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第四十五話 紅魔からの援軍

今回は少し短めな上、出来栄えもイマイチです…でも、投稿ペースだけは落としたくないので頑張ります。

 妖夢side


 私は何とか拘束を解こうと、身を捩ったり、霊力を集めコープの腕を引き千切ろうとしたりしたが、全く効果が無かった。


【コープ】

「…オ前ラ、死ヌ…俺ノ毒、解毒ナイ…」


 コープの左手が、アリスに迫る!


【アリス】

「い、いや…」


【コープ】

「死ネ!」


 爪をアリスの喉元へ向け、左手が跳躍した…マズい!このままでは!


【パチュリー】

「むきゅん!」


 ベシンッ


【コープ】

「ア?」


【アリス】

「え?ぱ、パチュリー?」


 なっ!?パチュリーさん?どうして彼女がここに?というか、コープの左手を、分厚い魔導書で叩き落とすなんて…彼女にしては随分と乱暴な…。


【パチュリー】

「貴方たち、何を遊んでるの?」


【アリス】

「遊んでないわよ!けどまぁ、助かったわ。」


【コープ】

「オ前…知ッテル…紅魔ノ魔女…」


【パチュリー】

「そういう貴方は、どうやら死人…アンデッドね?やれやれ…」


 パチュリーさんは溜め息を一つ吐くと…


【パチュリー】

「ロイヤルフレア。」


 ドォーンッ


 情け容赦なくスペカを発動し、コープを火だるまにした。


【コープ】

「ガ、アァァァッ!」


【パチュリー】

「アンデットは火葬に限るわよ。叶うなら、灰すら残さず焼き尽くすのがベスト。常識よ。」


【コープ】

「アァァァァァッ!」


 本体が焼かれ、もがき苦しんでいる事で、私たちの拘束も解けた…。


【コープ】

「…ァァ…俺…死ヌ?」


【パチュリー】

「何か言い残す事は?」


【コープ】

「…ァァァ…俺…死ヌ……ヤット、死ネr……」


 コープはそれきり、呻き声一つ上げる事なく消し炭と化した…。


【妖夢】

「た、助かりました、パチュリーさん…でも、どうしてここに?」


 彼女は…言葉は悪いが所謂、引きこもりだ。普段は紅魔館地下の大図書館で、魔導書の解読と古代魔法の研究に没頭している…仮に図書館を出ても、紅魔館の外に出るなんて極めて稀な事だ。

 少なくとも、自ら望んでこんな場所まで出てくるなんてあり得ないハズ…。


【パチュリー】

「何だか厄介な事が起きてるみたいね。レミィが血相変えてたわ。親友のそんな様子を見たら、さすがの私でも重い腰を上げるわよ。」


 レミリアさんが?それ程に、事態は切迫していると?


【パチュリー】

「その様子だと、貴方たちは普段の異変レベル…もしくは、それに毛が生えた程度に考えていたようね?」


【アリス】

「…そんなに深刻なの?」


【パチュリー】

「みたいよ。何しろ、ただの嫌われ者の妖怪なら、この地底で好き勝手に暮らせているけど…今回の相手は、この地底…というより旧・焦熱地獄跡に封印されてきた者たちらしいから。」


【妖夢】

「なっ!?」


 封印?そんなバカな?幻想郷は、全てを受け入れる地…嫌われ者の妖怪たちにさえ、この旧都が与えられ、全ての妖怪たちの最後の棲み処とされているのに…その幻想郷においてまで、封印を余儀なくされた存在って、一体…?


