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さぁ、ダイエットを始めましょう!
って、すでに始めてるけどね。
お忘れの方もいるかもしれませんが。
廊下を歩いたのがダイエットですよ。
でも、これだけじゃダメです。
ダイエットって自分との戦いなのよ!
途中で自分を甘やかして、明日からやるからとか、この一枚くらいでとかで結局は挫折しちゃうのよ。
昔友達がやってた。「太っちゃって、ダイエットしなきゃ」といいながら特大パフェ食べてた。
注意すると明日からするから大丈夫・・・だって。
結局はその子は私が死ぬまで体型変わらなかったどね。
でも、私は負けない。
だって、仲間ができたもん。
「ねぇノア」
「はい。なんでございましょう」
新しく用意された新品の椅子に腰掛けながら、ノアの入れてくれたお茶を一口飲みます。
今度の椅子は脚がガッチリしていてお相撲さんが二人座っても大丈夫そうです。
口に広がる紅茶の旨み。
味わうようにゆっくりと口に含みます。
砂糖なしの紅茶最高です。
「私のやりたいことは先ずは2つ」
「はい。なんでございましょう」
「一つ目はダイエットよ」
「ダイエットですか・・・」
「そう、私デブでしょう?」
そっとノアが視線を反らせた。
くっ、哀れみなんていらないよ。口で言ってくれた方がありがたい。
だから私は決めたの。
「ノア。あなたに命令をします」
「はい!」
ノアが姿勢を正して私を見た。
「今後私を呼ぶときはデブと呼びなさい」
「そ、それは・・・」
「呼び捨てを躊躇するというなら、仕方ありません。デブ姫様でいいです」
以前テレビ番組で見た。
デブと呼ばせることで闘志に火がつきダイエットできた女性の映像を。
だから、私もあえてデブという忌々しい名で呼ばせてダイエットを頑張る。
「しかし、姫様・・・」
「デブ姫様でしょう!?」
キッとノアを睨みながら言うと、泣きそうなノアが戸惑いがちに口を開く。
「で・・・で・・・デ・・・ぶ・・・姫様」
「ワンモアプリーズ」
「で・・ぶ・・・姫様」
「続けて!」
「でぶ・・・姫様」
「私の目を見て!」
「・・・デブ姫様」
「声が小さいもっと大きな声で!!」
「デブ姫様!!」
「え~くせれんっつ(excellent」
最後はヤケクソ気味に叫んだノアを褒める。
「やれば出来るじゃないの」
実際に目を合わせながらデブデブ言われるとムカつく。
やっぱりデブなんだと改めて実感した。
そしてダイエットを死ぬ気で頑張ろうと闘志に火が付いた。
やってやろうじゃない!
ぽっちゃりなんて許せない。
モデルもびっくりスリムな私になってやろうじゃない。
「デブ姫様」
躊躇なく私を呼んだ人物がいた~。
ノアはあれだけ苦労したというのに、顔色一つ変えずに私を呼んだよ。
流石ロッテンマイヤーもといアン。
「流石に人前で呼ぶのはどうかと思いますが」
「本当は全員に呼んでもらったほうが効果あるんだけど・・」
「無理ですね。早急過ぎます」
確かにアンの言うことも最もだ。父である王の前で娘の私をデブ姫と呼べば私はしなくても父が処刑命令を出してしまうかもしれない。世間体も悪い。ここはアンの言うとおりゆっくりじっくり攻めよう。
「そうね、先ずは三人の時でいいわ」
そういった私にノアはホッとしたように胸を撫で下ろしていた。
「しかし、デブ姫様。やはりこの名前で呼ばなければいけないのですか?」
「うん、そうしてくれる?今ノアに何度もデブデブ言われてムカついて火が付いたから」
「でしたら・・・」
「心配してくれてるのねノア。ありがとう。でも私は今やる気に満ちているの。効果は覿面だわ。悪いけど二人共協力してちょうだいね」
「「かしこまりました」」
協力者も得たし、後はご飯を一人前にしてもらおう。
何事も焦らずゆっくりとやらないと体壊すしね。
ノアに付き合ってもらって運動するとして・・・
後は勉強もしなくっちゃね。




