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その恋、応援します!!  作者: 秋元智也
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楽しい時間は

ワゴンに色々な動物の耳が売っていた。

ウサギや猫、狼などふわふわの生地で触り心地もいい。


 隆盛 「これなんかどうだ?」

 裕之 「えーー。すっごく目立つじゃん」


隆盛が選んだのは真っ白なウサギの耳だった。

裕之につけさせて鏡を見ているのを眺めるとすっごく似合っていて可愛かった。

裕之はなんだか違和感があるらしく、あまり気乗りしていなかった。


 隆盛 「なら、こっちはどうだ?」

 裕之 「うーん、じゃー、りゅうもこっち付けてよね!」


裕之に猫耳をつけるとそれはそれで可愛かった。

代わりにだらんと垂れた犬耳をつけられたが、それは似合おうがどうでも

よかった。

裕之が選んでくれたのならそれでいい。


 隆盛 「よし、これでいいな!」

 裕之 「う…うん。」


会計をしに行くと、早速つけたまま園内を回る事にした。

その様子を見て身悶えている3人がいる。

草陰から選んでいるのを眺めては写メしたいのを堪えている。


ホーンデッドマンションの前に来ると行列ができていた。

それでも裕之と隆盛は話をしながら待ち時間を過ごし、やっと順番が来た。


ピロンッ。


 裕之 「また何か来たよ?」

 

メールにビクッと反応した隆盛だったが、内容を見て眉を歪めた


 裕之 「どうしたの?大丈夫?」

 隆盛 「なんでもない…行くか!」


暗い室内に入ろうと進むと、裕之の手を握った。

驚いて見上げると真横に隆盛が真剣な顔で立っていた。


 裕之 「りゅう?」

 隆盛 「はぐれると困るしな…嫌だったか?」

 裕之 「ううん、そんな事ない…」


少し照れて紅くなると少し嬉しくて裕之も握り返した。

中は薄暗く、カートに乗って見て回る。

その間もずっと手を握っていて、周りをみる余裕などなかった。

出てからも、手を繋いだまま隆盛に手を引かれスプラッシュマウンテン

へと行く。

並ぶところは薄暗いのでそこまで気にしなくてもいいのだが、乗り物に

乗って最後に写真をを取られていたらしく、そこで客の全員に見えると

頃に張り出されていたのを見て、裕之は手を離した。


 裕之 「なっ!これってどこで写真取って!!」

 隆盛 「途中で光ってたな…。まぁいいニ枚買うか!」

 裕之 「へっ!えーーー!」

 隆盛 「いらないのか?記念にいいだろ?」

 裕之 「そうだけど…」


まさか、手を繋いだままで、隣に視線を向けているなんて思いもよらな

かった。裕之は自分の視線の先を意識しながら恥ずかしくて仕方なかっ

た。

その後ろで、自分達ではなく、わざわざ裕之と隆盛の載っている写真を買

っている3人組がいる事は未だに知られていない。


 裕之 「あー。楽しんかったね、お腹すいちゃった。どっかで休憩しよう」

 隆盛 「そこのベンチでいいか?」

 裕之 「うん。これ!僕が作ったんだ〜。」


お弁当を広げると水筒からお茶を差し出す。

見た目も味もいつもやっているので悪くはない。


 隆盛 「ひろは器用だもんな〜…うん、美味い」

 裕之 「えへへ。よかった〜」


ほのぼのと食事をする二人を眺めながら、歪なおにぎりをがっつく3人。


 晴翔 「これ、なにが入ってるんですか?」

 春花 「あっと、シャケと高菜と梅干し全部入れてみた。」

 美桜 「そこは一種類にすべきよ」

 春花 「いいじゃん。美味しいのはどれも一緒に入ってて欲しいじゃん」

 美桜 「あんたね〜」

 晴翔 「ひろの弁当美味しそうだな〜」

 春花 「裕之のは、美味いからね〜」

 美桜 「さーて、今度はキスする様に指示出すわよ」

 春花 「いいね、いいね!」


わくわくしながら指示を出しながら悶絶する姿は周りから見たら不審者

でしかなかった。


 裕之 「今日はありがとう。」

 隆盛 「いや、また一緒に来ような!」

 

ピロンッ。


 隆盛 「…」

 裕之 「あれ?またメール?今日は多いね」

 隆盛 「クソが!ちょっと待ってろ!」


チケットを譲ってもらった手前、流石に文句言わずにいたが、さっきから

来る指示はどれも近くにいなければ出せないものだったので、トイレを行

くふりをして周りを探すとすぐに見つかった。


 隆盛 「おい、さっきからこれはどういう事だ?」


3人を見下ろすように立ち塞がる隆盛に一瞬、青くなった。


 春花 「あ、これは…」

 晴翔 「えっと、たまたま偶然だな〜」

 隆盛 「偶然いたのか?毎回俺達を付けるようにか?」

 美桜 「なによ!いいじゃない!なにが悪いの!」

 隆盛 「ふざけんな!もうついてくるな!」


怒ったように怒鳴ると、隆盛は戻っていった。


 晴翔 「はぁ〜。やりすぎですって」

 春花 「うん、そっと見ておくはずだったのよ〜」

 美桜 「なにが悪いのよ!いつまでもチキンな隆盛が悪いのよ!」


ため息を吐くと、二人をそっと後にした。


 春花 「せっかくだし、私達も遊んじゃおう!」

 美桜 「そうね、バレちゃったし。これ以上はマジでヤバいかもね」

 晴翔 「今でも、十分ヤバいですけどね。あー。学校でなんて言われるか」


それからはなんの指示メールも来なかったので裕之と隆盛は園内を楽しんだ。

パレード中は誰もがパレードに集中するし人が多いからという理由で手を繋い

だままだった。


閉園間近になって早々に出ると、駅に向かった。

電車の中で耳の存在を思い出して鞄にしまった。


 裕之 「はぁ〜楽しかった〜。まさか耳付けっぱなしで気づかなかったね」

 隆盛 「違和感なかったしな〜、明日は学校だなー。ずっと今日が終わら

     なかったらいいのにな!」

 裕之 「なにそれ?」


駅を降りて裕之の家の方へと歩き出すと後ろから声をかけられた。


 草壁 「あれ?隆盛くんじゃない?」

 隆盛 「えっと、草壁さん?」

 草壁 「あ!覚えててくれたんだ〜。関心じゃん。元カノの名前忘れちゃ

     ったのかと思ったよ!」


呼ばれた瞬間、隆盛は繋いでいた手を離した。

外で、しかも知り合いに見られる訳にはいかない。なぜなら裕之を他人

の目に晒したくなかったからだ。

きっと、変な噂になれば傷つくのは裕之だからだ。


 隆盛 「そんなに長い付き合いじゃねーけどな?」

 草壁 「まぁ〜ね。そっちは友達?」

 隆盛 「あぁ、俺の親友だよ。そろそろ帰るから。」

 草壁 「まだいいじゃん、ちょっとそこで話さない?」

 

二人の会話を聞いて裕之は自分の中にあるモヤモヤしたものがなんなのかを

考えていた。





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