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宇宙へのロードマップ――あるいはイーロンやホリエモンのやってること

作者: curuss

1 実のところ核分裂エンジンは実用化目前


 事実として20年代後半に、核分裂をパワーソースとした推進方法の、実機テストが予定されています。

 これは無人機での飛行テストとなるでしょうが――


 ようするに理論周りは、すでに完成済み!



2 残念ながら大気圏脱出は、従来型の化学燃料式へ軍配が上がる


 核エンジン系は安定して長時間の加速が売りで、それこそロケットスタートには向かなかったりします。

(これは短時間で最高速へ届くのと、長時間かけて凄い最高速度は違う程度の把握でOK)


 メインエンジンを核分裂式、補助的なブースターを化学燃料式などのハイブリットも検討可能ですが、それはそれで打ち上げてからの推進剤がネックに。


 そして従来技術では数トンの資材を大気圏外へ送り出すのが精一杯で、実用範囲な小型核分裂炉は、20トン前後します。

 つまり、核分裂推進エンジンが実用化されても、5~6回に分けての打ち上げが必須な上、軌道衛星上で組み立てねば――


 ならなくもなかったりします!


 記録レベルなら一回で100トン超えの実績もありますし、採算度外視なら数十トンを安定して運べたりも。

 そして――


 100トン超を商業輸送しようとしているのが、スペースXなどの最先端宇宙事業!


 あれはイーロンマスクですが、詳細は不明なもののホリエモンも商業的展開を考えているはず。

 ……なぜか小型ロケットですけどね、ホリエモンは。


 また100トン運べるということは、核分裂式エンジン搭載の宇宙船も運搬可能に! それも地上で完成させたものを!



3 なぜ核分裂式エンジンに拘る?


 単純にパワーが段違いだからです。

 かつて人類は月へ、4日弱で到達しました。しかし、核分裂エンジンだと――


 一日かかりません! 時間単位です!


 ざっくりスペック比で6倍くらい?(到達速度が倍以上、噴出可能時間が三倍以上、必要とする推進剤も半分以下だから)

 これは逆にいうと、のんびりいけば従来の数十倍運べるということにも。

 アポロ計画で月着陸艇がドスンと降りた時点で、約4トンといいます(帰りの推進剤を1.5トンぐらい用意していたため)

 あれは4日の話ですから、核分裂エンジンで一週間運んだとすると――


 なんと25トン前後!


 まあ時間かけても良く、無人の前提なら、問題点は衛星軌道上へ上げる手段だけですけど……――


 核分裂エンジンだと、月~衛星軌道上の定期便すら成り立つという


 なぜなら燃料は少量でOKな上、月で推進剤を補給できるから。



4 あつらえたような橋頭保に最適の衛星


 というのも月極地には氷(水)が発見されていて、その埋蔵量は億トン単位といいます。

 もう宇宙開発の初期で使いきれないくらいです。

 つまり――


 月に橋頭保を作れば、水と酸素、推進剤の補給が叶う!


 つまり、月へ到着後、核分裂エンジンはマイナーチェンジします。

 核分裂炉の発電力で水を電気分解し、酸素を得る。

 副次的生産物である水素は、排熱のついでにプラズマ化させ荷電して投げ飛ばす――推進剤として利用です。

 いわゆる水素ジェット? 直接噴き出してるから別物!?



5 なぜ月に拘る?


 月では水、酸素、推進剤の他に――


 アルミとヘリウム3が入手できます!


 アルミと聞いたら軟そうですが、一応は金属ですし――


 電気分解で作る≒核発電力があるから無尽蔵に精製可能


 ともなります。

 つまり――


 宇宙空間でゼロから建造物が制作可能に! もちろん宇宙船も!


 そしてヘリウム3ですが、これは太陽風に含まれるものが長年にわたって月へ埋積したもの。

 ……月ができてから45億年の間、ずっと。

 これまたバカみたいな埋蔵量です。おそらく枯渇より、人造可能になるのが先でしょう。

 太陽風から直接採取とかSF技術に出てきたりもしますし。

(たしかガンダムでは、木星まで採りにいってた。なんでだろ?)


