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第二十八話 狙われた博麗神社

ドラクエビルダーズに嵌まって執筆が疎かに…おまけに風邪をこじらせたり色々とあって…いつにも増して酷い出来です。(泣)

 嶺矢side


 ……。


【嶺矢】

「……何だ?」


 不意に目覚めた俺は、目を覚ました理由がまるで無い事に戸惑っていた。

 闇の五大将軍時代、睡眠は貴重で危険な時間だった。故に、何かあればすぐ目を覚ませる体になると同時に、不必要に目を覚まさずに済むようにもなった。理由もなく、夜中に目を覚ますなんて…。


【嶺矢】

「こんな所まで、並みの人間に戻っちまったのか?」


 俺は、何処まで弱くなっちまうんだ?いや、それ自体はいい…ただ、弱くなっていく俺が、霊夢の横で何が出来るのか…何の恩返しが出来るのか…それを考えると、少し不安だ。

 ん?足音…?

 スッと、部屋の障子を開けて、霊夢が覗き込んできた。


【嶺矢】

「霊夢?」


【霊夢】

「ごめん、起こしちゃった?」


【嶺矢】

「いや、起きてた。さっき、不意に目が覚めてな。」


【霊夢】

「そう…ミネルバも感じたのね。」


 霊夢はそういうと部屋に入ってきた。


【嶺矢】

「感じるって、何を?何かあったのか?」


【霊夢】

「うん、さっきね…全身鳥肌がたつくらい、ゾワゾワって…凄く嫌な感じがしたの。それで、心配になって…」


 なるほど…感じはしなかったが、無意識に体は反応して目を覚ましたのか。ワケもなく目を覚ましたんじゃなくて良かった…いや、良くないか。


【嶺矢】

「異変か?」


【霊夢】

「たぶん…何が起きてるのかは、まだ分からないけど…」


 やれやれ、ついこの間、吸血鬼姉妹の家のゴタゴタがあったばかりなのに…平和なのか慌ただしいのか分からない世界だな、ここは…。


【霊夢】

「というわけで、今夜は私ここで寝るから。」


【嶺矢】

「そうか……いや、待て!何処がどうなって『というわけで』になるんだ!?だいたい、俺は何処で寝るんだよ?」


【霊夢】

「ここに決まってるでしょ?」


 …さも当然のように言いやがった…何だ?俺が間違ってるのか?


【霊夢】

「大丈夫よ。何があっても、アンタの事は私が守るから。」


【嶺矢】

「わ~、ステキ。(棒読み)お前は何処のイケメンだ?」


 ズドォォン


【嶺矢】

「なっ!?」


 何だ今のは?大砲でも撃ち込まれたのか?


【霊夢】

「っ!」


【嶺矢】

「霊夢?」


 様子を見に部屋を出ようとした俺を、霊夢は袖を掴んで止めた。


【霊夢】

「静かに…」


 小声でそう言うと、霊夢は障子越しに表の様子を探った。巫女のカンってやつか、気配を探っているのか…どっちにしろ、今の俺には手伝える事はない。大人しく、息を潜めて霊夢の判断を待った。


【??】

「何処に隠れた?博麗の巫女…」


 襲撃者と思しきそいつの声に、聞き覚えはない…しかし、霊夢の方は犯人に心当たりがあるらしく、僅かに聞き取れるかどうかという声量で「…あいつら…」と口にしたのが分かった。

 あいつら…つまり、敵は複数いるという事だ。正確な数は分からないが、既に敷地の周囲を囲まれている可能性がある。となると……クソっ!


【霊夢】

「ミネルバ、着替えて台所の勝手口から逃げて。そっちからなら、なるべく暗がりを進めば大丈夫だと思うわ。」


【嶺矢】

「そう言うと思った…」


 襲撃者の先の発言から察するに、狙いは間違いなく霊夢だ。戦う事はおろか空も飛べない今の俺には、霊夢が逃げる間の時間を稼ぐ事も出来ない…恐らく瞬殺だろう。まして、相手は複数いる。状況は、霊夢にとって最悪のハズだ。


