表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/62

第三十七話 箸休め・東方雀闘録1

友人との話の中で思い付いてしまったものなので、ストーリー本編とは全く関係ありません…。


注意:萬子は漢数字(一二三)で、筒子は丸(①②③)、索子はローマ数字(ⅠⅡⅢ)で表記してます。

 八雲 紫は不敵な笑みを浮かべたまま、視線をこちらに戻した。


【紫】

「いえね、今回の勝負には、彼女にも参加してもらおうと思って。」


【藤堂】

「ふざけるなっ!君と私の因縁に、慧音先生を巻き込むなっ!何の趣向を凝らしたのか知らないが、そんな勝負を受ける理由はないっ!帰れ、仕事の邪魔だ!」


 新年に向け、まだまだ片付けないとならない書類や手続きが山ほどあるのだ。これ以上、八雲 紫と関わっている時間はない。


【紫】

「本当にいいのかしら?私が、何のカードも持たずに、勝負を挑みに来たと思って?」


【藤堂】

「…カードだと?お得意のスペルカードか?そんなもの、発動する前に…」


【紫】

「本当に、昨夜はお楽しみだったみたい、ね~?」


【藤堂】

「っ!?」


【慧音】

「なっ!?」


 八雲 紫がチラつかせてきたそのカードは…いや、カードというよりそれは、写真?

 昨夜の、私と慧音先生の様子を写した…


【藤堂】

「小娘っ!」


【紫】

「勘違いしないで。これを撮ったのは他でもない、貴方もよく知る彼女よ。」


【藤堂】

「…射命丸…」


【紫】

「勝負を受けないというのなら、彼女によってこの…仲睦まじく二人で食事をして、腕まで組んで店を後にした写真も…何なら、この後の写真も載せられた新聞が…幻想郷中にばら撒かれる事になるわよ?しかも、私も完全バックアップさせてもらうから、今度は霊夢とミネルバの時のような事はさせないわ。」


【慧音】

「そ、そんな事されたら…」


【藤堂】

「…心配は要りませんよ、慧音先生…その代わり、今日はもう上がらせてもらいます…他に片付けないとならないモノが出来たので…」


【慧音】

「藤堂先生…そうですね。」


 さて、八雲の小娘ども…覚悟はいいk…


【慧音】

「では、記者会見の準備、お願いします。」


【藤堂】

「えぇ……って、するかぁっ!」


 何の記者会見ですか!そもそも写真が流出しないようにする流れだったでしょっ!


【紫】

「で?どうするの?勝負を受けるの?受けないの?」


【藤堂】

「…受けたところで、あのカラス娘がおいそれとネタを手放すとは思えんが?」


【紫】

「そうね。その時は好きになさい。勝負を受けるというのなら、私はこんな写真に何の興味も無いのだし。」


 ……。


【藤堂】

「…勝負の内容はなんだ?」


【紫】

「コレよ。」


 そう言って、スキマから八雲 紫が取り出した物は…


【藤堂】

「…ま、麻雀?」


 麻雀セット一式であった。折り畳み式の卓まで持参か…。


【紫】

「一般的なルールはご存知でしょう?」


【藤堂】

「何故、麻雀なんだ?私を打ち負かしたいなら、君にもっと有利な勝負など幾らでもあっただろう。将棋や囲碁とか…」


【紫】

「絶対に勝てる物で勝負して、貴方を打ち負かしたところで面白くないわ。勝てる自信はあるけど負けるかもしれない…そういう勝負で、貴方を打ち負かしてやりたいのよ。でないと、気持ちよく冬眠出来ないわ。」


