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この街で生きている  作者: Cook's Leon
2/11

プラネタリウム

ふゆ【冬】


四季の第四。秋と春の間で、日本では12月から2月までをいう。暦の上では立冬から立春の前日まで(陰暦では10月から12月まで)をいい、天文学では冬至から春分まで。寒く、夜が長い。


出典:デジタル大辞泉

朝、辺りは静まり返り、ただ自分の吐く白い息だけがフワフワと中を舞っていた

仕事から帰るこの道で、毎朝この街に釣り合わない古びたプラネタリウムの前を通る。

そのたびに、あの冬の一夜を鮮明に思い出す。



「なぁ」

「はい?」

「この後一杯飲まない?今日俺早く上がるし明日休みだろ?」

「ん〜、いいですよ」

「やった」

この店でホールをやっている彼女を誘ったことに、特に意味は無かった。

客が落ち着いてきた、今日は夜が明ける前に仕事が終わる、その時たまたま彼女が食器を下げに来た、それだけだ。


彼女は保育士を目指し 絶賛修学中の女子大生だ

愛嬌があり、少し天然で 黒い瞳に吸い込まれそうになる 多分、モテる が、俺の誘いに躊躇いもなく乗ったということは...だ


そうこう考えながら食器を洗って居るうちに、営業が終了した。

「じゃ、あと頼むわぁ」

と店長が大きなアクビをしながら裏に帰って行く

「「お疲れしたぁ〜」」

「お疲れ様で〜す」と彼女も裏に続く

「よし、ケイスケ チャチャっとやっちまうぞ」

明日から数日休業になるため、明日の仕込みをする必要がないのだ


「まだかかる?」

と私服に着替えた彼女がキッチンにひょこっと顔を出す

「おう、マリちゃん お疲れ、腹減ってる?」

「お疲れ〜ペコペコだよ」

「軽く飯作ってやるから座ってな」

「ケイスケの分も作ってやるから片付けしといて」

「了解っス」

カルパッチョやオードブルに使う海鮮類は足が早いため 休業の前は捨ててしまう

コレばっかりは調理師の役得だ。


「はい、おまたせ!バルで出す特製海鮮丼だ!」

「「いっただきまーす」」

いつの間にか席についていたケイスケとマリがハモる

「うん、やっぱりこの鯛安いのに旨いな」

「そうッスね また入れましょう 余る位ŧ‹”ŧ‹”」

「おいしー」

「ハハッ店長に話しとくよ、ケイスケあとのクローズは任せていいか?」

「いいっすよ、ほとんど先輩やってくれましたし」

「んじゃ、あと頼むわ」

「マリちゃん、着替えて来るから待ってて」

「はーい」

私服に着替えて戻るとケイスケとマリは夜食を食べ終わり俺の名前が聞こえて来た

「...さんは...でさぁ〜」「へぇ〜」

「よう、おまたせ なんの話?」

「いや...別になんでも無いっす 仕事戻りま〜す」

とケイスケはササッと裏に逃げて行った。

「ふふwwどこのお店行く?」

「ん〜じゃあ タケさんとこ行くかどうせ暇だろ」

「タケさん?」

「近くて安くて人の居ない店、楽しみにしときな」


外に出るとまるで槍を構えて待っていたように冷気が肌を刺す

「っっさっむ!」

「ふふww寒いねぇ〜」

タケさんの店はここから歩いてすぐだ。


「ねぇ、ここ」

「ん?」

彼女の視線の先には古びたビルが建っており一階は何かのホールになっていた。

「ああ、ここ...プラネタリウム?開いてるの見たことない」

「それはスバルくんがいつも変な時間しか活動しないからでしょw」

「まぁね」

「っうう寒い早く行こ」

「止めたのお前だけどな!」

俺のツッコミを無視して彼女はスタスタと歩いて行く

「おい、どこ行くんだ」

「え?」

「ここだよ」

タケさんの店はそのプラネタリウムのすぐ裏の細い路地の中にあった

「こんばんは〜」

狭い入口をくぐると中には街としてはかなり広いお店になっていたが、客は1人も入っていなかった

「おう、帰れクソガキ」

カウンターの向こうで煙草をふかしながらだらけている老人が答える