【パチュリー】

「その一人が、貴方たちも降りてきてすぐにあった彼…レッドシザー。脱皮を繰り返し、青天井に力を高める上、性格も極めて凶暴…周囲への攻撃性だけみれば、鬼すら凌ぐとされていたわ。」


 なっ!そんな相手と、ミネルバさんは…。


【パチュリー】

「まぁ、美鈴が助太刀に入ったから、向こうは何とかなったでしょうね。」


【妖夢】

「そ、そうですか…」


 良かった…ミネルバさんが無事で…あ、いや、飽くまで友人としてですが…。それに、彼に何かあったら、鈴仙が悲しむでしょうからね。霊夢もどうなるか…。


【パチュリー】

「それと彼…腐毒の屍人・コープ。有機物を腐蝕させる猛毒の爪を持つ不死人…生身の人間なら、その爪に触れただけで皮膚が壊死し、一時間の内に全身に毒が回り腐乱死体と化すわ。」


 そ、そんなに危険な毒だったのか…


【パチュリー】

「あと、この先で待ち構えていたのは…」




 魔理沙side


【魔理沙】

「霊夢っ!大丈夫か!?」


 吹っ飛ばされた霊夢の元に駆け寄ると、霊夢はムクリと上体を起こし頭を押さえた。


【霊夢】

「本当に、厄介だわ…あの子を覆ってるアレ…多重結界よ。」


【魔理沙】

「多重結界?それって、お前の二重結界とか、紫の四重結界みたいなやつか?」


【霊夢】

「…あの子の結界、たぶん十枚ぐらいあるわ。」


【魔理沙】

「じゅっ!?」


 十枚って、結界ってそんな何重にも張れるもんなのか?


【霊夢】

「しかも、その結界を自在に広げたり、縮めて集めたり…攻撃・防御の両方で使いこなしている。こっちが攻撃を仕掛けたら、すかさず結界を集めて分厚い一枚の結界にしてしまうから、破るのはまず不可能ね。」


【魔理沙】

「そんな!それじゃ、打つ手なしじゃねぇか…」


 ただでさえ、魔法攻撃は結界による防御と相性が悪いっていうのに…くそっ!私じゃ何も出来ないんだぜ!


【??】

「随分とお困りみたいね?」


【魔理沙】

「なっ!?咲夜!?」


 おいおい!何でここにいるんだぜ?


【咲夜】

「お嬢様のご命令で、助太刀に来たわ。」


 レミリアが…わざわざ助っ人をよこすって事は、やっぱそれなりにヤバい状況みたいだぜ。

 でも、咲夜が加勢してくれたとしても、この状況は…


【咲夜】

「二人は休んでていいわよ。すぐに終わるから…」


【魔理沙】

「なっ!おい!」


 言うとすぐに、咲夜は数枚のトランプを残し消えた。




 ??side


 …気づいたら、誰も僕に触れなかった…近づけなかった…どうして?

 パパもママも、僕の頭をなでてくれない…手もつなげない…どうして?

 僕は何も悪くないのに…みんなが、僕を…『化け物』って呼ぶんだ……どうしてっ!?


【??】

「うああああああっ!」


 違うっ!違うっ!僕がやったんじゃない!僕は悪くない!僕のせいじゃない!僕は…ただ…皆と遊びたかったんだ…パパに頭をなでて欲しかったんだ…ママに、ギュってして欲しかった……普通の子に、なりたかった…。


【咲夜】

「シルバーブレード。」


【??】

「っ!」


 急に、銀色の髪をしたメイドのお姉さんが現れ、剣を振り下ろしてきた!

 殺される!いやだ!死にたくない!


 ガキィィンッ


 …僕が怖いって思うと、見えない壁が僕の周りに集まってきて僕を守る…でも、この壁のせいで、僕は誰にも……


 カチッ


【??】

「…え?」


 …メイドのお姉さんは、剣を下ろすと僕に背を向けて行ってしまった…どうして?


【??】

「あれ?」


 …どうして?

 壁が…動かない?どうして?

 いつもは、僕の思い通りに広がったり、縮まったりしてくれるのに…どうして?


【??】

「どうして?どうして、動かないの?」


 ねぇ、動いて!動いてよ!広がれ!


【??】

「…いやだ…出して!出してよ!」


 どうして?

 どうして、閉じ込めるの?


【??】

「いやだ!いやだよぉっ!さみしいよぅ…パパぁ…ママぁ……」


 どうして、みんな僕の前からいなくなるの?