 確かに、麻雀は運の要素が大きいゲームだ。ツモの入り方次第で、初心者が上級者に勝てる事もある。


【藤堂】

「…慧音先生、麻雀の経験は?」


【慧音】

「あまり多くは…ルールと手役ぐらいは分かりますが…」


 慧音先生の口ぶりから察するに、彼女は初心者と中級者の中間といったくらいか。対し、相手は…言うまでもなく上級者だろう。


【藤堂】

「…分かった。その勝負、受けよう。」


【紫】

「なら、準備をしましょう。藍。」


【藍】

「はい、紫様。」


 八雲 紫の式、藍によって、職員室の一角…応接用のスペースが片付けられ、あっという間に雀卓が準備された。


【藍】

「では…私からルールの説明をさせていただきます。勝負は半荘三本勝負で、先に二本取った方の勝ちとします。点数は一人25000点持ち、順位点は無し…ただし勝敗は、紫様と私、そしてお二人の、合計点数によって決めさせていただきます。」


【藤堂】

「合計点?」


 そう来たか…何かしらの特殊なルールを組み込んでくるだろうとは思っていたが、ここまではっきりしていると、むしろ清々しいな。

 二人の合計点で勝敗を決める、それはつまり…コンビ打ちを前提とした麻雀という事だ。となれば当然、看破、阻止されなければ、イカサマもありという事になる。


【藍】

「喰いタン、後付け有り。ダブル、トリプルロン共に全払い。親の連荘は上がりと、九種九牌流局のみ。四家立直、四槓子、四風連打は流局の上、親流れです。」


 細かいルールは、およそ一般的な麻雀ルールとそれほど大きく変わらないようだ。まぁ、もともと地域によってルールに多少バラつきがあるゲームなのだが…ひとまず、私が知るそれと比べて、支障の出そうなルールの違いは無さそうだ。


【藍】

「それでは、まず席決めからでしょうか?」


 シャッフルされた四枚の風牌を、それぞれ一枚ずつ引く。私が引いたのは西、慧音先生は北を引いた。いい席順になってくれた。しかも、南の牌を藍が…東を紫が引いたのも大きい。席順だけ見れば、式である藍から、紫への牌の送り込みは困難な事になる。


【紫】

「そうだわ。せっかくだから、何か賭けましょうか。もちろん、お金以外で。そうね…もしそっちが勝ったら、貴方たちの式をうちで全面バックアップしてあげる。式場から何から、ね。」


【藤堂】

「…君の中で、私たちはどういう間柄と認識されているのか、甚だ疑問だな。」


【慧音】

「頑張りましょう!藤堂先生!」


【藤堂】

「……」


【紫】

「こっちが勝ったら、そうね…藤堂、霊夢たちの式で、何か余興でもなさい。腹踊りみたいに、出来る限り恥ずかしいのでね。」


【藤堂】

「誰得なんだ、それは?」


【紫】

「私が愉快なの。」


 要は、私に一恥かかせたいわけか…まぁ、いいだろう。


【藤堂】

「分かった。そのぐらいなら、問題はないだろう。」


 私の返事に、紫は満足そうににんまりと笑った。そして、慧音先生は何故か…目つきが歴戦の玄人のそれになっていた。


【藤堂】

『…アツくならないで下さいよ、慧音先生…』


 そうこうしてる間に、四人とも山を積み終えた。

 そして、サイコロ振り…東を引いた紫がまず振った。目は…2。仮親は藍…藍が振ったサイコロの目は…9だった。


【藍】

「おや、私からですか。」


 半荘一本目は、起家・八雲 藍の親からスタートとなった。


【藍】

「では、始めましょうか。」


 そう言って、藍が再びサイコロを手にした。


【藍】

「……」


【藤堂】

「っ!」


 しまった!

 背筋に走った悪寒…だが、気づいたところで、もう遅い…出た目は、5。麻雀では、サイの目に呼び方がある…5と9は、自5、自9…どちらも、サイコロを振った人間に当たる目だからだ。

 取り始めの山は、藍の積んだ山の右端から数えて6番目から…そこから反時計回りの順番で、山を左側へと四枚ずつ(二段×二列)取り分けていく…山は十七列で出来ている。つまり、配牌を取る山は全て…藍と紫が積んだ山だ。

 間違いなく、積み込んでいるはずだ!