 そしてヘリウム3は夢のエネルギー――核融合で超有望視されて!

 一番単純には、ヘリウム3同士を融合させてヘリウム4とエネルギーを得ます。

(技術的にはヘリウム3と重水素の方が楽だとか、色々ある)


 なにより核融合は放射性廃棄物を作りませんし、反応そのものの発生エネルギーは核分裂より弱いのに――


 エネルギー炉としては10倍近くの出力と想定されてます。


 これはようするに、核融合なら反応回数で補えるから……とか。

 そして宇宙空間の場合、出力≒到達可能速度と見做せます。

 だって空気抵抗とかなくて、加速した力が勝手になくなりませんから。

 つまり――


 核融合エンジンへ換装が叶えば、月と地球間を2~3時間で到達!?


 アルミ製の核融合エンジン搭載の宇宙貨物船が、ヘリウム3を満載して月と衛星軌道上を往復する日が来る?


 これは輸入してでもクリーンな核融合へ、全ての化石燃料発電と核分裂発電は置き換えるべきだから。

 なぜなら炭素問題が根本的に解決されます

 燃焼での炭素増加がなくなる上、無尽蔵にも近い電力は、空気中からの炭素抽出への道をも開くでしょう。

 いまは技術的ハードルよりも、必要エネルギー面で不可能ですから。

 そして話を戻さば、月との定期便が可能になると――


 月からヘリウム3を採掘のビッグビジネスが生まれる


 わけです。

 正直、どうしてイーロンが火星を目指しているのか理解不能なほど。

 なぜなら月開発は、明確な目的が足りてるから。

 ……ただ核融合実用化は2050年ごろと言われているので、やや未来技術的過ぎはします。



6 だが、そんな月も最終目的地ではない


 地球の付近にも小惑星地帯があり、月まで4日のスケールなら、ざっくり一ヵ月ほどとされます(最接近時)

 ……うん?

 核融合エンジンは従来品の6倍の10倍だから、つまり60倍。

 よって――


 そこまでいくのに半日!?


 イメージ的には宇宙冒険野郎を募り、そこで資源を発見して貰う感じでしょうか。

 橋頭保は月に確保できるし、安全性は兎も角、アルミ製の宇宙船も量産できるでしょうし。

 体一つで来てくれれば、あとは当社が色々と負担! 貴方が用意するのは冒険心と命だけ!


 が、実のところ鉄とかハズレレア。

 大本命は水です。


 小惑星地帯にある天体は、大きいと直径500km以上らしいですが、ここは謙虚に直径10kmとしましょう。それぐらいが一番に多いといいますし。

 それの95%が水だったら?

 ちなみに土星の輪は、そのほとんどが水分95%といいますから、ほぼ水分な小惑星は、決して珍しくありません。

 これを大まかに計算すると――


 人ひとりだと約4.5兆年分の水と酸素!

 100億人でも、450年!

(人ひとり、水として2.5㍑、酸素として水0.5㍑の計算)


 小さめな氷の塊を見つけるだけで、宇宙世紀が成立してしまいます!

 古典SFの「宇宙では水や空気が有料」なんて嘘八百で――


 それらが無料で得られるようでなければ、宇宙開発なんて無理


 が正解だったのです!

(やや計算ガバめなので、10分の1か100分の1で考えても可。しかし、直径10km級の氷なんて何万個もあるだろうとの推定)



7 そろそろタイトル回収


 というわけで私は『なろうコーポレーション』を設立します!

 事業内容は月にヘリウム3の採取プラントを作る。さらに橋頭保とし、小惑星地帯での資源採掘です!

 出資者の皆様、こぞっての御助力を御願いします!


 貴方が()富裕層だったら、どうします?


