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エルフが築く世界帝国 〜滅びの運命から始める反逆記〜  作者: 神田川 秋人
第4章 世界樹奪還作戦

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第64話 籠城




領都レスターにおける、現在の都市防衛の責任者である第2騎士隊長からの指示により、兵士たちが北門と南門の城壁に集結していた。


そのまま、各部隊長の指示により、城壁の上に駆け上がる。

弓矢が扱える者は弓矢を、弓矢が扱えない、あるいは用意できなかった者は石や木片を手に持って。


だが、お世辞にも兵士たちの士気は高いとは言えない。

いや、はっきり言って士気は最低最悪だった。




――無理もない。




空には謎の巨大なトカゲが飛び回り


突然、何もない空間が爆発して吹き飛び


そして、燃える水が雨のように降りそそぎ、全てを焼き尽くしていく。


極めつけとして、都市の外に目を向ければ、まるで森から突然湧き出たかのように、謎の騎兵の大軍が押し寄せているのだ。


これで士気をたもてという方が無茶であった。




「はぁ……最悪な状況だな。」


騎士隊長は、精彩を欠く兵士たちの動きを見てため息をついた。

そして、気を取り直すかのように、城壁の外に目をやる。


「敵の騎兵も北門と南門に分かれたが……それにしてもみょうだ。なぜ下馬げばしない?それに、梯子はしごや攻城兵器のたぐいも見当たらないぞ。」


騎士隊長は、城壁に設置してある監視塔から迫りくる騎兵たちを観察していたが、領都レスターに近づいても一向に下馬する様子がない。


通常、攻城戦となれば、弓矢などの遠距離武器で攻撃の応酬を行い、城壁に梯子をかけて乗り越えるか、城門を破城槌はじょうついなどの攻城兵器で破るのが定石じょうせきである。


騎士隊長は、てっきり謎の騎兵は野戦用の部隊であり、後続として攻城戦用の歩兵や弓兵が来ると考えていたが、それらは一向にやって来ない。

それどころか、謎の騎兵たちだけで、領都レスターへの進軍を継続している。


騎兵だけで構成されている軍隊というのも妙だが、攻城戦において騎馬したまま近づいて来るのは、妙を通り越して不気味ですらあった。




「騎士隊長っ!!やつらの一部が突撃してきます!」


そして、何を血迷ったのか、謎の騎兵たちの一部が、馬に乗ったまま城壁に突撃し始めた。


意味不明な行動ではあるが、それでも近づかせる訳にはいかないため、城壁の上に陣取った兵士たちは弓矢の雨を降らせる。


しかし――






「な、なにぃぃぃぃ!?」


騎士隊長は、もう何度目になるかも分からない奇声を発した。


なんと、騎兵に向かって放たれた矢が、騎兵の近くに到達すると急に軌道を反らし、あるいは勢いを失って地面に転がったのだ。


まるで、騎兵の前に()()()()()が存在するかのように。


兵士たちは、慌てて次の弓をつがえるが――






「ぐああぁぁぁぁ……!!」

「ぎゃあぁぁぁぁ……!!」


城壁の上に陣取った兵士たちが、まるで風に舞う落ち葉のように上空に舞い上がった。


そして、そのまま城壁の外に落下し、地面に叩き付けられる。

地面に落ちた兵士たちはピクリとも動かない。


よく見ると、同じような光景が城壁の至る所で展開されており、その上空を例のトカゲが飛び回っていた。


まるで、焚き火に入れた木の実が弾けるがごとく、あちこちでポンポンと兵士たちが吹き飛び、城壁の上にいる兵士たちの数は、みるみる内に少なくなっていく。


「な、何が起きているのだ……?私は、夢を……夢を見ているのか……?」


自分が目にした光景が到底信じられず、騎士隊長はよろめきながら窓から離れ、後退あとずさった。


気が付けば、背中が部屋のドアに当たり、彼はそのままドアに手を付いて、もたれかかった。


そして、頭を掻きむしったその時――






監視塔の室内の空気が突然、()()()()()()()






「騎士隊長殿っ―――!!」


おそらく、それは野生の勘であっただろう。


騎士隊長を心配して駆け寄って来た副官が、ふと何かに気が付き、彼を思いっ切り部屋の外へと突き飛ばした。


老朽化していたドアの蝶番ちょうつがいが外れ、騎士隊長は部屋から廊下へと、ドアごと投げ出される。






すると、先ほどまでいた部屋の空間が、耳をつんざく轟音と共に()()()()






「―――!?」


騎士隊長は、目の前の部屋から噴出する爆風に吹き飛ばされ、廊下を何度も転がった。


そして、突き当たりの壁に頭を強打し、その場にうつ伏せとなる。

頭から流れた血か、あるいは口内を盛大に切ったのか、口の中は血の味しかしない。


頭の中を耳鳴りが支配し、周囲の音は何も聞こえなかった。

騎士隊長は、せめて視覚だけでも状況を把握するべく、かすかに目を開こうとするが、視界がどんどんと狭まり、暗くなっていく。




そして、騎士隊長はそのまま、うつ伏せになって意識を失うのだった。




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