【藍】

「では、早速切らせていただきます。」


 配牌を取り終わってから五秒、いや三秒も経たない内に、藍は第一打を切ってきた。切られた牌は、白!積み込みからの、この捨て牌はっ!大三元爆弾!紫にこれを鳴かせて、一気に勝負を決めるつもりか!


【慧音】

「あ、それポンです。」


【藤堂】

「……え?」


 ど、どういう事だ?何故、慧音先生の手の中に白が二枚あるんだ?本来なら、それは紫の手の中にあるべき牌のはず…積み込みに失敗したのか?

 白をポンした慧音先生は、そのまま無難に南を切った。ともあれ、大三元ではなくて良かった。私のツモ順は飛ばされたが、慧音先生のおかげで安心出来ました。


【藍】

「ポン。」


 ホッとしたのも束の間、今度は藍が慧音先生の切った南をポンしてきた。しかし、藍にとって南は客風…そこから仕掛けてきたという事は、ホンイツか?いや、積み込んだなら、小四喜や大四喜も考えられ…


 タンッ


 え?西?バカな…積み込んだのは間違いないハズなのに…それとも、考え過ぎなのか。

 ともあれ、やっと私のツモだ…ドラも配牌もろくに見る暇がなかったな。ドラは⑥(6ピン)か…私の配牌は、二三④⑥⑨ⅡⅣⅦⅧ西北白發…出遅れたが、⑤(5ピン)をツモれたのは嬉しい。大三元の心配が無くなった今、發は切れる。

 次は慧音先生のツモだ。慧音先生は次に北を切った。無難な捨て方…アツくなっているかと思いましたが、意外に冷静で安心s…


 メラメラメラ…


 ……不安だ…。


【藍】

「ポン。」


 なっ!?この序盤で、二副露?しかも、どちらも客風?間違いない、これは…ホンイツ!だとしたら、ドラの色である筒子は、例え⑨(9ピン)でももう切れない。ツモった牌は…よりによって、Ⅲ(3ソー)!こうなったら、ポンカスの白や北、現物である西を切って耐えるしかない。とりあえず、現物の西から切っていくか。

 慧音先生…お願いですから、筒子だけは切らないで下さい…。

 しかし、私の願いも空しく、慧音先生はよりによって②(2ピン)を切ってきた。現状で推察し得る中では、十分に危険な牌だ。


【紫】

「チー。」


 その②(2ピン)を、紫がチーした。

 私は深く溜め息を吐いた…危なかった…。

 胸を撫で下ろしている内に、紫が一(1ワン)を切って…藍が、次のツモ牌に手を伸ばした。


【藤堂】

「しまった!」


 思わず声に出してしまった。再び背筋に走った悪寒…しかし、今度こそ本当に…もう遅かった…


【藍】

「…ツモ。」


 藍が引いたのは…紫が積んだ山の最後の牌だった。


【藍】

「ダブトン、トイトイ…満貫です。」


 藍の手牌は、東とⅠ(1ソー)の暗刻に、⑧(8ピン)の雀頭だった。


【藍】

「さぁ、次ですね。」


 …おかしい…今のは、完全に積み込みだ。私たちの配牌も、その後のツモ牌も、完全に操作されていた。特に、慧音先生の配牌だ。南、北、そして②と…間違いなく配牌時点で浮いていたんだろう。ツモ順まで操作し、見事に紫の積んだ山の最後のツモ牌…下山の左端に仕込まれた当たり牌で、藍はツモ上がったんだ。

 なら、何故…そんな芸当が出来るにも関わらず、何で満貫止まりなんだ?客風を二つも鳴いて、ダブトンの暗刻もあるのに、何故ホンイツまで見なかったんだ?混老頭だって作れるはずだ。ドラ表示牌も操作すれば、三倍満までいけるのに…。

 ダメだ…分からない……一体、何を考えている?


【藍】

「……」


 山を積み終え、藍がサイコロを振った。今度は…え?


