卒業しても
姉の受験が始まり、春花も美桜も同じ大学へ進む事になった。
裕之 「ねーちゃん、合格おめでとう。」
春花 「ありがとう。やっと本腰入れて描けるわ〜」
裕之 「一体今度はなにを描くのさっ」
春花 「なに?興味があるの?ちょーっと恥ずかしけど見たいなら
いいなさい。すぐに見せてあげる。それと、コレクション
とオススメもね。」
裕之 「いや…遠慮しとくよ。」
春花 「そう?色々知りたい事もあるんじゃない?そうだ、これ!
あげるから見ておくといいわよ!」
裕之 「なに?コレ…/////」
春花 「多分、裕之が知りたいだろうって思う事。かな?」
裕之 「な、な、なんでこんなもの持てるの!!」
渡されたのは黒いビニールに包まれたもの。
中を開くとそこには新品のオナホールと大きめの注射器?みたいなもの
そして、使い方を春花自身の絵で詳しく説明されたものだった。
確かに、聞きたかったけど聞く事に恥じらいを持ってしまい、誰にも相談
できなかった事を見透かしたように的確に描かれていた。
絵で描かれている為か、いやらしく艶かしく描かれていた。
しかも裕之にそっくりなキャラと隆盛に似たキャラで表現されている為か、
どうしてもまじまじと見ていると恥ずかしくなって来る。
裕之 「ねーちゃん…なんでこんな…/////」
ため息を吐くと、中を開いて読んでみた。
読み終わって大体理解はしたが、実行に移す勇気がなくて、しばらくしまって
おこうと引き出しの奥へと入れておいた。
何気ない会話と学校での授業。
裕之達はまだ一年なのでそう慌てる時期ではない。
先輩達は卒業前にと、勉強、部活、そして恋人作りに励んでいた。
隆盛への猛アタックがしばらく続き、放課後はいつも呼び出されていた。
晴翔 「ひろ〜大丈夫か?」
裕之 「へっ?なんで?」
晴翔 「だって、先輩に今日も呼び出されるりゅう見て寂しそうだった
からさっ。」
裕之 「う、うん、平気。なんか足掻いてるなって思ってさ〜」
晴翔 「へ〜。余裕出てきたね〜。りゅうと何かあった?」
裕之 「別に…あの人達ってさ、卒業したら終わりじゃん。」
晴翔は裕之をニヤニヤと見てきた。
裕之 「なんだよ?」
晴翔 「いや〜なんでもなーい。」
隆盛 「ひろーはるー!帰るぞ〜」
裕之 「うん!」
晴翔 「今日もモッテモテだね〜。」
隆盛 「いい加減さっさと諦めてほしいよ」
晴翔 「そうだね〜、りゅうにはひろがいるもんな〜。」
隆盛 「まーな!」
できる限り裕之を一人にしない。
特にこの時期は告白ラッシュと言われ、男でも構わず告白する奴もいる
のだ。
隆盛は殆どが女性からだが、裕之への手紙は男性からのが多かった。
裕之が見つける前に晴翔と隆盛が回収し、隆盛が代わりに会いに行って
断っている。
裕之に行かせるとその場で迫って来る奴も少なからずいるからである。
隆盛 「俺らももうすぐ2年かぁ〜。ひろは進路決めたのか?」
裕之 「うん、悩んでるけど、デザイン系に進もうと思ってる」
晴翔 「ひろって結構変わった感性してるしな〜」
裕之 「なにそれ〜。ひどくない?」
隆盛は笑いながら裕之の頭を撫でる。
デザイン学科がある大学は隆盛がスポーツ推薦を受ける大学のすぐ側
にあるのが第一志望だと聞いて、晴翔と隆盛から勉強を教わる事にな
った。
裕之は平均くらいの成績で受けたい大学には少し足りなかった。
今のままでは受からないとあって、隆盛が部活で遅い時などは晴翔が
図書館でつきっきりで教えていた。
裕之 「はるー自分の方はいいの?」
晴翔 「俺結構頭いいのよ?ひろと違って?」
裕之 「うーー。なんかせこい!りゅうも成績上位だし〜」
晴翔 「まぁまぁ、これからひろも頑張れば行けるって!」
先輩達の卒業式が終わり姉も無事大学生となった。
裕之達も高校2年になり後輩もできた。
隆盛のサッカー部にも期待の新人が入ってきて今年こそは全国大会への
期待が高まっていた。
新人がなかなかにイケメンで運動神経も良く、隆盛と人気を二分するほ
どの騒がれようだった。
名前を一瀬大輝といい、いつも女子を周りに連れて歩いていた。
一瀬 「高橋先輩!お疲れ様です!このあと合コン行きません?」
隆盛 「練習後は勉強があるから暇じゃない。」
一瀬 「えーー。楽しいっすよ。お持ち帰りもアリなんで〜」
隆盛 「一瀬!悪いが興味ない」
一瀬 「なになに?恋人いるとか?」
隆盛 「…関係ないだろ?」
一瀬 「やっぱり、高橋先輩はかっこいいっすね。そっかぁ〜。
もういるんすね。どんな子っすか?可愛いとか?それとも
エロいとか?」
隆盛 「…」
無言になった隆盛は照れたように顔を赤くした。
いつもあまり顔色を変えないだけに一瀬には予想外だった。
一瀬 「なにそれ?反則でしょ!写真見せて下さいよ!」
隆盛 「断る!さっさと着替えて帰れよ!」
それだけ言うと、さっさと帰ってしまった。
残された一瀬は気になって仕方がなく、いつもの取り巻きの女子達に
聞き回ったが、誰も知らなかった。
一瀬 「これは…学生じゃないのかな?まさか…先生とか?禁断の愛
…ははっ…そりゃないか!」
独り言を漏らすとしばらく様子を見る事にした。
隆盛の仲がいいと言えば、一緒に行動をすることも多い白川先輩と結城
先輩だった。
一瀬 「そっちに聞いてみっかな?」
早速2年の教室から出てきた結城先輩を見つけると近づいた。
一瀬 「こんにちわ〜。高橋先輩の後輩なんですけど、ちょっといい
っすか?」
裕之 「あぁ、りゅうの?サッカー部で有名だよね?一瀬くんだっけ?」
一瀬 「わー。覚えててくれるなんて嬉しいです。あのーちょっと聞き
たい事があってですね〜放課後いいですか?」
裕之 「うーん、勉強があるんだけど…少しならいいよ。でも、僕で分
かるかな?」
一瀬 「大丈夫です。仲良さそうだし。では、放課後に体育館裏の倉庫
に来てもらえます?」
裕之 「図書館じゃだめな話なの?」
一瀬 「あー。聞かれたくないんで。」
裕之 「うん、わかった、いいよ。」
そう言うと約束だけ取り付けたのだった。