仕返しは徹底的に
すぐに手を引っ込めると隆盛はいきなり土下座した。
隆盛 「ごめん。俺のせいでこんな事になって…俺には
ひろだけいてくれればいいから。なのに、守れ
なかった…。」
晴翔 「俺も、あの女が何やるか分からなかったから学校
帰りは一人にしないようにしてたんだが、まさか
今日仕掛けてくるとは思わなくて…。」
裕之 「二人のせいじゃないよ、なんか気が滅入ってて」
裕之が自分の身体を抱きしめるように下を向くと隆盛は裕之
に手を差し出して片膝を立てる。
隆盛 「もう、絶対に手出しさせないから、俺の側にいて
欲しい」
裕之 「…!ははっ、なんかプロポーズみたい…w」
隆盛 「あぁ、一生ひろの側にいたいんだ。」
晴翔 「ひろ次第って訳だよ!」
裕之 「僕は…僕はさ、りゅうが他の女子と仲良くしてるの
見るとすっごくモヤモヤしてたんだ、自分だけをみ
てほしいって…これって独占欲だよね?なんかこん
な自分知りたくなかった…」
隆盛 「ヤキモチか…俺はすっごく嬉しい」
裕之 「あさましいなって…でも、それ以上に知らない人に
触れられるとすっごく気持ち悪かった。今でも怖く
て…さっきのファーストキスだったのに…」
隆盛 「!!」
晴翔 「!!」
隆盛 「キスは俺で塗り替えてもいいか?」
裕之 「りゅう…せい…」
隆盛 「俺は嫌だよ。俺との思い出だけで埋め尽くしたい、
いいか?」
裕之 「う…うん…」
晴翔は後ろを向き、裕之に気を使っていた。
隆盛がベッドの横に座ると優しく裕之の肩を支えるとゆっくり
と近づいていく。目を瞑った裕之を見下ろしながら近づくが、
あと少しという所まで来て、初めて震えてるのに気がついた。
さっきまでの事を考えれば恐怖だったのだろう。
それでも我慢して隆盛を受け入れようとする姿が健気でその先に
進めなかった。
おでこにキスを落とすと。頭を抱き寄せた。
隆盛 「無理しなくていい。落ち着くまで待ってるから」
裕之 「ご、ごめん。」
後ろからチラチラと眺めていた晴翔は舌打ちしそうになった。
(もうちょっとだったのに〜。押して倒してほしい〜。でも
今の裕之ではこれ以上は無理かな…)
そのあとは隆盛に裕之を任せた。
今は二人にするのがいいだろうと考えたからだ。
結城家に着くと、春花がすぐに出てきた。
裕之 「ねーちゃん…あのっ…」
春花 「早く上がりなさい。お母さんたち今なら会わずに済
むから。隆盛くんも一緒に上がるでしょ?美桜もい
るから。」
隆盛 「姉貴が?」
春花は頷くと、裕之の部屋に二人を入れると着替えを持ってい
った。
春花 「これ、着替えね。お風呂入れるから…裕之は…無理
しないで。」
裕之 「ねーちゃん…りゅうせい…ありがとう。」
首や服の隙間から見える包帯を見ては悔しくて仕方なかった。
裕之をぎゅっと抱きしめると何も聞くまいと部屋を出る。
春花 「今日はゆっくり寝なさいね。隆盛くんついててやっ
てくれる?布団は後で運んでおくから」
隆盛 「はい。姉貴はそっちに?」
春花 「うん、でも会うのは明日にした方がいいよ」
隆盛 「…はい」
隣の部屋ではコソコソと話が進められていた。
パソコンの前に座った美桜が聖女の生徒を調べていた。
春花 「どう?何かわかった?」
美桜 「愛子が聖女学園にいるわ。オタクを舐めんなよ!」
春花 「連絡つく?」
美桜 「まだまだ起きてる時間よ!それに愛子の父親は
警察庁の人間よ。申し分ないわ。」
LINEに文字を書き込むとすぐに返事が返ってきた。
美桜
愛子〜起きてる?
聖女学園に通ってたわよね?
今リアルBLの子がそっちの生徒に暴行されたの!
マジ許すまじって感じでね。それが親友の弟なのよ。
草壁真奈美って子知ってる?1年なんだけど。
愛子
起きてるよー。
なにそれ?まずは萌え写真くれ!
美桜
仕方ない、これでも見ろ!
(お姫様だっこの写真と押し倒した状態の写真
などを送った)
愛子
尊い!マジ萌えじゃん!
タチは美桜の弟じゃない?
分かった、リアルBL写真また送ってくれるなら
手を貸すわ。なんでも任せて!
美桜
おっけ。任せろ!
愛子
任せろ!有名な女だからなんとでもなるよ。
まずはなにされたか教えて!
美桜
拡散しないでね。
(痛々しい写真を転写した)
愛子
なるほど…。
腐女子を怒らせた事、後悔させてやるわ。
来週には土下座させて、二度とでしゃばれないよう
にしてやる。
事情を全部説明すると、愛子は腐った根性を叩き出してや
ると意気込んでいた。
しばらくは愛子に任せて、様子を見る事にした。
朝起きると晴翔に電話でこれからの予定を話しておいた。
晴翔 「さすが先生です!」
美桜 「腐女子はどこにでもいるからね。連携は完璧よ」
春花 「美桜なら力尽くで潰しに行くかと思ったけど?」
美桜 「そんな事しても解決しないじゃない〜。もう、力
でねじ伏せるのはやめたのよ!」
晴翔 「すごいっす」
美桜 「って訳でしばらくはやっぱり裕之くんについてて
あげてくれる?」
春花 「私からもお願い。私にできる事ならなんでもやる
から!」
晴翔 「もちろん!な…なんでも言っていんすか?なら、
今度の玉×清の顎クイ描いてほしです!」
美桜 「それ、私もほしい!」
春花 「あーー。はいはい。描いておくわ。」
腐女子を完全に敵に回した草壁真奈美への復讐が密かに動き
はじめていたのだった。