【藍】

「12…紫様の山ですね。」


 バカな?そんな所から取り始めたら…すぐに、慧音先生の山に移るんだぞ?やはり、分からない…何を考えて…。

 いや、落ち着け…ひとまず、この局は積み込みは警戒しなくていい。向こうが狙い通りに引けたのは藍が最初に取った四枚だけ…紫が積んだ山はその後、私と慧音先生が引いてそれで終わりだ。後のほとんどは慧音先生が積んだ山だ。二人の配牌は、ヒラで打ってるのと大差ないはず。

 ここで、何としても上がらなくては…。

 ……。…………。


【紫】

「…リーチ。」


 八巡目で、紫からリーチがかかった。

 紫の河は、索子と筒子で溢れているな…萬子を一枚も切っていない事から考えるに、萬子に寄せているのは間違いない。だが、ドラは③(3ピン)…それに、序盤で紫は自風である北も、三元牌である發や白も切っている。萬子の染め手はフェイクか?

 私の手牌は六七②③④⑤⑥ⅦⅧⅨ西中中…今から勝負できる手には伸びまい。何とかして、凌がなければ…。

 藍は南を切り、次の私のツモ牌は…①(1ピン)だった。ここは…現物であるⅧ(8ソー)を切って下りるか。紫が上がれば、藍の親は流れて私の親番だ。

 その後、慧音先生も無難に現物であるⅠ(1ソー)を切り、紫のツモ番となった。

 マズいっ!私とした事が…また失念していた!ツモる山は既に、藍の積んだ山に移っている!このままでは、一発ツモで上がられるっ!


【紫】

「……」


 しかし、紫は牌も見ずにツモ切りした。切ったのは、七(7ワン)…か。た、助かった…一発上がりは消えたし、通る牌も増えた。このまま凌いでやる。

 現物となった七(7ワン)を切り、慧音先生は北をツモ切った…この調子なら、何とかなりs…


【紫】

「ツモ。」


 …ば、バカな……紫が倒した手牌は…一二二二三三四四五五六七八、ツモ牌は九(9ワン)だった。これは…


【紫】

「リーヅモ・ピンフ・イッツー・チンイツ…6000、12000…」


 さ、三倍満!積み込みも無しに、こんな巡目でメンチンなんて…


【紫】

「裏ドラは…裏2…数え役満ね。」


 ……裏ドラの表示牌は三(3ワン)だった。


【藍】

「お見事です、紫様。」


【紫】

「一本場と合わせて、8100、16100よ。」


【慧音】

「そ、そんな…東一局から、役満ツモなんて…」


【紫】

「占い通り、今日は運気が良いみたいね。でも、ごめんね、藍。親っ被りさせちゃって。」


 よく言う…ここまでの流れ、完全にお前たちの計画…打ち合わせ通りなのだろう?


【藤堂】

「悪いが、少し時間を貰うぞ。慧音先生。」


【慧音】

「?」


 私は慧音先生を連れて、一度職員室から出た。そして、周囲に結界を張って紫に覗かれたり盗み聞きされないようにした。


【藤堂】

「もう気づいているかもしれませんが、あの二人は組んで打っています。ありとあらゆる手段で。」


【慧音】

「え?じゃあ、どうすれば…」


【藤堂】

「手っ取り早いのは、勝負を捨てて負ける事です。」


 イカサマ技を相手に、正面からぶつかってやる意味はない。ましてこっちには、勝って得る物も、負けて失う物もないのだから。


【慧音】

「そんなっ!何を弱気な事を言ってるんですか!藤堂先生はそれでいいんですか!?」


【藤堂】

「私は別に。負けて何か失うわけでもありませんし…」


【慧音】

「でも、負けたら藤堂先生は…」


【藤堂】

「式を盛り上げるのに、余興で笑い者にされるくらい良いではないですか。」


【慧音】

「イヤです!」


【藤堂】

「い、いや、私ですから。慧音先生がやるわけではないでしょう。」


【慧音】

「尚更ですっ!藤堂先生は平気なんですか?もし、自分ではなくて、わt…チルノが身代わりにと、披露宴でストリップの真似事でもやろうとしたら?」


【藤堂】

「死んでも止めます!」


 というか、なんて恐ろしい例えを出すんだ!


