風邪の時には
テストも終わり一息ついた頃、裕之が風邪を引いて学校を休む事になった。
母 「今日も熱あるから薬のんで寝てなさいね。」
裕之 「はーい。」
春花 「裕之、熱あるの?」
母 「まぁ、薬飲んで寝てれば治るでしょ。春花ちょっとは気を使って
あげなさいね」
春花 「はいはい!任せなさいって!」
(風邪といえば…これは恋愛必須のイベントじゃない!隆盛くん呼んで
進展の予感だわ〜。って隆盛くんの電話番号知らないんだったわ。)
学校へ行くと美桜に裕之が寝込んでいる事を隆盛に知らせて、看病に来さ
せるように頼んでおいた。
帰りに家の前でうろうろしている隆盛を見つけるとすぐに声をかけた。
春花 「隆盛くん!どうしたの?裕之に会いに来たの?」
隆盛 「学校のプリントを届けに…いや、ひろに会いに」
春花 「そう、上がって。二階の部屋だから、勝手に上がっていいわよ。
あっ!ついでにこれ汗かいてると思うから着替えと体拭いてあ
げてくれる?」
隆盛 「えっ…あっ!はい。」
春花の作戦は脱がせて着替える口実を作れば、熱でうなされてる裕之に
欲情して手を出すのではないかというものだった。
ダメ押しは身体を拭かせる事により裸を意識させる事。
すぐに隣の部屋へと入ると、様子をうかがうことにした。
ドアをノックし入ると裕之が眠っていてほのかに顔が赤い。
隆盛は着替えとタオルを渡されたがどうしようかとあたふたしていると
裕之が目を覚ました。
裕之 「りゅう?どうしたの?」
隆盛 「あっ…えーっと、これ。学校のプリントと差し入れ。あとは
さっきおねーさんから着替え渡されたんだが起きれるか?」
裕之 「うん。平気…」
隆盛 「手伝おうか?タオルで身体拭くか?」
裕之 「うん…ちょっとえらいかも…」
ふらふらしている裕之を支えるようにしてパジャマを脱がせると白い肌
があらわになった。
裕之 「拭かなくても平気だよ…」
隆盛 「汗かいてるだろ?任せろって」
丁寧に身体を拭くとパジャマを着替えさせた。
隆盛 「少しは熱下がったか?」
(こんなに細かったっけ?筋肉ついてない分柔らかい…って何考えて
んだ?俺!おねーさんから信頼されてここに通されたのに…しっか
りせねば!)
額を触れればまだ熱いような気がする。
隆盛 「何か食べれるか?プリン買ってきたんだけど…」
裕之 「うん…食べるっ!」
隆盛 「ほら、口開けて〜」
裕之 「あーんっ…パクっ。」
まさに小動物に餌付けするような感覚だった。
可愛くてつい、何度も手ずから食べさせてしまっていた。
もちろん裕之はあまり深く考えていないが、隆盛からしたらドキドキ
の連続だった。
口の横についたのをそっと指で掬い取ると唇の柔らかさが伝わってきた。
隆盛 「これで最後なっ!」
(俺の理性!頑張れ理性!)
裕之 「パクっ…ありがとうっ」
微笑まれると抱きしめたい衝動に駆られる。
洗濯物とタオルを握りしめると裕之に布団をかけた。
隆盛 「早く治せよ。学校で待ってるからな!またくるよ」
裕之 「うん。」
部屋を出るとさっきまで裕之が来ていたものを抱きしめると、そっと
匂いを嗅いでみる。
すると隣の部屋から出てきた春花と鉢合わせる事になった。
隆盛 「あっ!…いや、これは…その…」
春花 「裕之の汗臭いでしょ?持ってくわ。ありがとね。また来て
やって」
(匂い嗅いじゃって〜。マジ萌えだわ。早く手を出しなさいよ、
手を!!青春さいこーーーーー!)
平然を装って何も見ていないという風に振る舞い彼を送り出した。
いつも冷静そうに見える隆盛が見られた事であたふたとしている姿は
少し面白かったが、そこは冷静に取り繕った。
もちろん、美桜にはあった事を逐一共有するのは忘れなかった。
隆盛は家に帰ると自室に籠っていた。
あまりの恥ずかしさに赤面していて家族の前に出るのも恥ずかしかっ
たからだ。
隆盛 「俺、何やってるんだろう…。絶対見られたじゃん。」
ベッドに潜り込むとジタバタと恥ずかしさを紛らわせていた。
(肌白かったなぁ〜。少し潤んだ瞳も…いや、俺マジでやべー
奴じゃん!ひろの前だとなんでこんなにドキドキすんだろ…
かっこつかねーじゃん)
美桜もそんな弟の変化を見ながら楽しんでいた。
春花から今日の事を聞いてただけに、自分の弟の変態ぶりをどう責めて
やろうかと思っていたのだが、案外身悶えてる姿を見るとこれはこれで
楽しいので、そのままにする事にした。
美桜 「面白いじゃない…なんとか進展させなきゃね」
この前のスマホの写真を現像すると弟の部屋を開け放つ。
美桜 「隆盛!いいもの見せてあげるわ!」
隆盛 「!!…勝手に入ってくるなよ!」
美桜 「そんな事言っていいのかな?これよ!!」
見せたのはこの間取った裕之と隆盛の色々ポーズをとった時に写真
だった。
隆盛 「ま…待って!それよこせって!」
美桜 「いやっ!欲しいなら条件があるわ!」
写真をひらひらさせながら美桜の広角が上がる。
ニヤリッと不敵な笑みを浮かべると、腰に手を当ててもう片方を
隆盛に指すと言い放つ!
美桜 「一日、ディズニーで裕之くん誘ってデートしなさい!」
隆盛 「はぁぁぁっぁーーー!それはしたいけど…人前はまだ…」
美桜 「こっちの指示にもちゃんと従うって条件でチケットをあげるわ」
そういうと写真とは別に入園チケットを2枚取り出した。
ゴクリと喉がなる。
隆盛 「裕之が元気にならないと…」
美桜 「煮え切らない男ね!それでも私の弟なの?はっきりしなさいよ!
男でしょ?好きなら誘う!そこでキスくらいはしなさいよ!」
隆盛 「そんなっ…まだ抱きしめた事も…ごにょごにょ…」
美桜 「情けない…、てっとり早く観覧車なら見られないしいいでしょ?
お化け屋敷とか暗いアトラクションなら全然平気でしょ?しっかり
しなさいよ!」