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0-1.終わりの始まり(マエル)

『大事な話があるから、至急来てくれないか――』


 陽も沈みかけた夕方。

 前触なく婚約者のキリアンから電話で呼び出された私は、理由も明かされないまま、取り急ぎポグバ子爵家へと向かった。

 

 到着して間もなく使用人に応接間へと案内される。

 応接間には、重厚なローテーブルを挟んで向き合う黒皮のソファがあり、婚約者のキリアンと彼のご両親が、妙に深刻な顔をして座っていた。


「し、失礼します……」


「遅かったな。そこに座れよ」


 どう見ても穏やかでない空気が漂う中、サラリとした金髪を掻き上げるキリアンに着席を促された私。怯えながらも3人の対面へと腰を下ろした。


「大事な話とは、何でしょうか……?」


 そう尋ねても、ただ重苦しい沈黙だけが流れる。そこへ、口火を切ったのはキリアンだった。


「マエル……これは一体、どういうことだ」


 彼が懐から取り出した()()を、投げ捨てるようにテーブルの上へパサッと置く。

 そこには、私が“スーツ姿の男性とホテル前で抱き合ってるような風景”が写っていた。


「……え?」


 目を疑った私は、咄嗟に手で口を覆った。

 剣呑な表情を浮かべるキリアンが嘆息しつつ、ソファに背を預ける。その隣で肩を並べるご両親も、冷ややかな視線を私に向けていた。


「まさかマエルが“浮気していた”とは、想像すらしてなかったよ」


「う、浮気……?」


 突如キリアンから放たれた『浮気』という衝撃的な言葉に、心臓を槍で貫かれたような痛みが押し寄せてくる。バクンッバクンッと、動悸もかなり酷い。


 ど、どうしてこんなことに……。


 確かに、写真に写っているのは間違いなく私。でも、決して浮気なんてしていた訳じゃない。


 これは、単に“人助け”をしていた場面なのだから――。

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