【慧音】

「分かっていただけましたか?」


【藤堂】

「いや、ですが…私の事で、慧音先生がそこまでアツくならなくても…」


【慧音】

「~~~~っ!このっ、朴念仁っ!」


【藤堂】

「え!?いや、ちょっ慧n…」


 ガツンッ




 紫side


 フフフ…まさか、こんなに上手く行くなんてね。


【紫】

「さすがね、藍。」


 数え役満の手を眺めながら、この手を完成に導いてくれた藍に感謝した。


【藍】

「いえ。紫様がしっかり、筒子と索子を積み込んでくれたからです。」


 そう…私の山には、裏ドラの表示牌以外、筒子と索子しか積まれていない。つまり、72枚の筒子と索子の内、33枚を私の山へ寄せた。こうする事で、自然に慧音、藤堂の山は…萬子の割合が高くなる。それも、普通に積めば余り物の牌を寄せ集める形になる…私がツモるはずの下山側に、より集中的にね。

 まぁ、藍がやってくれた事はもっと色々とあるんだけどね。

 と、藤堂と慧音が戻ってきたわね。ま、何か作戦を立てて来たんでしょうけど…所詮は付け焼刃…私たちの前では無意味よ。


【紫】

「…って、どうしたの?その額?」


 思わず吹き出すところだったわ。見ると、藤堂の額には見事なたん瘤が出来ていた。作戦会議してたんじゃないの?


【藤堂】

「何でもない…さて、続きの前に…」


 藤堂は足を一つ踏み鳴らすと、部屋全体に結界を張った。これは…


【藤堂】

「長い勝負になりそうなので、結界で時間の流れを止めさせてもらった。これで、中と外では時間が遮断された。」


 つまり、この中で何時間打っても、外じゃ一秒も経っていないと…面白いじゃない。やっと、その気になったのね。そうこなくっちゃ、張り合いがないわ。覚悟しなさい、藤堂…今度こそ、全力で叩き潰してあげる!




 normal side


 紫の役満ツモは大きかったが、おかげで親番は私に流れた。ここで少しでも、点数を取り返さなくては…。


【藤堂】

『という事で、いいですか?慧音先生?』


【慧音】

『…はい。』


 私は、幻術によって慧音先生と感覚を共有させ、一時的にテレパシーを可能にした。これで、急ごしらえだが完璧な通しが出来る。

 紫と藍も何かしらの形で通しを行えるだろうから、その面ではこれでイーブン…ひとまずは、これで凌ぐしかない。


【藤堂】

『この一本目は、勝てなくてもいいです。オーラスまで勝負を持ち込み、出来る限り、相手の打ち筋を見ます。それを参考に、二本目、三本目を取りに行きましょう。』


【慧音】

『分かりました。』


 山を積み終え、私はサイコロを振った。出たのは、


【紫】

「11…また私の山ね。」


 …積み込んでいた形跡は無かった…恐らく、この局はヒラで打つ事になるだろう。ここで上がれれば、少しだけ流れを取り戻せるはずだ。

 配牌は…二五七九①④⑤⑨ⅢⅥⅦ南白、そして最初のツモ牌が二(2ワン)と…ドラは、③(3ピン)か。最初のツモで頭が出来た上に、配牌から両面待ちの塔子が二つ…六(6ワン)か八(8ワン)から引けると、一気にピンフが近づく。そっちを見て行くなら、真っ先に要らないのは白だ。

 さらに言えば、この白は…


【慧音】

「ポン!」


 すでに、慧音先生の手牌の中で対子になっている。これで、慧音先生はどんな形であれ上がりに行ける。

 私の手が育てば私が上がって連荘し、慧音先生が先にテンパイし上がれれば、慧音先生が流れを掴んだまま親番になれる。

 どっちが上がれても…


【藍】

「ポン!」


【慧音】

「え?」


 見ると、慧音先生が切った北を、藍がポンした。自風牌…マズい…向こうも、早上がり狙いか?

