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私頑張った。

誰か褒めて~~。


残したらゴミ行だから頑張った。

お腹にはまだ余裕があるが舌が受け付けない。

噛まずに飲み込むを繰り返し二人前食べた。


「もうよろしいのでしょうか?これだけしか召し上がってないではないですか」


必死に首を振ります。

今口を開いたら逆流してくるよ。


「姫様も病み上がりですし仕方ありませんね」


そうです。だから目の前の料理を下げてください。

見ているだけでも吐きそうです。

目で必死にロッテンマイヤーさんに訴えます。

ため息を付いたロッテンマイヤーさんがノアに命じて下げさせます。

片付けの段階でノア以外のメイドが入ってきました。


「ノア、紅茶を入れてちょうだい」


片付けを終えて他のメイド達とそそくさと一緒に出ようとしたノアを引き止める。

逃がさないよ。あなたは私にロックオンされてしまったのだ。

その時のノアの表情は絶望に彩られ、他のメイド達は同情に満ちた視線を送ってました。

別に酷いことしないよ。

親交を深めて友達になりたいの。

安心してちょうだいとメイド達に微笑むと青い顔をして逃げ出していった。

全く、一息つくとノアが震える手で紅茶を入れてくれました。

カップとソーサーがカチャカチャ大きな音で触れ合っていて零しそうで怖いよ。

零すことなく無事に置かれた紅茶を眺める。

あぁ、いい香り。

匂いに目を細めて堪能していると、ロッテンマイヤーさんが砂糖をドバドバ入れ始めた。


「ちょっと、待った!!」

「いかがされました?」

「いや、如何されましたも何も、今何杯入れた?」

「はい?」

「いや、砂糖です」

「8杯お入れしましたが」


それが何か?と言わんばかりのロッテンマイヤーさんの姿。

いやいや、小さなカップに8杯だよ。

もう、そこまで入れたら風味台無し。

ただの砂糖茶だって。


「えっと、入れすぎでは?」

「まだお体の調子がよくなってないのでは?」

「何故?」

「いつもなら10杯はお入れになります」


マジかよ~!

きっと他の人間には拷問だよ。

元の私の味覚確実におかしいでしょう。

味覚障害だよ。


「今後は入れなくて構いません」

「は?」

「だから、一杯も入れないでください。ストレートでお願いします」


私がそういった途端にロッテンマイヤーさんとノアの顔が驚愕に彩られた。

あれ?やっぱりいきなりはやばかった?

