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その恋、応援します!!  作者: 秋元智也
11/41

牽制

かっこいい事言ったと晴翔は考えつつ、裕之を家まで送ると、ちょうど春花

と一緒になった。

公園で少し目を冷やしたけど、それでも泣いたあとはしっかりと赤く残って

いた。

気づかないフリして接するように合図を送り、春花もそれに従った。


 春花 「晴翔くん、気をつけて帰ってね。裕之今日は楽しめた?ほら家に

     入るわよ。先に風呂行くでしょ?」

 裕之 「…」

 春花 「ほらほら、入った、入った。」


無理やり引っ張るように連れ込むと風呂場に押し込んだ。

着替えを取ってくるとまだ入ったところで突っ立っていた。


 春花 「着替えは置いておくわよ。さっさと入っちゃいなさい!」


返事はないが、ここはそっとしておく。


しばらくしてから、部屋をノックする音が聞こえてくる。

 

 春花 「はーい」

 裕之 「ねーちゃん、上がったよ。」

 春花 「分かった〜」


ここはあえて本人に聞くまいと心に近い、グループラインで晴翔と美桜に

事情を聞く。

そこでさっき公園で話したことを聞かされた。

なにも言えず、今日のところはそのままにしておく事になった。

明日は学校で隆盛と裕之が会う事になるが、そこは同じ学校の晴翔に任

せるしかなかった。

せめてもの救いは草壁真奈美が同じ高校ではないという事実だった。


朝、憂鬱な気分のまま裕之は学校へと向かった。

気を使っている姉の態度はむしろありがたかった。

いつもはなんでも聞いてくるのに、昨日は何も言わずただ待っている感じ

だった。


 晴翔 「おはよう〜。ひろ元気ないぞ〜」

 裕之 「おはよ!うん、大丈夫だよ」

 晴翔 「お!りゅうじゃん、おっはー」

 隆盛 「おはよ。ひろ、あのさ…」

 裕之 「…はる、教室行こう。」

 晴翔 「お…おう。」


裕之は晴翔を引っ張るように教室へと入っていった。

隆盛とは目も合わせる事なく。

隆盛はというと、事あるごとに話そうと試みるが、裕之が完全に話す気

がないのか避け続けた。

裕之が日誌を出しに行った時に、晴翔が隆盛に声をかけた。


 晴翔 「りゅう、今はやめとけ。しばらくそっとしてやれって。」

 隆盛 「違う、誤解なんだ。早く誤解を解かないと…」

 晴翔 「それはひろもわかってる。だからしばらく待って!」

 隆盛 「何を分かってるって言うんだ!」

 晴翔 「お前の考えてる事だよ、元カノの草壁真奈美の事。俺が話した

     から…ちゃんと分かってるんだって。でも、今はそっとしてや

     れって。ちゃんと仲直りの時間作ってやるから…」

 隆盛 「…分かった。今日は先に帰るよ」

 晴翔 「おう、そうしてくれ」


裕之が戻ってくる前に隆盛は校門を出て帰って行くのが見えた。

しばらくして裕之が帰ってくると、キョロキョロと周りを見回した。


 晴翔 「りゅうなら、先に帰したよ。今は距離を置きたいだろ?」

 裕之 「うん…ありがとう」

 晴翔 「い〜え〜。じゃ、一緒に帰るか?」

 裕之 「うん。」


二人で話しながら校門を出ると、外でこちらを気づいて近づいてきた

人がいた。

晴翔は裕之を遮るように前に出ると、目の前の女性を睨みつけた。


 草壁 「君って昨日隆盛と一緒にいたわね?」

 晴翔 「なんの用だ?別に用事はないだろ?」

 草壁 「別に貴方には聞いてないわ。そこの君に聞いてるの。昨日は

     隆盛と何してたの?」

 裕之 「何って…友達と遊びに行くのがいけないの?」

 草壁 「友達?本当にただの友達なら構わないわ。私の彼氏に手を出

     さないでくれる?男なのに男を誘うなんて気持ち悪いわ。」

 

言いたい事だけ言うと、そのまま帰っていった。


 晴翔 「あいついけすかねーやつ。ひろ気にするなよ!」

 裕之 「うん…でも、彼氏って…」

 晴翔 「あんなの気にする事ねーって。気になるならりゅうに直接聞

     けばいい」

 裕之 「…そうだね」

 晴翔 「まぁ、あの女の言うことは聞かなければいい。」

 裕之 「はるがいてくれてよかった。」

 晴翔 「いつでも、頼れよ!」

    (推しカプを潰す輩は俺が許さねーから、お前らの愛は絶対に

     俺が守る!)


晴翔は心に誓うと裕之がちゃんと家に帰るのを見届けた。

それから、隆盛に電話して、今日あったことを事細かに話した。


 隆盛 「あの女、ひろに牽制しにきたのか?」

 晴翔 「俺がいたからいいけど、一人にはしない方がいいな!」

 隆盛 「分かった。俺からもちゃんと言っとく。」

 晴翔 「おう!」


それだけ言うと、おねーさん達のグループラインにも今日の出来事を

流した。

リアル推しカプにちょっかい出してくるのをただ見ているだけという

のも、気に入らないとばかりに草壁真奈美の通っている学校を教える

とあとはおねーさん達に任せた。

制服のまま会いに来てくれたおかげで特定が容易だった。



 草壁 「あーつまんない!ちょっと慎吾なんとかなんないの?」

 神谷 「はぁ〜俺に聞くなよ!それに最近、高橋隆盛と一緒にい

     ねーぞ?」

 草壁 「そうなの?でも、なんか引っかかるのよね〜あの子…」

 神谷 「そうか?家までツレと帰ってるから拉致れねーぞ?まぁ、

     可愛い顔してっけど、結局は男だろ?」

 草壁 「そうよね〜。でも、女に興味ないって事は男とって思っ

     ちゃうじゃない?私より男を選ぶなんて許せないわ!」

 神谷 「俺だって男なんか抱きたくねーよ。ただし真奈美が俺の

     女になるんだっら話は別だぜ?」

 草壁 「分かったわよ!ちゃんとやらせてあげるわ。でも、分か

     ってるわね?」

 神谷 「へいへい。しゃーないな!」

 草壁 「なら、さっさと行ってきてよ!」


神谷慎吾は腰を上げると出ていった。

残された草壁真奈美の元へ隆盛から電話がかかってきた。



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