チュートリアル
「なぁ…X。見てるんだろう?まだ1時間経っていないと思うが、残っているやつはいるのか?」
俺が言った瞬間、俺の前に荒い映像が映し出された。誰かは分からないが、その映像からも嫌なオーラが感じ取れるからこいつがXなんだろうな。
「君の予想通りだ。君以外のクラスメイトは終了したよ。どうする?ここまでにするかい?」
「制限時間はまだあるんだろう?」
「それはあるが。」
「なら、能力を確認したいし、続けるわ。」
「因みに何を試すんだ?」
「彼奴等は怪人だろう?ならヒーローにならないとな。」
俺は先ほどの部屋に戻った。
レベル6…
先程までの雑魚キャラとはうってかわり、
実力のありそうな敵キャラが現れた。
あれは…オルフェノク。
ライダーが携帯電話で変身するタイプのやつだろう。
俺が少年時代に熱中してたライダーだ。
ライダーベルトはもちろん持ってたし、
イベントにも何度も足を運んだ。
そして、俺は想像した。
俺の腰には本物のライダーベルトが、
そして俺の右手には変身用の携帯電話型のマルチデバイスが…。
俺は5を3回押し、ENTERを押す。
特有の効果音が鳴り響く中、俺は嘗ての少年心を取り戻し、叫んだ。
「変身!」
俺は変身した自分の姿を反射した壁で確認した。間違いなくライダーに変身している。
これは…凄ぇ…。
俺は敵に振り向くと、内心で嬉しさを噛み締めながら、敵へ向かっていった。
それから俺は、幼い頃からテレビで見ていたライダーに次々に変身していった。
流石に体力の限界で部屋から出たとき、
Xは呆れたように元の部屋で待っていた。
「楽しかったかい?」
「そりゃもう!」
「仮面ライダーの能力があるとはいえ、凄いね君。どうしてあんなに格闘戦ができるの?格闘技やってたわけじゃないよね?」
「中学の頃は不良が多くて、何でもかんでも理由をつけては喧嘩を売られたりしてたんだが、生まれつき体が強かったせいか、負けなくてな。何度もやり合ってるうちに格闘の仕方を覚えちまったんだ。」
「実戦で学んだってわけか。化け物かよ。」
「それで?1時間たったから迎えに来たわけか?」
「それもあるし、オレが用意してきた相手は一応あれで全部だ。そもそもこれはあくまでもチュートリアルだからな。」
「他の連中はこの時間何してんだ?」
「何も?負けた時点で時間が停止している。同時にもといた部屋に戻ることになる。」
「へぇ…」
「どうする?特別扱いするか?」
「なら…してもらおうかな。俺は一応、格闘技の世界王者を体に宿しておくから。」
「なんか言ってきたら力でねじ伏せるってわけかい?」
「ああ。」
「好きにしな。なら、戻すぞ」
「Helloーーーー!!Everyone!」
「ここは…さっきまでとは違うところか?」
「ここにいる君達はチュートリアルで散々な結果だったから、先に返したんだよ。」
「急に化け物に襲わせて何いってんだ!」
「それでも勝ち上がったやつらはいた。」
「まず、レベル5。やつら10名まで一人で殺り抜いたやつは5名。そのうち1人は、チュートリアルをオールクリアした。彼は本当に見事だった。最後まで相手を一方的に倒していった。まさか、あんな手練れがいるなんてな。」
「そ…そんな奴いんのかよ。」
「まずは5位〜2位を発表します!全員が、柔道部!全員全国大会に出場してるだけはあるね。君達には最初から特殊な能力を各自別々に与えている。その力をどう使うかは君たち次第だ。」
「凄ぇ!!!流石!柔道部だ!」
「…待てよ。じゃあ、最後の奴は柔道部でも勝てなかった奴を倒したってことか?」
「それでは最強の男を紹介しよう!26HR最強の男…陸上部所属…冴島大輝。」
「嘘だろ…あのヒョロい大輝がオールクリアした?」
「おい冗談だろ?体育の柔道で俺に手も足も出なかったあいつが?」
「嘘だと思うなら挑んでみると良い。」
Xか手を叩くと床が柔道場の畳に変わった。
「辞めよう。尚大。こんなに時間と体力の無駄だ。」
「俺の方が弱いってことか?お前みたいなヒョロい奴が!?」
「やるなら覚悟しろよ?俺は柔道で相手する気はない。」
「やれるもんならやってみろよ。素人が!」
俺に走り寄って来るクラスメイトに対して、俺は利き腕の右腕にヘビー級元世界王者のマイク・タイソンを宿らせる。そして下半身を那須川天心。そして身体能力を仮面ライダーに。
俺は奴の懐に飛び込むと顎めがけて、本気のアッパーをお見舞いし、倒れ込む瞬間に飛び上がり奴の側頭部めがけて回し蹴りを入れ、
横方向吹き飛ばした。
奴は部屋の隅で泡を吹いている。
「だから言っただろうが。時間の無駄だって」