あふたーすくーる。
傾向/エロ無し。
「適当に座ってろ。」
結局、先輩の家に来てしまった。
ごく、普通のマンションの一室。
すっきりとしていて、キレイに掃除されていた。
「好きなモン、ねぇの?」
「はい、特に…」
昼休みのアレから、先輩に少しだけ恐怖心を抱いている。
元々、人付き合いが得意ではないし。
寧ろ、苦手だし…
「雑炊だ、全部とは言わねぇから食え。」
お椀に盛られている雑炊。
美味しそうだが、食欲は湧かない。
「…口、開けろ。」
「え、あ…」
先輩がスプーンに雑炊を乗せ、俺の口へ運んだ。
「は…ふ。」
熱い、ケド
「美味しい、です。」
美味しかった。
半分程、食べさせてもらったが、
「トイレ借りますね。」
3分もしないうちに、トイレで吐いた。
体は求めていても、心がソレを許していない様な感じだ。
「はぁっ…」
先輩に悪い事しちゃた…
嘔吐物を流し、洗面所でうがいをした。
胃酸が喉を焼く感じは全然慣れない。
「吐いたのか?」
「……は、い」
リビングに戻ると、一番に問いただされた。
まるで、子供を叱る母親みたいに。
「ごめん、なさい。
雑炊、凄く美味しかったです。
でも、やっぱり…」
好意を裏切った自分がどこまでも憎い。
あの頃から、ずっと自分は嫌いで、
何をしても、許せない。
「俺、帰りますね。
気分、悪いでしょ?俺と居たら。
無理しなくていいんですよ。
気持ち悪いですから。」
何、言ってんだろ、俺。
先輩は、あいつらとは違う、
違う…?
何を根拠にそんな事を言える?
「あ…ぁあ」
怖い、怖い…
崩れて、いく。
「おい、大丈夫か」
「触らないで!!」
先輩の手を振り払った。
驚きを隠せないでいる先輩の顔が見え、
我に帰った。
「あ…、ごめん、なさい。」
何、やってんだよ…
こんなに優しくしてくれる、先輩まで信じられないなんて…
「ごめん、ごめん、なさい」
謝ったら、許してくれるだろうか。
それとも、体?
「長瀬っ…」
「何でも、します、からっ。
ごめん、なさいっ、ごめんなさい」
許して、俺を。
醜く、汚い、“人殺し”の俺を…