一緒に暮らそう。
二人の距離は今まで通り近かったり、離れたりと晴翔を真ん中に
友達として仲がいいという距離を保っていた。
裕之の笑顔を守るのは腐女子、腐男子の宿命とばかりに周りでは
とにかく、見守る女子達が増えているのも事実だった。
三年になる頃には高橋隆盛に告白してくる女子も減って、結城裕之
との密やかなツーショット写真が出回るようになった。
いまだに結城裕之の存在は男子の間では囁かれていたが、女子達は
別の興味へと走っていた。
それは、二人がどこまでいっているのか?であった。
クラスの半数は腐女子として覚醒し、暖かく見守って、時には助言
の為、自ら彼らの為にと行動するものも現れた。
ファンクラブならぬ、腐女子の集いでは声を潜め姿を隠し、陰で幸せ
を見守る事を、自分たちの幸せとしている人達もいた。
そう言う人たちのバイブル的本が、オヤジが描く同人誌だった。
女子達の間を循環し巡っていく。
最近では、隆盛と裕之に似せて書いているものが好評で、学校中に広
まりつつあった。
裕之 「りゅう〜もうすぐ卒業だね〜僕も大学受かったし、近くの
大学だから、これからもよろしくね」
隆盛 「あぁ、俺は推薦取れたし。部屋なんだが…」
裕之 「うん、一緒に探そう。帰って来ればいつでも会えるし…いい
よね?」
隆盛 「本当にいいのか?…俺は嬉しいけど…」
裕之 「もちろん。あ!でも、毎日はだめ!体がもたないからっ。」
隆盛 「あぁ、分かってる…なんか…ひろと一緒になれるって…幸せ
だなって…」
裕之 「大袈裟だって〜」
隆盛 「うん、でも。受け入れてもらえただけでも、すっげ嬉しかっ
たんだぜ?最初は二度と口も聞いてもらえないかもって思っ
て告白したんだからなっ!それが、こんなことになるなんて
なぁ〜。」
裕之 「もうっ!」
隆盛 「結婚しよう!すぐにでもシたい。」
裕之 「えっ…ちょっと!待ってったら〜」
誰もいない教室で周りを見回すと、裕之へ近づくと唇を重ねた。
どこからか息を呑む音がするが、本人達は知らない。
深く絡み合うように舌を絡ませる。
鼻から抜ける甘い息にどこからともなく、心音が高鳴る。
キスだけすると、二人は教室から出て行った。
それからロッカーや、教壇の裏から出てきた人影はガッツポーズを取り、
今の出来事をみんなに知らせる。
いつしか、公認のカップルとして知らない人はいなくなっていた。
知らないのは本人だけ。
陰で二人の事を眺め、そして導いている筆頭は晴翔だったとか…。
卒業し、高校を出て行く時も多くの視線に見守られながら桜の花びらが彼らの
門出を祝うように降り注いでいた。
晴翔はこれからも近くで二人の幸せを願うように駆け寄っていく。
晴翔 「二人だけで帰る気か?せっかくだし寄り道してこうぜ!」
続編に続く…