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その恋、応援します!!  作者: 秋元智也
26/41

夏はハジケテ

久々の銭湯を堪能して晴翔の家に戻るとすぐに布団の中に入った。

 

 晴翔 「じゃ、俺は先に寝るな!おやすみ〜」


そういって障子を閉める。

もちろんここからがお楽しみだった。

寝たふりをしながら少しの音も逃さないように聞き耳を立てた。


 裕之 「今日はお疲れ様。」

 隆盛 「あぁ、なんか嘘みたいだ…これもひろのおかげかな?」

 裕之 「僕はなにもしてないよ」

 隆盛 「してくれただろ?こうやってさっ!」

 裕之 「りゅっ…んっ…はぁっ…待って…はるがっ…」

 隆盛 「大丈夫だって、もう寝てる」


微かなリップ音と荒い息が混ざる。

布団の擦れる音がリアルに耳につく。


 裕之 「もうっ、くすぐったいって…」

 隆盛 「いやか?」

 裕之 「嫌じゃないけど…」


ふわりと笑うと裕之に覆い被さるようにキスを落とす。

角度を変えては何度も繰り返す。

隆盛の手が裕之の肌を伝って下半身へと入ろうとすると、いき

なり胸を押されて止められた。


 裕之 「それ以上は…ごめん。」

 隆盛 「うん、今はここまででいいよ。でも、もっとこっちは

     させて!」

 裕之 「うん…」


そう言うと隆盛は上半身を脱がせるとただ触れるだけで我慢した。

そのかわりと言わんばかりに長く深くキスを堪能した。

いつのまに寝たのか、朝になるとはだけた胸を抱きしめるように

して隆盛が眠っていた。

その光景をいち早く見つけた晴翔によって、春花と美桜の元にも

おっそわけとばかりに写メが飛んでいったのだった。


もちろんこの後発狂する声が家々で叫ばれていた事など本人達は

知りようはずもなかった。


旅行も決まり隆盛もやっと落ち着いたので海の家へ向けて電車に

乗り込んでいた。


 隆盛 「でだ!なんで姉貴もいるんだよ!」

 裕之 「はる?3人じゃなかったの?」

 晴翔 「あー。それはだな…」


先日の夜の事と、朝の写メを見た春花と美桜がどうしても自分

たちも行くと言い出して急遽5人になったのだ。


 美桜 「いいじゃない、保護者代わりよ!夏の海といえば

     ハメを外すでしょ?だからハズさせる為に保護者

     同伴と思えば」

 隆盛 「おい、なんか目的が違ってねーか?」

 春花 「裕之。私があげたのちゃんと持ってきてる?いつ

     でも持ってるのが男としてのマナーよ!」

 裕之 「ねーちゃん!なに言ってるの!!」

 隆盛 「そっちもか!なにを期待してんだよ!」

 春花 「ナニに決まってるじゃん」

 美桜 「ナニ以外になにを期待すればいいのよ!」

 

姉二人の主張はいつも一緒だった。

もちろん静かに座っている晴翔もだった。

現地に着くと、まずは宿泊場所に荷物を置き、水着に着替える

と上着を羽織り、海の家へと手伝いに入る。


そこは晴翔の叔父さんがやっている場所で、少しの小遣い稼ぎも

兼ねていた。


 晴翔 「叔父さーん、きたよ〜!」

 叔父 「悪いな!おっと、イケメン連れてきたじゃねーか!これ

     は忙しくなるな〜。お嬢さん達も手伝ってくれるのかい?」

 春花 「はい、裕之の姉で春花です。」

 美桜 「隆盛の姉の美桜です〜。叔父さまって日に焼けててかっこ

     いいですね」

 叔父 「嬉しい事いてくれるね!じゃ、あとは任せていいか?」

 晴翔 「おっけ!」

 裕之 「僕は何をすればいい?」

 晴翔 「裕之とおねーさん方は接客!俺とりゅうは厨房な!」

 隆盛 「分かった。」

 裕之 「りょーかい」

 春花 「任せて!」

 美桜 「余裕よ!」

 晴翔 「材料なくなったら終わりだから、そしたら海に入るぞー!」


料理は器用な晴翔がこなして隆盛は盛り付けだけ。

客引きにと裕之を接客に回したが、正解だったらしい。

女性客もだが、おねーさん達より男性客からの声もよくかかっていた。

その度に厨房の奥から殺気が漏れてきていた。


 叔父 「どうだ?売れ行きは?」

 晴翔 「結構品切れでてる。かき氷だけまだできるけど、そろそろ氷が

     切れるかな〜」

 叔父 「毎年来て欲しいくらいだな!もう、上がっていいぞ。それとコレ」

 晴翔 「ありがとう!」

 叔父 「今日は夜からあそこの神社でお祭りがあるから行ってみるといい」

 裕之 「えっ!お祭り!?」

 隆盛 「いいじゃん、行こうぜ!」

 春花 「いいわね」

 美桜 「これは行くっきゃないわね。それと、すぐそこで浴衣レンタルでき

     るってあったわよ」


水着姿になると海へ繰り出した。

腐女子はというと、パラソルを立てて見学がてら周りを堪能していた。


 春花 「海はいいわね〜」

 美桜 「ちょっと、あそこ見て!男同士での恋人繋ぎよ!」

 春花 「マッチョと細身の小柄いいわね!右ネコね!」

 美桜 「それ!絶対それよ!」


他愛もない会話だが、近くで聞くと違和感しかわかない単語の羅列だった。


 美桜 「そういえば最近裕之くん色気出てきたんじゃない?」

 春花 「あー。わかる!なんかたまにドキッとする時あるもん。やっぱり

     男の子なんだね〜。彼氏できると違うわね〜」

 裕之 「なんの話?」

 隆盛 「どうせ、悪口だろ?」

 春花 「あら、早いわね?」

 裕之 「ほらお祭り行くから、そろそろ戻って着替えなきゃって」

 晴翔 「ここなら堂々としてても、知り合いに合わないからいつでも逢引き

     できるぞ」

 美桜 「そうね、いつでも二人で抜け出していいわよ」

 春花 「外でヤルのはオススメしないけど、ゴザでも持ってく?」

 裕之 「…!!」

 隆盛 「お前ら、何を期待してんだよ!」


隆盛の怒鳴り声が響き渡っていた。

これも、二人の幸せを願っての事ではあるが、こうまで露骨に言われる

と恥ずかしかった。

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