ミズキの かしこさが 4さがった!
「おはようございまーす。」
いつもの謎のお店へと出勤する。
「おーっす!今日は早いんだな!」
「ええまあ、この前はレポートがありましたからね。」
「ふぅん・・・専門学校って楽しいのか?」
「え?いや、別にそこまで楽しくはないですけど・・・。」
「ふぅん。」
「興味があるんですか?」
「いや全く。」
美月はそう言って身長アップの飴を舐める。
それ、一応商品なんですけど・・・。
「だろうと思いましたよ。そもそも美月さんはなぜその若さでお店を経営してるんですか?」
「え?」
「はい?」
「何かおかしいの?」
「まぁ世間一般的には・・・。」
「そうなのか。私はまぁ趣味みたいなものだよ。」
「そうなんですか・・・趣味でお店を経営しちゃうんですね・・・。実はお金持ち、だったりして。」
実は大企業の社長令嬢・・・とか?
こんな庶民的な生活の令嬢なんているのだろうか・・・。
そもそもこの人はなんで一人暮らしなんだろう。
いかん、この人は謎に包まれすぎている・・・!
「普通だよ普通。」
「いや、だから普通は趣味でお店なんか開かないんですって・・・。」
「そんなことより菜種、私思うんだが・・・。」
「・・・なんです?」
「やっぱりたらこスパゲティーとたらこパスタだと、たらこパスタの方がおいしそうだと思うんだよ。」
「なんなんですか?その何の脈絡もない話・・・。」
「いや、私は今日朝からずっとこのことについて考えていたんだ。そりゃもうご飯を食べる時間も惜しんで・・・!」
「もうお昼過ぎてるのに、もしかして何も食べてないんですか?」
「いや食べたよ?そりゃ朝もお昼もちゃんと食べたけどさ。私はこのことが気になって仕方ないのだよ!」
「ずいぶんと楽しそうな人生ですね・・・。」
「どう思う!菜種は!」
「・・・そうですね・・・。」
どうしよう、結構真剣に聞いてきてるよこの人・・・。
僕にとっては本当にしょうもないことなんだけど・・・。
「あ、えーっと・・・僕的にはスパゲティーってミートソースのイメージがあるんで、たらこはパスタのほうがいいですかね・・・。」
「だろ!?そっちの方がおいしそうだろ!?」
「ええ、そうですね、はい・・・。」
「やっぱり菜種はわかってるなぁ!さすが私の見込んだ男だ!」
「・・・ありがとうございます。」
今日も一日平和そうだなぁ。
「ところで菜種、今日は新商品を仕入れてみた!」
「・・・まともなやつですか?」
「何だその言い方は、当たり前じゃろ!?」
「じゃろってなんですか・・・。」
「その新商品とはこれなのだよ!」
「こ、これは・・・!!」
『かしこさの種』
・・・・・
・・・・
・・・
・・・・・・。
「あの、これって・・・。」
「まさか知らないのか!?これは食べるとかしこさが・・・」
「いや知ってますけど、知ってますけども!」
「じゃあなんなのだ?」
「いや、これ・・・どうなんですか?売っていいものなんですか?」
「・・・確かに、この手のアイテムは基本宝箱や足元を調べるでしか手に入らないものだ・・・。」
「いや、そういうことを言っているんじゃないんですよ?」
「だがしかし!これを商品化して売り出すことができれば!色んな冒険者の力になれる・・・!!」
「・・・はぁ。」
「だからこそ私は非売品という暗黙のルールを破り!これを商品化するのだ!!」
「ていうかこれ作った会社美月さん関係ないでしょ・・・。」
「ということで、私がまず一つ食べてみようと思う!!」
「・・・はぁ。」
美月がかしこさの種が入った袋を一つ手に取る。
「おお・・・!この一粒一粒を個別に梱包している感じ・・・。」
「な、なんです?」
「ごみが増えてとても大変だ・・・!時代はエコまっしぐらだというのにこの反骨精神は見習わねば!」
「反骨精神って、使い方あってるんですかね・・・。」
「そして、これがその中身だ!」
・・・・・。
「なんだかピーナッツによく似ているな。」
「多分ピーナッツそのものだと思いますよ。」
「そんなわけがあるか!これはかしこさの種だ!」
「そ、そうですか・・・。」
「よし、食べてみよう・・・。」
美月はかしこさの種(仮)を口に放り込む。
一瞬の沈黙。
「これは・・・。」
「え、どうしたんですか?まさか本当に頭が・・・。」
「味もピーナッツにかなり近いな。」
「いやもうそれピーナッツですって!!」
「何を言っているのだお前は!これはかしこさの種だと言っているだろう!」
「じゃあ食べた感じはどうなんですか?」
「・・・まぁ、一粒だとせいぜい多くて4くらいだし、それじゃわからないかな。」
「美月さんのかしこさが圧倒的に足りていないことだけはわかりました。」
「な、なんだよなんだよ!私だって多分魔法とか結構覚えられるよ!」
「お店の仕事を覚えてください。」
「うぐ・・・それはちょっとかしこさが足りないかな・・・?」
「かしこさの種はこんなにありますよ。」
両手いっぱいの種を見せる。
「いや、ほら・・・私はちからの種とかもあったほうがいいし、もっとバランスよくいかないとボス戦とか大変だからさ・・・。」
「一体何と戦う気なんですか!!」
「うわぁああああ!!」
「逃げないでちゃんと仕事してください!!」
「ル、ルーラ!ルーラ!!」
「仮に出来たとしても頭ぶつけて落ちてくるだけですよ!」
「いやあーーー!」
「こらーーーー!!」
ミズキの かしこさが 4 さがった!