 早く、私か慧音先生の手が進まなければ…次の私のツモ牌は…Ⅱ(2ソー)!これは、来てる!ここは、①(1ピン)切りだ。

 ……。…………。


【藤堂】

「リーチ!」


 八雲コンビによる積み込みが無くなると、流れがこちらに向いてきたらしい。六(6ワン)やドラの③(3ピン)などが入り、八巡目で二二五六七③④⑤ⅡⅢⅥⅦⅧでメン・ピン・ドラ1確定のテンパイ…待ちはⅠⅣ(1・4ソー)待ちだ。高目のⅣ(4ソー)ならタンヤオもつく。一発・ツモ・裏ドラなどが重なれば、倍満まで届く事になる。が、狙いは高目ツモではなく、安目でも八雲コンビからのロン上がりだ。

 リーチから一巡、さすがにここは紫も藍も振り込んでは来なかった。そして、私のツモ…だが、ここは当たってくれるなよ?これ以上、慧音先生の点数を減らすわけにはいかない。10000点を下回れば、八雲コンビの格好の餌食にされる…。

 引いたのは…既に一度切ったⅨ(9ソー)だった。現物が広がらない、いいツモだった。

 そして、そのすぐ後に紫が…Ⅰ(1ソー)を切ってきた。


【藤堂】

「ロン!」


 安目だが、狙い通り紫から直で上がれた。良かった…こうなれば、後は裏ドラも期待したい。が、残念ながらそっちは乗らなかった。


【藤堂】

「5800。」


 安くても、これで親連荘…流れも、少しは寄ってくれr…


【紫】

「フフフ…」


【藤堂】

「っ!」


 何だ?紫のこの余裕は?いくら圧倒的に点差があるとはいえ、流れをこっちが掴みかけている今、悠長に構えていられるはずがない。まして、こっちが親の間は、積み込みだって出来ないはず…それなのに……何でそんなに余裕でいられるんだ!?

 …私の疑問は、配牌を取ってすぐに分かった…。

 一五八②④⑦⑨ⅠⅠⅥⅧ西北…何て手格好だ。両面の塔子が一つもない。手なりで、両面に切り替わってくれるか、間がキレイに入ってくれるのを祈るしかない。はっきり言って、面前で整うとは思えない。

 くそっ、さっきの上がりで、流れを掴みかけたはずなのに…どうして?




 紫side


 流れを掴めたと思ったでしょうね、藤堂?私が、高目を振り込んだなら…裏ドラが乗りさえすれば、それも望めたでしょうね。でも、実際はタンヤオも付かない低目に、裏ドラも乗らずじゃ、所詮は安手…東一局で私たちが掴んだ地運を揺るがすには、到底足りないのよ?




 normal side


 …六巡目を回っても、まるで手が進まない…引いてきた白は、慧音先生の手の中で対子になっている。慧音先生の手牌は…一二三④⑤ⅡⅢⅣⅦⅦⅧ白白…ドラは一(1ワン)だから、これで白・ドラ1のテンパイ。


【藤堂】

『お願いします、慧音先生。』


【慧音】

『はい。』


 私が白を切ると、慧音先生はすかさず鳴いて、Ⅷ(8ソー)を切った。これで、慧音先生は③⑥(3・6ピン)待ち。後は二人から上がれさえすれば…。

 …しかし、ここでも流れが来ていないからなのか、十二巡目を回っても③(3ピン)も⑥(6ピン)も出なかった。


【紫】

「……」


 ん?何だ、紫の目つきが変わった?まさか、リーチか?

 しかし、紫はリーチをかけずに、黙って牌を切った。今の様子は…テンパイか?それとも…?


