仲良さげにハグしたり僕に対してもしてきた。父親と母親とみて間違いないだろう。
父親は180cmはありそうで、体格も良く騎士という言葉が良くあいそうだ。髪は赤茶色だ。三ヶ月のなかでたまに長期間家をあける。家にいるときは必ず朝抱っこなんかのスキンシップをしていく。
母親は150cmくらいの小柄な身長。髪は金色橙色がま混ざった感じだろうか。若々しい見た目だ。美人かどうかは僕の基準だからなんともいえないけど、美人ってより可愛いという感じだ。
この家にはメイドさんと執事さんがいる。
といってもメイドさんも執事さんも30代は少なからず越えているであろう見た目だ。小説なんかでありがちな超美人とかじゃなくて、火事に終われる主婦といった感じだ。
ただ執事さんは60代はいってそうないかにもな見た目でセバスチャン呼ばれていそうだ。燕尾服をきっちりと着こなし歩き方もどことなく優雅だ。
後、僕の今世の名前はシオンって名前みたいだ。
というのも、父や母が僕に対してシオンって呼びかけてくるのを何回も聞いた。
ちょっとした雑学だけど前世の世界ではシオンってのは聖書中にでてくる丘だ。神の住む丘ってことかつ『神の都』と言われてた。
話は脱線したけど、家族の会話を盗み聞きしたおかげで言語のグラマーは大分わかってきた。構造は日本語に近く、発音は高地ドイツ語の摩擦音や破裂音が多く閉鎖音が存在しないように聞こえた。
ただ、あまり多くの単語は聞けてないから部分的なものかもしれない。
そうそう、この家は恐らく裕福だろう。木製の籠から周りを見回すとアンティークな調度品が目立った。
ウォルナットらしき木材の机やマホガニーのような赤褐色で光沢のある棚なんかが見えた。この籠も見た感じではチークを良く磨いたときにでるような光沢がでていた。