【嶺矢】

「逃げるのは賛成だが、敢えて聞くぞ。お前はどうする気だ?」


【霊夢】

「言ったでしょ?何があっても、アンタを守るって。私を誰だと思ってるの?」


【嶺矢】

「…確かに、お前は強くなったかもな。だが、スペルカードもお祓い棒も持たないで何が…」


【霊夢】

「あぁ、それなら…」


 俺の指摘に、霊夢は押入れの奥を漁り出した…ってか、もう少し女として気を遣えよ…。


【霊夢】

「こんな事もあろうかと…予備の巫女服とバトルセット一式、用意しておいたのよ♪」


【嶺矢】

「わー、頭いい。(棒読み)他に場所無かったのか?」


 …どうする?本当に、霊夢を置いて逃げるしかないのか?

 ……ない、な…今の俺に出来る事は、少しでも早くこの場を離れる事…でないと、霊夢も逃げられない。


【嶺矢】

「分かった…五分でいい。それ以上は無理せず、お前も逃げろ。」


【霊夢】

「うん、大丈夫。」


【嶺矢】

「…敵は何人だ?」


【霊夢】

「たぶん、三人で来てると思う。」


【嶺矢】

「三人か…耳貸せ、霊夢。」


【霊夢】

「?」


 …悔しいが、今の俺にはこのくらいしか出来ないからな…。


【嶺矢】

「…とにかく、無茶はするなよ。」


 俺は、着替えを手に台所へ向かった。手持ちの服の中で一番暗い色をした甚平に着替え、裏口から表に出る。建物の影、夜の闇に紛れながら、俺は神社を離れ全速力で走った。




 霊夢side


 さてと…ミネルバが部屋を出るのと同時に、巫女服に着替え装備を整え、縁側へと歩み出た。


【霊夢】

「…待たせたわね。」


 見上げると、思った通り三人揃ってそこに居た。三人…じゃないか…彼女たちは、三柱と言うべきだったわね。


【神奈子】

「そうでもないさ。私は心の広い神だと自負しているからね。もう少し待ってやっても良かったぞ?」


 ちらりと横を見ると、私の部屋に見事に御柱が突っ込んでいた…あの角度だと、床が抜けてるわね。


【霊夢】

「で?何の用なの?」


【神奈子】

「…いい加減、張りぼての社に我慢ならなくなってね…だから、この分社を…」


【霊夢】

「勝手に分社にしないでくれる?」


【神奈子】

「…この分社を、私たちの新しい社にしようと思ってね。」


【霊夢】

「やれるもんなら、やってみなさい?」


 私が飛び出すのを合図に、神奈子の両脇にいた早苗と諏訪子が左右に散った。ミネルバの言った通りに。


【嶺矢】

『敵が三人なら、こっちが動けば確実に敵の二人はお前の背後に回り込んでくる。三角形の形で、お前を取り囲もうとするだろう。狙いはその瞬間…』


【霊夢】

「幻想空想穴!」


【早苗】

「え?」


【嶺矢】

『フォーメーションが完成するかしないかの瞬間、幻想空想穴で背後をとって一人仕留めろ。絶対に、狙う相手に目を向けるな。正面の敵だけを見とけ。』


 ドガッ


【早苗】

「ぐっ!」


【諏訪子】

「早苗!」


【神奈子】

「お、おのれ!」


 霊力を込めた蹴りで、早苗を蹴り落とす事に成功した。これで敵は二人…ミネルバが逃げるまで、あと三分くらい?これなら、いける!




 美鈴side


 先ほどの気配は一体何だったのか…恐怖というより嫌悪感で鳥肌が立ちましたよ。

 それにしても、お向いさんはどうしたんでしょう?親子喧嘩でもしたのでしょうかね。藤堂さん、湖の水で氷漬けにされてしまいましたよ。

 やれやれ、助けて差し上げるべきでしょうかね?


