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a broken heart.  作者:
1/9

すたーと。

傾向/エロ無し。

「はい、3万。」

俺の価値は、3万円なんだーー


「遅いぞ、長瀬。」

俺は、ごく普通の高校生、

「…」

ではない。

かと言って

「すみません。」

不良とか、でもない。

と、思う。

「…次、気をつけろ。」

成績もそこそこだし、授業はちゃんと出てる。

「長瀬って、変わってるよな。」

「売り、やってるらしいぜ。」

「ゲイって、マジ?」

性格に、難がある奴ってどのクラスにも

居ると思う。

それが、俺だ。

売りは、本当にやってるし、否定はしない。

だけど、

「先生に媚び売って…」

「成績とか上げてもらってるって」

先生に媚びを売った覚えはないし。

成績をごまかしてもらった事なんてない。

誰がそんな事を言ったのかは知らないが、

迷惑にも、程がある。


昼休みーー

「先輩、なんでいるんスか?」

「いいだろ、別に。」

屋上は、俺だけの特等席なのに。

先輩は、やたらと俺に絡んでくる。

他の男子の先輩は、俺を変な目でしか

見ていないのに。

先輩だけは違う。

「今日遅刻してきただろ?

変な客に買われてたのか?」

やたらと、俺にかまってきて、

「どっか痛いトコないか?」

俺を心配する。

「何でもないです。

相手の家で、ちょっと寝ちゃっただけです。ごく普通の性癖の方でした。」

お節介だとは思うが、

鬱陶しいとは、思わない。

「…そういうの、やめておけよ。」

「その前に2人、相手したから疲れてただけですよ。頻繁には、しないです。」

流石に、3連続は体にきつかった。

けっこーな絶倫相手だったし。

3時間置きならどうにか…なんて言ったら

先輩は怒るだろうか。

「っ!!」

「お前、飯食ってんのか?」

先輩が俺の腹部を急に触ってきた。

びっくりして、海老みたいに後ろに下がった。

「…食ってないな?その反応。」

嘘はつけそうになく、肯定し、頷いた。

一時期、自分が大嫌いになり、本当に、

死にたいと思った時があった。

でも、リストカット、なんて事はできなくて、断食をした。

我慢していても、食べてしまうから、

食べたら、吐く。

それを、何ヶ月か繰り返した。

異常に痩せた俺に気づいた、保健室の先生が、親に電話して、俺を構わない親が、

専属の医者をつけた。

医者は、つい先月、俺の体重が戻ったから

もういないが。

いなくなると、また食べては吐いてしまう。

「だって、吐いちゃうんですもん。

吐くって、結構つらいんですよ?」

「じゃあ、吐くな。」

「無理ですね。」

食べない、より、食べる方がつらくなってしまったのだ。

「今の体重は?」

「53kgぐらいです。」

嘘。本当は50だ。

医者のおかげで55までいったが、

この1ヵ月でまた減った。

「身長は…165ぐらいか。」

何でわかったんだ。

けっこー気にしてるのに。

「家、来い。」

「え?」

何、先輩。

買うの?俺を。

「吐く癖、治さねーと、死ぬぞ、お前。」

あぁ、そっちか。

でも、先輩なら、お金いらないかな。

「迷惑でしょ?先輩のご両親さんに。」

俺の家は、ちょっと変わっていて、

母さんは浮気症、父さんは仕事一筋。

いつからか、二人共家ほとんど寄り付かなくなっていた。

父さんが、1ヶ月に一度、十数万円程度の

生活費を置いて行く。

その大半を母さんが持っていき、残った分は俺の集金と、家の光熱費諸々。

お小遣いは自分で稼いでるし。

特に必要ない為、貯金しているが。

つまり、俺は自由。

先輩の家に行っていいなら行くし、

無理なら行かない。

「俺、一人暮らしだし。」

家事するんだ、先輩。

何か、想像出来ないなぁ。

「じゃあ、お言葉に甘えますケド…

放課後に入ってるんで、1人。」

「断れ。」

「無理ですって。そんなの。」

「断れ!!」

強めの口調。

今まで、強く言われることはなかった。

少し、気だるげで、でも芯の通った言葉。

でも、今のは、自分の意思を押し付ける様な、乱雑な言葉で…

「…はぃ。分かり、ました。」

怖かったのカモしれない、先輩が。

いや、怖かったんだ。

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