【リア】

「リアを一人にしないでぇっ!!」




 魔理沙side


【咲夜】

「終わったわよ。」


 …戻ってきた咲夜は、普段と何ら変わらない様子だった。


【魔理沙】

「…お、お前…何をしたんだ?」


 自身を覆う結界の中で、アイツは泣きじゃくっているようだった…何度も結界を叩いているその様子を見るに、どうやら結界の中に閉じ込められた状態らしい。これは…


【霊夢】

「…時間停止…結界の時間だけを停止させたのね?」


【咲夜】

「えぇ。どうせ破れないなら、敵を取り囲んだままの形で止めてしまえばいい。」


 時間の止まった結界は、もうあれ以上広がることはない。それどころか、今あるあの場所から動かす事も出来ない。

 結界の時間が停止しているせいなのか、中にいるアイツの声も外に届かない。


【魔理沙】

「…後味悪い勝ち方なのぜ。」


【咲夜】

「勝ち方に後味も何も無いでしょ?敵に遠慮は不要よ。」


 …コイツの、こういう所、たまに嫌いなのぜ。


【パチュリー】

「こっちも片付いたみたいね。」


【魔理沙】

「げげっ!?パチュリー?」


 見ると、パチュリーと共にアリスと妖夢が飛んで来ていた。


【パチュリー】

「あら、魔理沙。生きてたの?残念。」


【魔理沙】

「心底残念そうに言わないで欲しいのぜ!」


【ミネルバ】

「おーい、全員無事か!」


 お、あれは…


【霊夢】

「ミネルバ!」


 一足遅れで、ミネルバと美鈴もやってきた。

 ミネルバの姿を確認した途端、隣にいる霊夢は急に乙女な表情になりやがった…。


【魔理沙】

「よぅ、遅かったじゃねぇか、ミネルバ。手こずってたのか?それとも…美鈴とよろしくやってたのか?」


【ミネルバ】

「チッ!そういう事にしておけ…」


 あの程度の敵に苦戦した事がよほど悔しいのか、ミネルバは苦々しげな表情で投げやり気味に返事した。まぁ、ミネルバの様子からは、激戦の跡が見てとれるし、誰もそうは思わないだろうぜ。


【霊夢】

「…ミネルバ…ちょっとこっち来テ…」


 いたぁぁぁぁっ!思うヤツいたぁぁぁっ!


