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「ねぇ、ノア」


私が無理難題をお願いをしたためか、声をかけられたノアは次は何を言われるのかと身構えている。

そんなに警戒しないでもらいたい。

さっきのは命令じゃないし・・・お願いだし・・・そんな無理なお願いしてないと思うんだけど。

む~んと唇を尖らせながら、ビクビクと警戒しているノアに向かって口を開く。


「この国の事を知りたいの」

「へ?」

「ノアは分かる?」

「どのような事を知りたいのでしょうか?」

「全部」

「全部ですか?」

「そう。この国の成り立ちから、近隣諸国。そして国民のことも知りたいわね」

「国民!!」


何故そこで驚く。

国民の言葉を聞いた途端にノアはガタガタと震えだした。


「ひ、姫様・・・」

「デブ姫様!」

「失礼いたしました。でぶ・・・姫様」


まだまだ、ノアは言い慣れてない。声を掛けるたびにためらいながら、デブの部分は聞こえるか聞こえないかわからないくらい小さい。

仕方ない。長い目で見なくっちゃ。


「何?」


紅茶を飲みながらフルフル小さく震えるノア見て首を傾げる。


「こ・・・国民は精一杯努力しております。これ以上税をあげられると・・・」


おウフッ!

ノアの勘違いに私は紅茶を吹き出してしまった。

慌ててナフキンで口元を拭う。

アンがはしたない。と睨んでくるが無視だ。

どこをどうとったら税をあげる意味になった?


「デブ姫様」

「何?アン」

「国民の事をしってどうなさるおつもりですか?」

「どうするもなにも、この国を支えてるのは国民でしょう?困ったりしてないか知りたいんだけど」


私の言葉を聞いたアンさんがポケットから素早くハンカチを取り出して目元に当てている。


「ご立派になられて。最初アンはデブ姫様がお狂い・・・事故のおり頭を打たれて正気をなくされたかと思いましたが、本来のデブ姫様に戻られたのですね。デブ姫様はお小さい頃本当に聡明でメイド達と分け隔てなくお話などをされておりました。その頃のデブ姫様に戻られたのですね。アンは・・・アンは・・・デブ姫様に使えられて本当に嬉しく思います」


褒められているのは分かる。だが会話の途中にでてくる「デブ姫」の言葉に全然褒められている気がしない。

むしろ貶されている気がする。

自分から頼み込んだことだけど・・・・ムカつく。

これが言葉マジックか。

絶対に痩せてやるって思ったわ~。

考えた女性は凄いね。


「まぁ、ということで、アンかノアは知ってる?」

「私はあまり・・・」

「それならば、先生に頼めばよろしいのではないでしょうか?」

「先生?」

「はい。本来ならデブ姫様に勉学を教えるために遣わされた人物がおりました」


過去形?

今過去形で言ったよね。

考えたくはないけど答えは一つ。


「その人って・・・今は?」


二人して視線をそっと逸らす。

そうか、あの世へ送っちゃったか。


「誰か・・・いる?私に教えてくれそうな先生・・・」


今から探しても警戒されて探せないかもしれない。

誰でも命は大事だものね。


「探し出します」


アンの使命感に火が付いた。


「待って、ちょっと待って。脅したり力づくは辞めてね。やりたい人がいたら雇うという形で」

「そんな奇特な人物おりません!」


流石アンさん一刀両断。

そんなはっきり言わなくたっていいじゃない。

私だって泣いちゃうよ。


「大丈夫ですよデブ姫様。今のデブ姫様ならきっとその人物も喜んで引き受けてくれると思います」

「そうかな?」

「そ、そうですよ!ひm・・・デブ、姫様は昔とは全然違います。とても素晴らしくお優しくなっておられます。きっとその先生も喜んで勤めてくれます」

「そうだよね。うん!昔と違うもんね。私頑張るよ」

「それでこそデブ姫様です」



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