【レミリア】

「その必要はないわよ、美鈴。」


【美鈴】

「お嬢様!」


 びっくりした。門の上からいきなり降りてくるなんて…


【レミリア】

「藤堂の事は、放っておいた方が後々の為よ。」


【美鈴】

「酷い…」


【レミリア】

「事実よ。それより、貴方も中へ来なさい。」


【美鈴】

「…承知しました。」


 門番である私は、食事などの休憩時間以外に館の中に入る事はない。そんな私が、中に呼ばれる理由があるとすれば、ただ一つ…


【レミリア】

「遅くなったわね。皆、集まってる?」


 通された部屋には、すでに紅魔館の主要メンバーが集められていた。メイド長の咲夜さん、図書室の主であるパチュリー様と、その使い魔である小悪魔、お嬢様、妹様、それに今はクリム様も。


【レミリア】

「さっきの嫌な感じは、皆も気付いたと思うけど、幸い紅魔館に被害は出ていないわ。ただ、少し他人事では済まなくなりそうなの。なので皆、準備をしておいて。明日の正午…出るわよ。」


 お嬢様のその言葉に、私は血が騒ぐのを感じた。


【パチュリー】

「…こあ、喘息の薬はまだあったかしら?」


【小悪魔】

「はい。部屋に戻ったら、すぐに用意します。」


【パチュリー】

「あと、日焼け止めクリームもね。」


 二人のこのやり取りも、久し振りに聞いた。


【咲夜】

「では、私は仕事に戻ります。朝食の仕込みが残っていますので。」


 何があってもブレない咲夜さんは、平然と部屋を出て行った。


【フラン】

「わぁーい♪久し振りのお外だぁ~♪」


 妹様は完全にピクニック前日といった様子だ。

 ま、かく言う私も…すっかり回復した両腕が、先ほどから鳴りっぱなしですがね。




 嶺矢side


【嶺矢】

「はぁ…はぁ…はぁ…」


 くそ、この程度走っただけで、もう息が上がってきやがった…霊夢は、まだ来ないのか?もうとっくに五分は経ったはずだ。

 俺も、もう十分過ぎるくらい神社を離れたぞ。何してるんだ、霊夢?早く来い!


【嶺矢】

「あいつ、まさか調子乗って、深追いしてないだろうな?」


 アツくなるなよ、霊夢…俺が教えたのは、飽くまで時間を稼ぐ為の、頃合いを見て逃げる為の戦法だぞ。勝ちに行こうとするな…負けさえしなきゃいいんだ…早く、早く逃げろ!




 霊夢side


【諏訪子】

「そりゃそりゃそりゃそりゃあっ!」


【神奈子】

「はぁぁぁっ!」


 左右から迫る弾幕の嵐を、巫女の直感を頼りに掻い潜る…二人から十分に距離を保てば、死角から攻撃を仕掛けられる事はない。これも、ミネルバが教えてくれた事だ。


【嶺矢】

『敵が二人になれば、十中八九敵はお前の真後ろに回らない。正確には、仲間とお前を結ぶ直線上には立たない。同士討ちになりかねないからだ。距離と体勢を上手く調整すれば、敵がお前の死角に入る事はないはずだ。』


 ありがと、ミネルバ…おかげで、こっちは何とかなりそうよ。

 待っててね…こいつらピチュったら、迎えに行くから!


【霊夢】

「夢想封印!」


【神奈子】

「チィッ!こんなもの…っ!」


【諏訪子】

「あわわわ!」


 さすがに、この二柱の神様相手にじゃ、そう簡単に当たらないか…だけど、まだスペカなら…


【霊夢】

「きゃっ!」


【早苗】

「ふふふ、捕まえましたよ♪」


 さ、早苗?アンタはさっき…


【霊夢】

「って、ちょ!何処触って…!」


【早苗】

「先ほどのお返しです、霊夢さん…あれ?また大きくなりました?」


【霊夢】

「う、うるさい!離しなさいよ!」


【早苗】

「はーい♪」


 ドガンッ


【霊夢】

「がっ!」


【早苗】

「…用は済みましたから♪」


 し、しまった…セクハラで、集中力が……


【神奈子】

「よくやったぞ、早苗。」


 よりによって、御柱をまともに喰らうなんて…左腕、いや上半身の左半分が猛烈に痛い……折れた?折れてるわよね…防御も何も間に合わなかったんだから…むしろ、まだ生きてる自分にびっくりだわ。私も割とタフに出来てるのね…紫の修行のおかげ?


