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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

異星人の恋

作者: アマミ
掲載日:2026/03/03

「種族を越えた恋」というテーマを与えられて、大学生のときにサークルで書いたものです(この作品はpixivにも投稿しています)。

地球人と宇宙人って別の種族ですよね?

「宇宙」

「へ?」

「宇宙出身なんだ、わたし」

「……はい?」

 私、大澄いおの目の前に座っている友人の暁昴は、私のそういえば出身どこだっけ? という質問に対していつも通りの澄まし顔でそうのたまった。

 一年生の春、英語のクラス分けテストの会場が分からずに右往左往していた私を助けてくれたのが彼女との縁の始まりだった。

 それ以降、私たちは一緒に授業を受けたりするようになり今に至る。

 それにしても、美人で頭も良い割には天然なところがある子だなと思っていたけれど、まさかここまでとは……。

「冗談だよね……?」

「冗談じゃないよ。ほんと」

「えーと、じゃあ昴は宇宙人ってこと?」

「宇宙人か……。うん、まあそうだね。地球の人からしたらそうなるかも」

「地球の人って……」

 昴の顔を見たが、特に私をからかっている様には見えない。いや、そもそもこの子は表情が読み難いのだけど。

「あー、じゃあいくつか質問してもいい?」

「うん。いいよ」

「えっと、まずなんで今まで言ってくれなかったの?」

「聞かれなかったから」

「いや、確かに聞かなかったけど……」

 そういえば互いの出身地について話したことがなかったなと今更ながらに思う。

「ちなみに、いおはどこ出身なの?」

「え、私? 東京だけど」

「なるほど。道理でお洒落さんなわけだ」

「そ、そうかな」

 確かに着るものにはこだわっているので、褒められるとなんだか気恥ずかしくなってしまう。……ってそうではなくて!

「って、そんなことで誤魔化そうとしても無駄だからね!」

「別に誤魔化そうとしてたわけじゃないんだけどな」

 んんっと咳払いをして、私は次の質問を繰り出した。

「じゃあ、二つ目の質問ね。なんで地球の大学に通ってるの?」

「んー、まあ理由はいろいろあるけど、一番はやっぱりカモフラージュかな。わたしぐらいの年の子が学校も行かない働きもしないだと目立つかなぁと思って。あと、大学生だと自由な時間が多いから何かとやりやすいってのもあるし」

「や、やりやすいって一体何するつもりなの……?」

「あ、別に危ないことじゃないよ。いわゆる潜入調査ってやつ。大々的に地球と接触する前に、こうやって調査員を派遣して地球に危険がないか調べてるの。実際にそこで生活しないと分からないこともあるから」

 昴の話に軽く目眩を覚えた私は、ドリンクバーで汲んできて、とっくに冷めてしまった紅茶を飲みながらほうと一息つく。

「……いや、やっぱ嘘でしょ」

「嘘じゃないって」

「じゃあ、あれ、UFO呼んでよ」

「うーん……、呼べなくはないけど、緊急時以外に呼ぶと怒られちゃうんだよね。基本的に他人に正体を知られてはいけないってことになってるし」

「え……? じゃあ何で私に話してくれたの?」

「いおなら他の人に言ったりしないかなって。それに、最悪の場合はこれでいおの記憶を消すから大丈夫」

 そう言いながら、昴は隣の席に置いてある鞄からおもちゃの銃の様なものを取り出した。大きさといい質感といい、百円ショップで売っている水鉄砲にしか見えない。

「それ、本物……?」

「うん、痛みもなく対象の記憶を消せる優れもの。だから大丈夫」

「いやいやいや、全然大丈夫じゃないし」

「大丈夫だよ。消えるのはわたしに関する記憶だけだから」

「だったら尚更大丈夫じゃないって!!」

 突然の大声に驚いたのか、周りの人達が一斉にこちらを向いた。けれど、そんな大声を出した私に一番驚いていたのは私自身かもしれなかった。

 昴に関する記憶が消えると聞いて、どうして思わず大声を出してしまうほど嫌な気持ちになったんだろう――。

 少しの間恥ずかしさやら何やらでテーブルに伏せていた私が顔を上げると、いつも通り無表情の昴と目が合った。

 いや……、本当にいつも通りだろうか。どこかいつもと違うような……。

 そこまで考えてはっと我に返った私はすぐさま昴から目を逸らし、話題を変えようと試みる。

「あ、えーっと……、あ! そ、そういえば、潜入捜査ってことは、いずれは自分の星に帰っちゃうってこと?」

 話を逸らすためにふと頭に浮かんだ疑問を口に出すと、昴は僅かに言い淀んでからそれに答えた。

「本当なら先月に任期が終わって帰る予定だったんだけど、無理言って任期を特別に伸ばしてもらったんだ。だから、しばらくは大丈夫」

「ふーん。……なんで任期のばしたの?」

 私が何の気なしにそう尋ねると、昴はびくっと体を震わせ、珍しく明らかな動揺を見せた。

 そして、小声で何かを呟いているようだが、あまりにも音量が小さくほとんど聞き取れない。 

「なに? 何て言ったの?」

 なんとか聞き取ろうと、半ばテーブルに身を乗り出すようにして昴の口に自分の耳を近づける私。

「い……と……しょに……から」

「え?」

「いおともっと一緒にいたかったから」

「なぁっ……」

 自分の顔が急激に熱くなるのを感じて思わず昴の口から離れると、彼女の顔も恐らく私と同じかそれ以上に赤くなっている。

 思わず昔なにかで見たタコ型の宇宙人を連想してしまい、私は顔を赤くしたままくすりと笑った。


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