【魔理沙】

「いやいやいや、霊夢!マジになんなって!冗談なのぜ?」


【ミネルバ】

「んな事より…」


【魔理沙】

「そんな事じゃねぇよ!乙女には大問題なんだよ!」


【ミネルバ】

「?…それより、このガキはどうしたんだ?」


 ミネルバが指さしたのは、結界に閉じ込められて泣いているあのガキだった。


【魔理沙】

「あぁ、私たちを待ち構えていた敵なのぜ。多重結界が厄介で…咲夜の能力でやっと無力化したところだったのぜ。」


【ミネルバ】

「……どいてろ。」


【魔理沙】

「へ?」


 次の瞬間、ミネルバは久遠大刀で時間の停止した結界をブッ叩いた。


 ガァンッ


【魔理沙】

「え?ちょっ!?何やって…」


【ミネルバ】

「うおおおおおっ!」


【魔理沙】

「話聞いてたのか?そいつ、敵なのぜ?その結界を破ったらまた…いや、そもそも、その結界は一枚に見えて実は十枚分の結界が重なったもので、どうやっても破れなi」


【ミネルバ】

「だから何だっ!敵だから、救えねぇから、泣いてるガキ見捨てて進む気か!」


 …あぁ、そうだった…コイツ、そういうヤツだった……。

 たとえ敵だろうが、泣いてるガキを放っていけない…何というか、めんどくさいヤツなのぜ。

 でも、こいつの、こういうとこ、嫌いじゃないのぜ。


【ミネルバ】

「うおおおおおおおおおっ!」


 ビシッ ビキッ  バリィィィン


【魔理沙】

「マジかよ…十枚分の多重結界を…」


【ミネルバ】

「はぁ…はぁ…はぁ……よぅ、もう大丈夫だぜ。」


 そう言い、ミネルバはそのガキの頭を撫でた。


【リア】

「ぁ…ぁぁ……うわぁ~~~んっ!」


 その瞬間、ガキは堰を切ったようにワンワンと泣きだした。そのあまりの声量に、思わず耳を塞ぎたくなったが、その場にいる誰一人そうしようとしなかった。

 ……。…………。

 その後、ひとしきり泣いて落ち着いたガキ(リアというらしい)は、美鈴によって人里へ連れて行かれた。本当は咲夜が適任(時間停止ですぐ行って戻ってこれるし)だったんだが、リアが怖がってミネルバから離れようとしなかったのぜ。


【ミネルバ】

「…さぁて、入るか。」


 明らかにいつもと雰囲気の違う地霊殿を前に、否応なく緊張感が高まってくる…それだけじゃない。ミネルバの顔色や、紅魔館からの助っ人など、明らかに普段の異変レベルと違う状況や様相も含め、さすがの私も事態の深刻さを感じ始めていた。


【妖夢】

「パチュリーさん、レミリアさんはこの先の敵の事も?」


【パチュリー】

「えぇ。といっても、そんなに詳しくは聞いてないけど。確か、名をザルバ…妖食いのザルバ。」


【妖夢】

「妖食い?」


【魔理沙】

「何だぜ、それ?」


【パチュリー】

「そのままの意味よ。ザルバは唯一、他の妖怪を糧にする…共食い妖怪なのよ。」


 妖怪が、妖怪を食う?そんな事って…そもそも、妖怪の主な栄養源って、人間の恐怖心じゃなかったのか?


【妖夢】

「だからこそ、封印されていたんですね?幻想郷に住む妖怪たちにとって、そのザルバという妖怪は、この上ない脅威のハズ…。」


【パチュリー】

「それを踏まえると、美鈴を帰したのは正解かもね。この中で、ザルバの捕食対象となるのは美鈴だけだったし。」


【ミネルバ】

「それは…妖怪以外は食われる心配はないって事でいいのか?」


【パチュリー】

「え?」


【ミネルバ】

「俺たち相手には、噛みつきみたいな摂食攻撃はしてこない…そう考えていいんだな?」


【パチュリー】

「えぇ、恐らくね。」


【ミネルバ】

「…そうか。ひとまず、食われる心配はしなくてよさそうだ。」


 …ミネルバは、どうやら心底安堵しているようだった。

 それはつまり、食われる心配をしていたって事だろう。食われる心配?それじゃあまるで…負ける心配してるみたいじゃないか?らしくないぜ、ミネルバ!


【ミネルバ】

「霊夢。約束、守れよ?」


【霊夢】

「アンタこそね。」


【ミネルバ】

「……」


 この二人…絶対、約束守る気ないのぜ!

 霊夢の念押しを聞こえないフリして、ミネルバは地霊殿の扉を押し開けた。




 ~おまけ・キャラ紹介~


 コープ~腐毒の不死人~

 身長:166㎝

 能力:腐っても死なない程度の能力


 物を腐らせる猛毒、腐毒に感染した死体。死霊術師によって甦らされたが、その術師が腐毒に感染し死亡…残されたのは、腐毒の爪を有するゾンビだった。マヌケで、はた迷惑な話だが、術者が死んでなおも術が残るということは、相当な力で術をかけたという事。その死霊術師、案外スゴ腕か?




 リア~動く十重の結界~

 身長:109㎝

 能力:多重結界を自在に動かせる程度の能力(喪失中)


 物心ついた時から多重結界で覆われていた子供。結界の空間を広げたり縮めたりは出来るが、何故か結界を解く事が出来ず、それ故に周りから疎まれ、愛されなかった人の子。今後は再び結界を張り直す事がない限り、普通の人間として暮らしていけるだろう。あ、ちなみに実はこの子…


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