【霊夢】

「ぐ、あ…ぁ……」


 あぁ、マズい…シャレにならない痛みだ、これ……


【神奈子】

「さぁ、博麗の巫女…大人しく、社を明け渡す気になったか?」


 下りてきた神奈子を前にしても、もう立ち上がる事も出来そうにない…だけど、


【霊夢】

「だ、誰がアンタらになんか…」


【神奈子】

「強がるな。私の御柱をまともに受けたんだ…さぞ左腕が痛むんだ、ろ?」


 グリッ


【霊夢】

「あああああっ!」


【神奈子】

「軽く踏んだだけでもそんななんだ。締め上げたらどんな声で鳴くかな?」


【霊夢】

「ふ、フン…性格、悪くなってんじゃない?社が吹っ飛んで、信仰集めもままならないから拗ねてるの?」


【神奈子】

「っ!その減らず口が、いつまで続くか、なっ!」


 ぎりぎりぎりっ……




 嶺矢side


 神社から続く道を里に向かって駆け下りてきたが、一向に霊夢が追いかけてくる様子はない。

 …俺のせいだ…俺が、余計なアドバイスなんかしたせいで…完全に裏目だ。


【嶺矢】

「クソっ!どうすりゃいいんだ…」


 俺は途方に暮れるしかなかった…霊夢の事だけじゃない。目の前の事態にも、俺は頭がついてきていなかった。


【嶺矢】

「何で人里まで消えてんだよ…」


 仕事のため、とうに通いなれたはずの人里は、何故か影も形も無くなっていた。

 上白沢塾は何処へいったのか?塾長は何処へ?…生徒たちは?皆、無事なのか?

 分からねぇ…何も、分からねぇ……一体、どうしたら…


【慧音】

「ミネルバ先生?」


【嶺矢】

「あ?」


 聞きなれた声に顔を上げると、塾長が何も無い所から急に現れた。な、何だ?どっから現れた?


【慧音】

「何やら不穏な気配を感じて、里に結界を張って見えなくしたんです。」


【嶺矢】

「見えなく?じゃあ、里自体は…生徒たちは無事なんですか?」


【慧音】

「えぇ、勿論。それより、ミネルバ先生こそどうしたんです?」


【嶺矢】

「…神社が襲撃されたんです…霊夢は、俺が逃げる時間を稼ぐために残ったんですが、まだ…」


【慧音】

「博麗神社が?あそこは幻想郷の要であり聖域、襲撃する者など幻想郷の住人にいるわけが…」


【嶺矢】

「犯人は見てないんで分かりませんが、霊夢が言うには三人だそうで…だったらと、対三人用の戦法をアドバイスして出てきたんですが……そのせいで…っ!」


 俺は拳を地面に叩きつけた。


【慧音】

「ミネルバ先生!」


【嶺矢】

「俺のせいで、霊夢が…霊夢っ……」


【慧音】

「落ち着いて下さい、ミネルバ先生。大丈夫です、霊夢はあれでも博麗の巫女です。そう簡単にやられはしないし、まして殺されたりしないはずです。霊夢のバックには、あのスキマ妖怪や鬼の四天王の一角もついているんですから。」




 萃香side


【萃香】

「…へっくしっ!」


【勇儀】

「何だい、萃香?鬼のくせに風邪でもひいたかい?」


【萃香】

「まさか~。誰か噂してるだけだよ~。」




 慧音side


 人里の前でひどく動揺した様子のミネルバ先生を見つけた私は、一通りの事情を聞いた後、彼に部屋を宛がった。


【慧音】

「明日も授業がありますから、今夜はゆっくり休んで下さい。」


【嶺矢】

「…はい…」


【慧音】

「例え異変が起こっても、子供たちには今日も明日も、同じ一日は一日なんですから。」


【嶺矢】

「はい…分かっています…」


【慧音】

「幸い、午前の授業は藤堂先生の担当ですから、ミネルバ先生はゆっくり心を落ち着かせて下さい。」


【嶺矢】

「……藤堂先生?誰ですか、その先生?」


【慧音】

「え?」


 一瞬、ミネルバ先生の質問の意味が分からなかった…誰って、


【慧音】

「藤堂先生ですよ。そろばんを教えている…大丈夫ですか、ミネルバ先生?」


 頭を強く打ったのだろうか?少なくとも、私はまだ彼に頭突きなど喰らわせた覚えはない。


【嶺矢】

「何を言ってるんですか?俺が読み書きを教える以外、他の授業は全部、塾長がこなしていたじゃないですか。」


 ……ミネルバ先生の表情は、真剣そのものだ。冗談の類で言ってるようには見えない…だとしたら、これはどういう事なのか?ミネルバ先生が、藤堂先生の事を忘れてしまうなんて。今日の昼間だって、授業の事で二人で話し合っていたじゃないか。


