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結局その1を二時間も待たせてしまった。

その1と呼ぶのはかわいそうなのでリンスくんと呼ぼう。

今後は名前で呼ぶように二人にも注意しておいた。

じゃないと私が名前覚えられないしね。


二時間も待たされたリンスくんは帰らなかった。

そのまま帰ってしまえばよかったのに。

ちっ

聞こえないように小さく舌打ちをする。

そんな私の前では件のその一もといリンスくんがニコニコ微笑みながら座っています。


サラサラの金髪にバッキリ二重のエメラルドグリーンの瞳を持ち、陶器のような透き通るようなシミ1つない白い肌の笑顔が可愛らしい、10歳の男の子が口元に笑みを浮かべながら優雅に紅茶をたしなんでます。 室内に差し込み日射しをバックになんて絵になる光景でしょう。

おばさんも見とれちゃいます。


・・・・目が笑っていてくれさえすれば。


目が笑ってないのって怖いよ〜。

天使の笑顔で、射殺されそうな眼差しで私を見つめてきます。


「お待たせしてしまって、すみません」

「っ、いっ、いえ、いつもより待っていませんからお気になさらずに」


突っ込みどころ満載の返答です。

まず私が謝罪を述べたことに驚いたのか一瞬視線から殺気が消えた。

続いて、いつもより待ってない・・・

いつももっと待たせてるの~~~!!

今だって2時間待たせてるんだよ。

どんだけだよ!

いや、いきなり来たリンスくんも悪いし。

そうだよ。女性の準備は時間かかるんだ!

うん。私は悪くない。

まぁ、昔の私だったら起きて出かけるまで35分。

ちなみに化粧もばっちりして。

朝食はとらないけど。

ご飯より睡眠を優先しましたがなにか?


「そうだ!私とした事が忘れておりました。この間お話ししました、プレゼトをお持ちしました」

「まぁ、何かしら」


突然リンスくんが嬉しそうに従者に視線をやりました。

控えたリンスくんの従者がうやうやしく差し出してきた箱を受けとる。

たかがブレゼント渡すだけなのに何も膝まずかなくても。

受けとるのに躊躇しちゃいましたよ。

その上この間お話しましたって、それ前の私の時だよね。

どんな会話をしたのか怖いです。

内心ビビりながら長方形のそれを眺めます。


「お気に召しませんか?」


リンスくんの顔が悲しげに歪んだ。

美少年はどんな表情でも樣になるよね。

その瞳が憎憎しげに睨んでなければ、な!

甘いなガキよ。

こっちとらアラフォー女だ。

小さな表情も見逃さないよ。

ってか、中も見てないからお気に召すも何もないよ。


「いえ、まさかプレゼントをいただけると思わなかったので驚いてしまいましたの。ありがとうございます」


私の答にリンスくんは驚いたように目を見開いた。

ははは、リンスくんよ今日は目輪筋が大忙しだな。

睨んだり、見開いたり。

動かすのはいいことだよ。

老眼防止になるしね。

まぁ、まだ10歳だけどね。

若いうちから鍛えないとね。


何が入っているのか内心ワクワクしながら包装紙というものがないのでリボンをゆっくり解いてそっと開けました。


「おぉ~ぅ!」


中身を見てビックリ。

予想してなかったわ。

クリスタルのように透き通った細長い棒状の物に、革紐がまかれている。よく見ると革紐には突起物が多数あった。

世間一般的にはムチと呼ばれる物。


「いかがです?トゲを付けながらもしなやかで、軽くなっております。耐久性にも優れておりますので、軽く五百人はいけます!」


いや何が?

ドヤ顔で説明しないで下さい。

って、鋭いトゲで打たれたら皮膚が裂ける処か肉抉れちゃうよ。

これで喜ぶ女性いるの?

ドン引きだよ。


「お気に召しませんでしたか?その手の職人が命を懸けて作ったものなんですが・・・」

「いや、うん。お気に召すも何も・・・」

「姫様のおっしゃった通りに作ったつもりだったんですが、もっと殺傷力のあるものに作り変え・・・」

「気に入りましたわ!!物凄く!!あ~~~あ嬉しい。素敵なプレゼント。こんなの欲しかったんです!!

うふふふふふふ」


危ない危ない。

500人でもドン引きなのにこれ以上ってどんなの作るんだよ。

作り直されたらどんだけ悪い方にバージョンアップされるかわからないわ!


「良かった。喜んで貰えて嬉しいです。あはははは」

「うふふふ」


笑いが引きつるわ!

そして喜んでないから!


「ひっ!!」


ん?悲鳴?

従者の人をよく観察しているとガタガタと震えています。

何かを覚悟したように固く目を瞑って耐えています。

疑問に思いながらもお茶を飲むのに邪魔なのでプレゼントをアンに渡します。

というのは建前で、私にSM趣味はありません。

危険な物を手元きたくないだけです。


ガチャガチャ。


耳障りな音がするなと発信源を探していると、それはリンスくんの手元から聞こえます。

リンスくんの身体の震えがカップに伝わっているみたいです。

急にどうしたんだろうか?

リンスくんはチラリと従者に視線を流し、覚悟したように私の目を見つめてきた。


「ひ、姫」

「はい?」


声裏返ってますが大丈夫ですか?

何を緊張しているんだろう。

もしかして!私知らないうちに何かしちゃったのかしら?

今の私は変なことはしてないはず。

・・・・多分。

前の私のことは責任持てないよ~。

あまりの真剣な眼差しに私の方も緊張してきました。

こ、怖い。

暗殺とか?

この場でリンスくんの従者にバッサリ切られちゃったり?

堂々としてるから暗殺とは違うようね。

暗殺って密かにとか不意打ちとかだよね。

でも、私今警戒してるよ。

じゃぁ、堂々と暗殺?

いやいや、それも違うよね。

一体これから何が起こるのか。

私もいつでも逃げれるように体を準備して、固唾をのんでリンスくんの動向を見守ります。


「どうぞ試し打ちをしてみてください」

「ふぉっ!!」

「いつものようにその者をお使いください」

「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぇえぇ!!!」


違う意味で怖かった。



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