【藍】

「おや、カン。」


 藍はツモった牌と手牌の三枚を倒して宣言した。

 って、それは…③(3ピン)!慧音先生の当たり牌!くっ、暗槓では、ロン出来ない。

 藍が嶺上牌を引いてから牌を切り、槓ドラを捲ると、それは⑥(6ピン)だった。これで、慧音先生の当たり牌の枚数が、一気に5枚も減ってしまった。


【藤堂】

「っ!」


 そして、この局面で何故…私の下に⑥(6ピン)が来るっ!

 どうする?残りの⑥(6ピン)は何処かに2枚…まだ慧音先生の上がりのチャンスはあるかもしれない。だが、紫もすでにテンパイしている可能性がある。それも、両面待ちではない形の可能性が高い。当然ながら待ちは読めないし、慧音先生に至っては、テンパイを維持したまま振り込みを回避し続けなければならない。無論、そんな事は不可能だ。

 …向こうに流れを持っていかれるぐらいなら…


【慧音】

『藤堂先生…』


【藤堂】

『上がって下さい、慧音先生。』


【慧音】

「…ロン!白・ドラ1…一本場で2300。」


 私が切った⑥(6ピン)で慧音先生が上がり、親は慧音先生に流れた。




 紫side


 慧音が振り込むのを防ぐ為に、自らパートナーに振り込むなんてね。でも、それじゃあ私たちとの点差は縮まらないわよ、藤堂?

 さて、次は慧音の親番ね…この親が流れれば、やっと私の親番になるわ。

 …藍、頼んだわよ。


【藍】

『御意。』




 normal side


 次の親番は慧音先生だ。ここは何としても、慧音先生に連荘してもらって、点数をもう少し回復しておきたいところだ。慧音先生の親が流れてしまったら、その後は紫と、南入してまた藍の親番になる。恐らく、今の点数では二人の親番を凌げない。


【藤堂】

『お願いしますよ、慧音先生。』


【慧音】

『はい。頑張ります。』


 とは言っても、こればかりは運に頼る他ないのも事実。積み込みでも出来ない限り…何を引いてくるかは分からないのだから。

 慧音先生が山を積み終え、サイコロを振って…東三局がスタートした。

 ……。

 くっ、今回もまるで手が進まない…慧音先生も、手の中で東が対子になったにも関わらず、一向に手が進む気配がない。私が東を引いて、それを慧音先生にポンしてもらえれば、流れが少しは変わるのかもしれないが…。

 くそっ、中か…こいつじゃない。


【藍】

「ポン。」


 しまった…よりによって、一番手を早まらせたくない相手に…。

 だが、おかげで藍の手から東が出てきた。


【藤堂】

『慧音先生!』


【慧音】

「ぽ、ポン!」


 よし、これでダブトン。後は手格好が整えば…


【藍】

「……ツモ。中・ホンイツ・ドラ2。2000、4000。」


 しかし、そのすぐ後のツモで、藍に上がられてしまった。慧音先生の親は、流れた…。


 ~点数状況~

 東三局終了現在


藍  28900

藤堂 14400

慧音 11200

紫  45500




 ~おまけ1・あややの突撃インタビュー~


【文】

『どうも、皆さん!射命丸でぇす♪いつも私のコーナーを楽しみにして下さっている皆さんには、大変申し訳ないのですが…今回のあややの突撃インタビューは、私の一身上の都合によりお休みさせていただきます。本当にごめんなさい…次回はちゃんとインタビューに行きますので、今後ともあややの突撃インタビューをよろしくお願いします。』


【文】

「…さぁて!仕上げにかかりますよぉっ!このネタで、次の烏天狗新聞大賞はいただきですっ!」


 ~…少女執筆中~




 ~おまけ2・ミネルバ先生の相談窓口~


【ミネルバ】

「……うぅ…胃が、キリキリする……俺がテスト受けるワケじゃねぇのに…うぐっ!?ちょ、無理ムリmuri……」


 ……。ミネルバの弱点…胃腸虚弱(ストレス性)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