導入
不定期に更新していく予定です。
――ギシ。ギシ。
手入れも行き届いておらず、腐ってしまっているであろう木材が、私が未知の領域へ踏み入る度に悲鳴をあげる。
――ギシ。ギシ。
まるでそれは私の侵入を拒んでいるようにも思えた。
暗がりの中で、やっと底が見えた気がした。緊張感が全身を駆け巡る。何かがその奥に居る、という訳でもないのに、自然と息を殺してしまう。
――カラン。
ふと、足に何かが当たると共に、そんな音がした。
スマホのライトを下に向ける。
ライトの映した光景に心拍数と息が上がるのが分かる。
私が足で蹴ったそれは確かに、人の骨だった。その一本だけではない、そこ……いや、この空間には明らかに人の物であろう骨が幾つも転がっていた。
――ヒュッ。
そんな声にならない声が空間内で響いた。人であったであろう骨の首にはペンダントが付けられていた。
私は恐る恐る白骨化した死体に近づく。
無機質にぽっかりと穴のあいた頭蓋骨の目と視線が交わる。
最低限手が届く範囲から、半ば強引にペンダントを引っ張る。重量感があまり無かった為か、引っ張ったと同時に骨は此方に倒れてきた。
――はぁっ。はぁっ。
強ばった手は、真実を知りたくない、という自分の意思に反して、そのペンダントへ伸びていく。
ペンダントには蜘蛛の巣のようなものがすくっていた。だが、開けずには居られなかった。
――はぁっ。はぁっ。
――ギシ。ギシ。
――はぁ……はぁっ……
『愛とは善意だ。そして、善意とは愛だ。』
果たしてそうか?
善意とは?
愛とは?
その二つは果たして前述のようにイコールになるのか?




