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その恋、応援します!!  作者: 秋元智也
31/41

文化祭

学校では文化祭の準備で大忙しだった。


 晴翔 「う〜。疲れた〜。」

 裕之 「僕らのクラスってメイド喫茶でしょ。僕らやる事ないよね?」

 隆盛 「何を言ってるんだ?店員だろ?」

 裕之 「ん?誰が?」

 晴翔 「見てないな?裕之はメイド服で接客だよ。隆盛は作る方。そし

     て、俺もね。」

 裕之 「…冗談?」

 晴翔 「まっさか〜」


女子からも可愛いと人気で裕之はいつの間にかホールでの接客(女装)と

書かれていたのだった。


 裕之 「嫌だよ!こんなの!聞いてないし!」

 晴翔 「そうだよな〜。俺らが機材運びに行ってる間に決まってたしな〜。

     りゅうは知ってた?」

 隆盛 「俺の力では覆らなかった…。級長が乗り気だから無理だろ?」

 晴翔 「女子ってこえ〜」

 隆盛 「男子の方な!」

 裕之 「余計おかしいでしょ!なんで!!」


すると噂の級長がこちらに走って来た。


 級長 「結城くん、早速衣装合わせして来てくれ!女子が待ってるから」

 裕之 「なんで僕だけ女装なんですか!?酷くないですか!」

 級長 「多数決だ、諦めろ!さぁ、時間が惜しいから行ってくれ」


女子が待つ部屋へと連れて行かれた。

そこには短いスカートとひらひらのエプロンが飾られていた。


 裕之 「まさか、これ着るの!」

 女子 「もちろん、きっと似合うわ。」

 裕之 「僕、男なんだけど…」

 女子 「いいから、いいから、さっさと来てみて!」


押し切られるように着ると何故かぴったりのサイズだった。

丈の短いスカートを押さえながら出ていくと、女子達が喜んで騒ぎ出して

いた。


 裕之 「似合わないから、やめよ〜」

 女子 「すっごく似合ってるから!もう、可愛い!」

 裕之 「嬉しくねーし。」

 女子 「それで接客お願いね。自由時間はその衣装のまま校内を宣伝し

     て来てね。」

 裕之 「はぁ〜!?聞いてないよ!」

 晴翔 「おっ!可愛いじゃん?」


そこに晴翔と隆盛が入ってきた。

晴翔は短い裕之のスカートをチラッと見るとまくりあげようとする。

隆盛は慌てて、裕之を引き離すと自分の後ろに隠す。


 隆盛 「はる!何をやってるんだ!」

 晴翔 「いやー。下着ってどうしてるのかなって…?」

 裕之 「変な事、期待すんな!」

 隆盛 「は、履いてるのか?女子もの…」

 裕之 「そんな訳ないでしょ!りゅう…」


「当日よろしくね」という言葉を残して女子達は出て行ってしまった。

隆盛は振り向くとジリジリと裕之に詰め寄ってきた。


 裕之 「何をしようとしてるんだよ?」

 隆盛 「うん、ちょっと確認を…」

 裕之 「しなくていいからっ!」

 晴翔 「ほいっ!捕まえた!いけ、りゅう!」


後ろから晴翔にはがいじめされると、隆盛がゆっくりとスカートをめ

くる。

一気にめくられるのと違って、ゆっくりと焦らされる方がよっぽど恥

ずかしかった。


 隆盛 「やっぱり、そうだよな…」

 裕之 「残念がるなよ!普通そうだろ?」

 晴翔 「いや、期待はしちゃうもんだよね〜男としては…」


などと冗談混じりの会話をして、衣装を脱ぎ制服に着替えた。


 晴翔 「10日後かぁ〜。早いもんだよな〜」

 隆盛 「そうか?結構試行錯誤してて、何作るかって結構試作

     してただろ?」

 裕之 「試作中食べれたのはよかったよねー」

 晴翔 「まぁ、簡単なクッキーとホットケーキとサンドイッチ

     になったのは助かるけどな…、前日に仕込めばいいし」

 隆盛 「飾りつけ用の花はできたんだっけ?」

 裕之 「うん、もう全部できてるよ」

 晴翔 「そういうの器用だよな〜。ってほんとはひろのが料理

     上手いんだけどな?」

 裕之 「まぁ、家でやってるからね。」

 晴翔 「まっ!見た目的には接客やらせたいだろうなっ!」

 裕之 「なんでだよ!意味わかんない!」

 隆盛 「ねーちゃんからカツラ借りてくるからさ!」


あっという間に文化祭当日になり、黒髪ロングのメイドがいるメイド

喫茶の噂が広まり、次から次へと人が押し寄せていた。


 裕之 「なんでこんなに忙しいんだよ!」

 晴翔 「まぁまぁ、もうすぐ休憩だからさっ!」

 裕之 「この格好で休憩なんて嫌すぎる〜」

 晴翔 「可愛いけどな〜」


ボソッ


次から次へと客対応に呼ばれ、裕之はげっそりとしていた。


 女子 「ひろこちゃーん!3番テーブルね!」

 裕之 「はーい。」


3番テーブルへ食べ物と飲み物を運んでいく。


 裕之 「サンドイッチとパンケーキ、コカコーラ2つですね。おま

     たせしました〜。」

 男子 「ねー連絡先教えてよ!」

 裕之 「注文は以上ですね?」

 男子 「いや、クッキーも追加で」

 裕之 「はーい、クッキー追加で、かしこまりました」

    (なんで先に言わねーんだよ!最悪〜)


にこやかに笑いながら奥へと注文を通す。


 女子 「なんか結城くんの女装って意外と正解だったかもね」

 裕之 「3番クッキー追加で」

 女子 「あら、又追加なのね」

 裕之 「もう、休憩入っていいか?」

 女子 「ダメーー。まだお客さん減るまで待って!食べ物買って

     くるから」

 裕之 「そうじゃなくて〜。トイレ行きてーし…」

 女子 「そうよね、わかったわ、すぐに帰って来てね」

 隆盛 「それなら俺も休憩だったよな?出てくる」

 女子 「高橋くん!うん、分かったわ。くれぐれも結城くんも

     連れて帰って来てね」


女子に念を押されたが、すぐに帰るつもりなどなかった。

トイレはスカートを履いている為、奥の個室を使った。

屋上へと行くと運動場の出店が全て見渡せた。


 隆盛 「待ってろ。買ってくるから」

 裕之 「え?一緒に行くよ」

 隆盛 「いや、ひろのその姿をみんなに見せたくないな!だから

     ここで待ててくれよ」

 裕之 「さんきゅ」


裕之の身体をぎゅっと抱きしめると階段を降りて行った。



 

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