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「デブ姫様、少し早いですが皆様がいらっしゃってます」

「何で?約束してたっけ?」

「入園前に殿方が迎えに来るのは当たり前です」


入園式って家族っと一緒なのが当たり前だと思ってたけど。

そんな私の顔色を見てアンがため息を付きました。


「デブ姫様、貴族社会ではご家族が学園に行くことは殆どありません。一緒に行くのは使用人くらいのものです」

「そうなんだ」

「そうなんです。なのでわたくしもノアも一緒に学園に参ります」

「えっ!?一人で大丈夫だよ」


だって、私最近腹筋で体起こせるようになってきたし。


「デブ姫様は、この世界では高貴な身分の者は自分では何もしません。今だってわたくしやノアが身支度など身の回りを整えていますでしょう?」

「そうだね、でもそれはお城の中だけだと思ってた」

「違います。どこに行っても使用人にお任せください」


うわ~。めんどくさそう。と顔をしかめたのがいけなかったのだろう。

アンに睨まれた。

うひゃ、と首を竦めてアンから視線を外すと慈愛に満ちた表情のノアと目があった。


「デブ姫様?」

「何?ノア」

「デブ姫様の制服は一人では着れませんよ」

「何で?」

「百聞は一見に如かずです。では、まず姫様後ろのファスナーに手が届きますか?」


あっ!!!

私は慌てて手を背中に回した。

届きません。分厚い脂肪の塊に邪魔されて届きません。


「よく、それで一人で何でもできるとおっしゃいましたね。靴下すら一人で履けないデブ姫様☆」


あぅ!

だって、お腹の肉が邪魔で屈めないんだもの。

チラリとノアを見るとニコニコ笑顔のままだ。

その笑顔の下で毒舌吐くから怖いんだよ。


「えっと、すみません。学園に一緒に来てください」

「「かしこまりました」」


二人の顔がよく出来ましたと彩られた。

小学生扱いだよ。

中身はアラフォーなのに、なんか屈辱的だ。


「それでは、皆様をご案内してもよろしいでしょうか?」

「よろしいですが、ひとつ質問」

「はい」

「学園に行かなくていいの?」

「姫様は一番最後に堂々と入ればよろしいので時間はたっぷりあります」


一番最後にデブがイケメン従えて、殺意の篭ったうら若き女性達の視線を受け止めろということですか。

想像しただけで、恐ろしい。

嫌だよ。人ごみに紛れてさっさと入園してしまいたい。

そう口に出そうしたら、アンの笑顔に深みがかかった。


あっ、はい。私は言われた通りにします。

なのでその恐怖の大魔王並みの笑顔を収めてください。

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