少しづつ減らたほうが良かったのかな。

でも、我慢できなかったんだよ。

甘いだけの飲み物なんて。

水すらも甘いんだよ。

人間水分が一番重要だよ。

それなのに水さえまともに飲めなかったら死ぬよ私。


「姫様・・・やはりまだお体は治っていないようですね。直ぐに主治医を・・ノア呼んできてちょうだい」

「えっ?」

「かしこまりました。直ちに」

「ちょっとまった~~!!」


慌てた二人をなんとか止めることができました。

医者にかかっても治らないよ。

むしろ、治ったらこの体死んじゃうよ。

私が異常のウィルスなんだから。


「私は大丈夫です。至って健康!脳も正常に起動してます」

「しかし・・・」

「しかしもかかしもない。医者は呼ばなくて結構です」

「ですが・・・」

「しつこい!」


何度も繰り返される問答にイラっとして咄嗟に口から出たあと、後悔した。

ロッテンマイヤーさんは心の底から私を心配してくれているのに、思わず親に言われて反感してしまう感じでするりと口から単語が出てきた。


失敗したと眉を顰める私をみたロッテンマイヤーさんは優雅に腰を下ろしていく。

その姿はまさに見慣れてしまったザ・土下座。

ノアの土下座には慣れたけどロッテンマイヤーさんの土下座は初めてです。

といか、メイド長なんてメイドの頂点に土下座されて慌ててしまいます。


「えっ、ちょっ、ねぇ・・・」

「大変申し訳ありませんでした。わたくし如きが差し出口を」

「えっ、いやいや、私の方こそ言い返してしまって・・・」

「わたくしはお嬢様に使えるときに覚悟は決めております」

「あっ、ありがとうございます」


重い口調で口を開いたロッテンマイヤーさんに私は唾を飲み込む。

この展開今まで何度も見てきました。

何をいうか予想はつくけど。


「この命尽きてもわたくしは姫様を見守っております」

「ちょっと待った~~~!」


いやいや、人生最後の言葉はやめて~。

ちょっと、覚悟って処刑される覚悟ってことだよね。

何故?今の受け答えで処刑に繋がる会話ってあった?


そんな事で殺さないよ。

ロッテンマイヤーさんは心配してくれた上で言ってくれたのは分かってる。

ちょっとしつこくて、瞬間イラっとしちゃったけど、私が悪かったのも自覚してるよ。

だからそんなに簡単に人生投げないで~~。


「処刑はしません。今後よほどのことがない限り私からは一切言い出しません。だからロッテン・・・もといアンさんも簡単に処刑の単語を出さないでちょうだい」

「しかし、今までは」

「今までは今まで!これからはこれからです!私は自分の命が脅かされたりしない限りは言い出しません。今後、ぜ~~~~たいに!」


ふんが~~~とばかりに言い切りました。

ロッテンマイヤーさんが何か言いたげに何度か口を開きましたが、挟ませる余裕を見せずに頑張りました。


「かしこまりました」

「絶対に守ってね。それから、今後飲み物には砂糖入れないで」

「しかし、姫様は砂糖が高価なものだから高貴な私にはちょうどいいのよ、とおっしゃられて」

「もしかして、体に悪いからと止めようとした医者を」

「はい。処刑なされました」


あははは、これじゃ誰も止めないよ。

むしろ成人病で死んでも本望でしょう。って思うよね。

私なら完璧思う。

むしろ死ねって思う。


「それは・・・・申し訳なかったわ。ご家族にお見舞い金を・・・・」

「おりません。家族どころか三等親までおりません」

「ですよね~」


確か最初の頃に言ってた気がする。

余りにも残酷な内容だったから左から右へと流したけど。

やはり今のままでは駄目だ。


「アンさん」

「アンで結構でございます」


年上を呼び捨てにするは戸惑われるけど、見た目は12歳中身はアラフォーだもんね。

まぁ、いいか。


「では、アン。これから私は自分を変えます」

「姫様自身ですか?」

「そう、今までの私って非道だし残虐だったでしょう」


ちらりとノアを見ると視線を反らせてこちらを見ようとしない。


「肯定しても処刑はしないわ。今までの行いを振り返ると多くの方の命を無闇に奪っていたの。物凄く反省はするわ。反省しても失った命は戻ってこないけど・・・。でも、今後の行いを正すことで少しでもその方々が浮かばれるようにしたいの」

「かしこまりました」

「そのためにアンとノアの協力が必要なの」

「わたくしですか?」

「そう、アンが私の一番の理解者でしょう?」


むしろアンしかいない。

だから私が今後何かをやるときにアンに処刑しますか?と言われるのは避けたい。

心臓に悪いし、精神的に物凄く疲れる。

黙って協力してくれる優秀な人材が欲しいのだ。


「そしてノア。私はメイド達に嫌われています。でも、アンはメイド長だからずっと一緒にいられるわけじゃない。だからノアに私専属のメイドになって欲しいの。今までのように粗相したからって処刑はしないわ。何ならここで契約書交わして血判を押しても良い」


じっとノアの目を見つめながら言うと、暫く戸惑った上で了承してくれました。

まだ信用してくれてないみたいだけど信頼って一朝一夕で成り立つものじゃないしね。


少しは打ち解けて欲しいんだけどな~。

このままビクビクされたままだったら私のダイエットが進みません。

仲間もできたことだし。

先ずはダイエットをしながらこの国を知る!に挑戦です。


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