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その恋、応援します!!  作者: 秋元智也
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どうしてそんな男が?

軽い触れるだけのものだったが、今の裕之には精一杯だった。

そんな可愛い裕之を見ていると心が温かくなっていく。

離れようとする裕之を捕まえると頬に触れ、首筋に腕を回すと引き

寄せて深いキスをした。

何度も角度を変えて味わうように繰り返し重ねた。


 春花 「おやつ持ってきたわよ」


そう言って入ってきた春花の眼前では熱いキスが繰り広げられていた。


 裕之 「ね、ねーちゃん!!」

 隆盛 「なんか喜んでません?」

 春花 「えーなに〜?いいよ、続けて〜。いいわね〜やめなくていい

     のに〜あ、そうだこっちの机に置いておくわね。ぶつけたら

     危ないもんね!邪魔者は退散するわね。どぞどぞ、続きよろ

     しく。」


そう言ってまくし立てると部屋から出て行ってしまった。

見られた恥ずかしさもあるが、なんだか気まずくて少し距離を取って

座った。

 

 裕之 「せっかくだし、あったかいうちに食べよっか?」

 隆盛 「そうだな…」


こうして二人の時間がゆっくりと流れて行った。

月曜に学校へ行くと、朝練に一瀬大輝の姿もあった。


 一瀬 「高橋先輩〜、怒った姿初めて見ましたよ〜。どうでした?

     友達の修羅を覗いた感想は?結構可愛い顔してましたもん

     ね!」


隆盛は一瀬を睨みつけると、殴り飛ばさんばかりに気迫で迫った。

小声で話していたので、周りはなにが起きたのかとヒヤヒヤしていた。


 隆盛 「今度あいつに何かしたら、ただじゃ済まさないからな!」

 一瀬 「マジで言ってます?」

 隆盛 「あぁ、マジだ!ここが使い物になりたくなければ自重する

     んだな」

 一瀬 「い゛っ…!?」


みんなには見えないように股間を鷲掴みにすると力を込めた。

流石に冷や汗が流れて、恐怖に歪んでいた。

軽口を聞けないくらいにはしておこうと牽制だった。


それからは、隆盛にも裕之にも接触することはなかった。

一瀬に取っては、裕之という人物は取るに足らないモブでしか

なかった。

勉強もできる訳でもなく、スポーツも人並み以下。

ただ、スポーツ万能な隆盛が近くにいるだけの人間だった。

少し言えば顔が男っぽくなく、可愛いと表現できるくらいで、一部の

男子から、性の対象となっている事くらいだった。

しかし、どういうわけか隣にいつもいる白川先輩と高橋先輩に阻まれて、

告白さえさせてももらえないのが現状だった。

そして夏の試合前にタバコを吸いにトイレ裏の茂みで一服していると、

中で聴き慣れた声が聞こえてきていた。


 隆盛 「ひろ…ほらっ隠さないで…」

 裕之 「恥ずかしいって…」

 隆盛 「なんでもできるよね?脱いで?それとも脱がされたい?」

 裕之 「…待ってって…あっ…いたぃっ…りゅ…!」


外に漏れている声に一瞬ドキッとした。

中でなにをしているのかと!

しかも大事な試合前に!?

相手はなんの取り柄もない男…そして初めて高橋隆盛という人物に

再び興味が湧いた瞬間だった。

女性の噂が全くないのにも頷ける。

恋愛対象が元々同性であったからだ。しかも、自分が結城先輩にし

た事にあそこまで怒る理由を理解できた気がした。

自分のモノに触れる人間を容赦しないという高橋隆盛の牽制だった

のだ。


試合には勝ったものの、その日以降結城裕之という人物を観察する様

になった。

たまに首筋に貼られている絆創膏は多分キスマークだろう。

誰にでも優しくて、周りから好かれるタイプだった。


 女子 「一瀬くーん!一緒に帰ろう〜今日ね親は遅くまで帰ってこ

     ないんだけどどう?」

 一瀬 「悪い、今日も忙しくて!またな!」


観察は続けられた。

同級生にプールの時間はどうしているか気になって聞きに行った。


 一瀬 「先輩のクラスの結城先輩ってプールの着替えってどうしてる

     んですか?やっぱり教室ですか?」

 男子 「あれ?いつも見学じゃなかったっけ?」

 男子2 「あぁ、いつも見学で入った事ないかもな〜、しかもジャージ

     に着替える時もどっかいっちまうし。実は女だったりって言

     われてるんだよな〜」

 男子 「ちげーねー。でも、結城に声かけようとすると高橋がこえー

     からさ〜」

 男子2 「わかる〜。いっそ付き合ってんじゃねーのって感じだよな〜」

 一瀬 「へ〜そうなんですね〜。ありがとうございます。」

 男子 「あー。君、後輩だよね?結城には惚れない方がいいぞ〜、高橋

     が黙ってねーし」

 一瀬 「はい、大丈夫です。ちょっと知りたかっただけなので…」


後輩として観察していくと、高橋先輩と一緒にいる時の結城裕之の表情は

色っぽく見えてくる。

普段より頬を染めて見上げられると、ドキッとする時がある。


 一瀬 「なるほどね〜、高橋先輩が骨抜きになるわけかぁ〜。ちょっか

     い出したら、マジでヤバいかな〜」


知らなければ知らない方がいい世界だったかもしれないが、知ってしまえば

興味がでてしてしまう。

女ばかり抱いていた一瀬には無縁の世界に火傷覚悟でのぞいてみたくなるの

も好奇心というものだろう。


一人になるタイミング、それは放課後のトイレのタイミングだった。

監視し、2年のトイレに入っていくのをつけるとそのあとを追った。


 一瀬 「いつも奥でするんですか?」

 裕之 「えっ!…なんで君がここに?」

 一瀬 「ちょっと話があってね。いいかな?」

 裕之 「悪いけど、僕は…」


一気に距離を詰めると裕之が入ろうとしていた奥の個室に一緒に入り

込むと後ろ手に鍵を閉めた。


 裕之 「ちょっと!なにをするの!!」

 一瀬 「助けでも呼ぶ?男なのに?ナニされるっていうの?」

 裕之 「…なんのつもり?」


一瀬はぐいっと裕之に迫ると裕之の手を掴み、壁に押し当てて固定した。

やはり力もたいしたことはなくて簡単に拘束できた。


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