 たしかに『なろうコーポレーション』は胡散臭いです。

 山師や詐欺師の類にも思えます。

 ですが――


 万が一にでも成功したら、()富裕層の勢力図すら書き換わる


 でしょう。それも劇的に、かつ長期的に。

 最初に氷の小惑星を地球近郊まで曳航すれば、名実ともに宇宙の支配者を名乗れるでしょう。

 もう成功失敗に関わらず、事態の推移に注意を払うべきですが――


 それには『なろうコーポレーション』へ人材を送り込まねばなりません


 なぜなら最新情報は、彼ら『なろうコーポレーション』のところへ集まるから。

 もちろん別の会社や、あるいは天才学者が先んじる可能性はあります。

 しかし、その情報すら、最前線にいる者――『なろうコーポレーション』が一番先に入手です。

 どころか天才学者が必要な発明を売り込む先は、やはり『なろうコーポレーション』を選ぶことでしょう。

 一番に景気が良いですし、有名です。誰もが知らない人とは取引できません。

 さらに成功しそうなライバル会社だって、潰すかM&Aすれば対処も。


 ならば総資産の1%を――かるく10兆円ぐらい投資しても、保険としては安いですし――


 役員を送り込める株主は、誰よりも先に逃げられます


 つまり、倒産したり、詐欺と認定される寸前に、投資額を回収してしまえばいいのです。

 その為に自分の部下を役員として送り込み、会社運営を見張らせるのですから。

 つまり、10兆円の投資であり、永遠の繁栄への保険で、実質無料にリスクコントロールも可能。

 そして万が一にでも成功したら、その見返りは何万倍すらあり得る。


 買わない理由ありますか、『なろうコーポレーション』の株を?



 これがイーロンマスクのやっていることで、専門的にはビジョナリーというそうです。

 彼は技術を売った訳でも、経営手腕を買われた訳でもありません。

 実現化が迫った手元にはない未来技術と、それで現実化させれそうなロードマップに投資させたのです。

 彼へ投資した()富裕層からにして、絶対の成功は考えていないでしょう。

 ただ、万が一のリターンの大きさと乗り遅れた場合の致命傷を考えた、保険的な投資と見做すべきです。


 考えてみて下さい、電子自動車が全てのガソリン車を駆逐した世界を


 その時、テスラ社へ投資していた者と、していなかった者を比べたら、()富裕層からの零落すら危ぶまれかねません。

 そして宇宙開発への乗り遅れは――


 おそらく取り返しのつかない失点となります。


 つまり、イーロンマスクは詐欺師じゃありません。

 なぜなら、あれだけの投資を受けている以上、投資家の意を汲んで送り込まれた役員が、内部調査に余念がないから。


 成功が確実な必要もありません。

 彼の会社が真面目に取り組んでいて、その業界で最先端の情報を確保し続けている限り、()富裕層にとって益となるからです。


 さらに打率が高い必要もないです。

 いくつかは、彼が死ぬまでに目ぼしい成果を挙げられないでしょう。

 でも、どれか一つでも成功させれば、それだけで彼はビジョナリーとして認められます。

 きちんと未来を指し示してみせた訳ですから。


 まあ、ぎりぎり成功できそうなジャンルへ片っ端から唾をつけ、どれか当たればいいやぐらいなスタンスが透けて見えはします。

 それでも当てれば彼はビジョナリーなのです。

 ……外せば詐欺師ですけどね。



 ホリエモンは自身で、イーロンマスクと同じスキームといったそうです。

 さすがに――


 違くない?


 と思わなくもないです。

 自己資産中心かつ自らでの会社運営。

 宇宙開発時代の到来は近いですが、あくまでも運搬能力が肝。小型では駄目

 彼自身が宇宙開発で何をもたらせられるか開示していない。

 富裕層中心で見えないだけかもだけど、投資を募っていない。


 ホリエモンは事業家かもしれませんが、これらを踏まえるとビジョナリーとは呼べないでしょう。

(ようするに「ホリエモンの事業に投資しなかったら、ゲームチェンジに乗り遅れる」となってないので、似たように見えてジャンルが違う)



〇一応のまとめ


・宇宙開発時代は近いよ


・月開発だけで多くの目的を見出せるよ


・小惑星開発で本格的かつ長期間の宇宙時代を支えられちゃうよ


・イーロンマスクは、ヴィジョナリーだよ


・ホリエモンは違うよ



 ……よし!

 小惑星地帯の宇宙冒険野郎コミュに、ジオニズム思想を広めて――

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