【慧音】

「…どうなっている?異変は神社だけじゃないのか?」


【嶺矢】

「?」


【慧音】

「ミネルバ先生、明日は色々と大変になるかもしれません。色々と不安はお有りでしょうが、今夜は出来る限り休んでおいて下さい。」


【嶺矢】

「は、はい…」


 ミネルバ先生を部屋に残し、私は自室兼書斎に戻った。

 窓の傍に立つと、空に浮かぶ月が見えた。明日は満月だ…。


【慧音】

「何が起きているんだろうな?妹紅?」


【妹紅】

「おりょ?バレてたか…」


 窓の下にしゃがみ込んで煙草を吸っていた妹紅…そんな所で煙草を吸っていたら、煙ですぐバレるだろうに。


【妹紅】

「私も慧音も、藤堂の事は覚えている。でも、ミネルバは何故か忘れている…この差は何だ?」


【慧音】

「…藤堂先生…」


 まさか、藤堂先生の身に何か?


【妹紅】

「おーい、慧音。帰ってこーい。」


【慧音】

「あ、あぁ…大丈夫だ…」


【妹紅】

「ったく、あの男の事となるとすぐこれだ。」


【慧音】

「うっ…」


【妹紅】

「この間、食事に行ったんだろ?どうだったよ?」


【慧音】

「い、今はそれどころじゃ……ぅぅ…」


【妹紅】

「概ね上手くいっている、と…」


【慧音】

「何をメモをしているんだ!?まさか天狗に売る気じゃないだろうなっ!?」


 ~少女争奪中…~


【慧音】

「はぁ…はぁ…全く、何をしてくれるんだ…」


【妹紅】

「いてて…ほんの冗談だって……ま、冗談は置いといて、藤堂に関する記憶に相違が生まれているって事は、藤堂に絡んだ異変が起きてるって事だな。或いは、藤堂が黒幕かも…」


【慧音】

「そんなっ!そんな事あるわけが…」


【妹紅】

「どうかな?チルノに関係していた場合、否定し切れないだろ?」


【慧音】

「それは…そうだけど…」


 確かに、チルノの身に何かあった場合、危機が迫った場合に限っては、藤堂先生は善悪損得の概念なく動くだろう。


【妹紅】

「まぁ、藤堂に関しては私が見てくるよ。慧音は人里の結界を維持する事に専念しときな。」


【慧音】

「妹紅…ありがとう。」


【妹紅】

「だって慧音、あいつが絡むとてんで冷静な判断出来なくなるし…」


【慧音】

「うっ…も、妹紅っ!」


 そう言うと妹紅は、紫煙をくゆらせながら夜の闇の中に消え入った。

 ひとまず、藤堂先生の事はこれで大丈夫だろう。霊夢も…おそらく命までとられはしまい。何かあれば、スキマ妖怪が黙ってなどいないはずだからな。




 藍side


 どうして、こうなってしまったのか…


【紫】

「フフ…フハハハハッ!やったわ♪見た、藍?娘に罵倒を浴びせられ、氷漬けにされたあの男の表情!アハハハ…いい気味♪」


 スキマの向こうに映る彼の幻術師、藤堂…紫様を三度退け、一度は紫様を再起不能寸前まで追い込んだ人物…私とて、少なからず憎くはある。だが、しかし…今の紫様の憎悪は、明らかに異常だ…。


