承‐5.花畑
長らくお待たせいたしました。
久しぶりに投稿ですね(汗)
蛍が走り着いた場所は、館の裏にある切り立つ岩肌が立ちはだかっている場所であった。
蛍はそっとヒナタを地面に降ろし、近くの茂みをかきわける。
そこから姿を現したのは、大きな岩であった。
「蛍さん? ここに何かあるんですか?」
ヒナタが首をかしげながら尋ねる。
蛍はその言葉に微笑みを返しながら、岩の表面を探るように触れた。
静かに成り行きを見守っていると、ある一点に触れた時に“ガコン”と音がして、重い岩が横に少しずつずれ始める。
「ヒナタ、下がって」
「は、はい」
蛍に言われヒナタが後ろに下がり始めると、本格的に岩が動きだして、パラパラと小石が降ってくる。
それと共に砂埃も舞い始めた。
凄い仕掛けだなぁ……蛍さんが解除の仕方を知ってるって事は、蛍さんが造ったのかな?
ヒナタがぼんやりそんなことを考えていると、岩の動きが止まったようで、音がしなくなり少しずつ砂埃がおさまってきた。
岩が隠していたもの……それは――――穴。
大岩より一回りくらい小さいが、人が通るには十分な大きさの穴であった。
「ヒナタ、中は暗いから」
そう言って蛍が手を差し出している。
中に入るつもりらしい……蛍が行きたがっていた場所がこの穴の中にあると分かり、ヒナタは決心したように力強く蛍の手を握った。
洞窟内を少しずつ進む。
暗い空間の中で二人分の足音だけが響き渡っていた。
しばらくすると風が前から吹き抜けていく。
「もうすぐ」
蛍も風を感じたようで、ポツリと呟やいた。
奥の方にオレンジ色の光が見える。
蛍とヒナタは足早に近付いていき、光の中に飛び込んだ。
「ここは……」
辺り一面が様々な色の花が咲き誇り、真ん中には大きな一本の木がそびえ立っていた。
洞窟の天井はポッカリと穴が空き、筒抜けになった洞窟内に夕陽が差し込んでいる。
風が花弁を舞わせ、二人を優しく包み込んだ。
「蛍さん、ここに何があるんですか?」
ヒナタが花畑を眺めながら尋ねると、蛍はゆっくり頷き木を指差す。
よくよく見ると木の幹に何かあるようで、チカチカ光るのが分かる。
「行こう」
蛍の一言でようやく脚を進めた。
花を踏んじゃうのは気が引けるな……。
そんな事を考えながら木に近付く。
……やはり、木の幹にビー玉のような大きさの球体が挟まっていた。
色は蛍の瞳と同じ琥珀色である。
蛍はそっと球体を幹から取り出して見つめた。
「蛍さ……」
「ダメ」
「え?」
蛍はヒナタの言葉を遮り、球体を握る。
「たぶん、これはダメな事。でも……」
何がなんだか分からない中、ゆっくりと蛍とヒナタの視線が交わる。
ヒナタは止めようと手を伸ばしたが、蛍はそのまま拳に力を込めた。
――――“パキッ”という小さな音がした瞬間、ヒナタ以外の全ての時間が停止する。
静寂の中で“チリン”という鈴の音が響く。
ヒナタは蛍の身体越しに輝く何かを見つけた。
白銀の長い髪が黄昏の中でなびいてる。
翡翠の瞳――――。
「睡蓮さん……?」
翡翠の瞳が妖しく輝く。
違う。
貴方は……。
まるで何かを肯定するかのように、“チリン”とまた鈴の音が響いた。
せめて、蛍編は完成させたい……。
煌・昴・朔『おい!』
――ですよね(泣)