【藍】

「紫様、もうその辺にしておかれては?それより、霊夢と神社の方が…」


【紫】

「黙りなさい!こんなもので許せるはずがないでしょう!もっとたっぷり苦しめてから、殺してあげないとね。」


【藍】

「紫様…」


 もう、何を言っても無駄か…霊夢や博麗神社を引き合いに出しても、全く耳を貸そうとしないとは…。どうして、こうなってしまったのか…。




 ~おまけ1・あややの突撃インタビュー~


【文】

「本編にまだ登場していない方々を、マルっとサクッとご紹介!それが、あややの突撃インタビュー!第四回目のゲストはこちら!プリズムリバー三姉妹です!」


【ルナサ】

「…こんにちは。長女のルナサ・プリズムリバーです。」


【メルラン】

「次女のメルランです。」


【リリカ】

「リリカだよ♪」


【文】

「では、早速始めたいと思います。まずは定番の、メルランさんバストは何カップですか?」


【メルラン】

「×××です。」


【文】

「…答えちゃった!当人が!しかも普通に!」


【メルラン】

「何かマズかった?」


【文】

「だ、大丈夫です。驚いただけですから…ちゃんと、後でピー音も入れておきます…」


【リリカ】

「ちなみにリリカはね…」


【文】

「ストップ、ストップです!お二人とも何でそんなにオープンなんですか!?」


【ルナサ】

「…それで?本当は何を聞きたいの?」


【文】

「あ、はい。えっとですね…この度、御三方とミスチーさんの夢のコラボユニット、プリズムナイトが新曲を発表されるとの事で。」


【ルナサ】

「…えぇ。」


【文】

「曲の見所…いや、聞き所?といいますか、どのような感じの曲なのかとか、ぜひお伺いしたいのですが。」


【ルナサ】

「…宣伝させてくれるの?」


【文】

「ぜひ!」


【ルナサ】

「…そう。」


【文】

『こんな美味しい記事ないですからね!ミスチーさんにプリズムリバー三姉妹の新曲について書けば、我が文々。新聞の売り上げ部数は間違いなく跳ね上がりますよ!』


【ルナサ】

「ミスチーさんと私たち姉妹のコラボユニット、プリズムナイトの記念すべきファーストシングル『雪マチのヨル』が、今年の冬に発売されます。雪の降りそうな寒い冬の夜に、決して帰らぬ彼を待ち焦がれる少女の、悲しい乙女心を歌った切ない曲です。聞いた後、大切な人に会いたくなるような、ちょっぴり素直になれそうな、そんな感じの曲に仕上がっていると思うので、皆さんぜひ聞いて下さいね。……こんな感じ?」


【文】

「いいっ!めちゃくちゃ良いじゃないですか!ルナサさん、普通に明るく話せるんじゃないですか!もっとそれ押していきましょうよ。」


【ルナサ】

「…疲れるから、嫌…」


【文】

「そ、そうですか…では、ご協力ありがとうございました♪」


 ルナサ・プリズムリバー~騒霊ヴァイオリニスト~

 身長:152㎝

 能力:手を使わずに楽器を演奏する程度の能力


 メルラン・プリズムリバー~騒霊トランペッター~

 身長:157㎝

 能力:手を使わずに楽器を演奏する程度の能力


 リリカ・プリズムリバー~騒霊キーボーディスト~

 身長:141㎝

 能力:手を使わずに楽器を演奏する程度の能力




 ~おまけ2・ミネルバ先生の相談窓口~


【嶺矢】

「ミネルバ先生の相談窓口、今日もサクッと皆の悩みを蹴散らしていくぜ。まずはこちらのお便りから。えー、ラジオネーム、鬼ちゃんさんから…『なまはげに若い力を、って事で応援に駆けつけてあげたいんだ。ほら、私もなまはげ同様、二本角の鬼だし。悪い子探し出して、お家の人にお酒振舞って貰えるなんて最高じゃん♪どうやったらなれる?』との事だが…悪い、地元違うわ。続いて二枚目…ラジオネーム、鬼ちゃんさんから、ってまた!?でも筆跡違うな?『ちぃと困った事になっててね…この間、落石に当たってアタシの自慢の角にデッカイ岩が刺さっちまったんだよ。場所とか角度とかの問題で抜けなくてね…腕のいい石職人を紹介してくんないかい?』という事なんだが…どういう状況だよ…。よくお便り出せたな。とりあえず、寺子屋で働き出す前に手伝った石材屋の棟梁に声かけておくから、もうちょっとの辛抱だ。というわけで、今回はこのくらいにしておくぜ。皆からのお便りは随時募集中だ。宛先は、幻想郷ラジオ事務局、ミネルバ先生の相談窓口係まで。」


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