「タケさん、俺いつものちょーだい」

「うるせぇ、てめぇはセルフだ

お嬢ちゃん、何飲む?1杯目はおじさんの奢りでいいよ」

「ふふwwじゃあお言葉に甘えて」

ブツブツと文句を言いながら自分の分を用意していると

「おい、彼女の分も作ってやれ 俺は野暮用でな」

「今客来たとこだけど?」

「お前が店番しとけ 金は盗るなよ」

「...わかったよ」

そう言うとタケさんはカウンターの裏の階段を登って行った。

「ふふwwどういう関係なの?」

「ん〜、俺はあの人のことあんま知らないんだけどさ、何故かあの人なんでも知ってるんだよね」

「へ〜超能力者かなにか?w」

「よく分かんないけど、めちゃくちゃ口は悪いけど、面倒見のいい人だよ」

「温かいの出すからちょっと待ってね」


マグを差し出す

「うわっなにこれ、美味しい」

「ホットワイン 寒かったからね」

「コレが...初めて飲んだ」

「他にもなにか飲んでみたいのとかあったら言って、この店 何でもあるから普通無いようなものも この前来た時は裏にウィスキーの樽がおいてあった」

「こんなに広いお店持ってるし...タケさんって...何者?...」


彼女とは 他愛のない話を延々としていた お互いスマホで調べながらありとあらゆるお酒を色々な飲み方をした


「あのプラネタリウム、また見たいなぁ〜」

「ん?そこのやつ?行ったことあるの?」

「そう、昔お兄ちゃんとね〜こっち側来ないからここにあるの知らなかった」

「お兄ちゃんいるんだ」

「居るよ今のスバルくんと同じくらい」

「ついに呼び方まで名前呼びになったね」

「だってお兄ちゃんみたいなんだもーん」

そう、彼女と俺は両手の指で足りるか足りないかというレベルには 歳が離れている、そのため仕事中は敬語だが 終わった瞬間タメ口になるのだ

その理由が知りたいというのも今回誘った理由の中にある

「お嬢ちゃん、あそこのプラネタリウムのお客さんかい?」

「うわっ!」

気がつくとタケさんが音も無く隣に立っていた

「タケさんだ〜」

彼女はすっかり酔っ払っている

「おい、お嬢ちゃん連れてプラネタリウムの入口で待ってろ」

「え?」

「荷物はそのままでいいからよ」

彼女に上着を着せ自分も身支度を整える

「行こっか」

「どこにぃ?」

「多分、タケさんの知られざる顔がまた見れるよ」


彼女を支えながら路地を抜けプラネタリウムの前に出ると

「ほら、早く入れ」

と、タケさんが待っていた。タケさんは俺達が出たときはまだ店にいたはずだが...この人は気にしたら負けだ

中に入ると、外見とは違い隅々まで清掃のされた綺麗なロビーになっていた。

「中で座って待ってろ、他の客も入るから静かにな」

案内されるまま中の席に腰掛けた 実はこのリクライニングチェアが大好きだったりする。

しばらくすると数人が入ってきて暗転し 上映が始まった

真っ暗な空に一面星が眩く光る 息を飲む美しさだった ナレーションが流れる 心地よく響く低音に夢を見ているような感覚に落ちいる

と、右手がキュッと弱く握られる。

右を見ると彼女は俺の手を握っていた

その手を握り返し 俺もまた星空へ意識を移した


気がつくと、上映は終わり俺と彼女に毛布がかけられていた。

どうやら寝てしまっていたらしい。

何年ぶりかのとても心地の良い眠りと 目覚めだ

右手は未だに握られたらままだ、時間を確認すると もうすっかり朝だった。

「マリちゃん、起きて」と肩を揺らす

「んん...ん?」

「おはよう...ございます」

「おはよう すっかり寝ちゃったねw」

「...うん」

「一回荷物取りに戻らないとな行こ」

まだ寝ぼける彼女を立たせ手を繋いだまま店へ歩く

(開いてるかな...)

その心配は無用だったお店に入ると

「おはよう」

とタケさんが迎えたくれた

「ほら、食えよ」と

カウンターに焼きたてのトーストとベーコンエッグ、淹れたてのコーヒーが並べてあった

「...タイミング...どうなってんの...」

ボソッと呟いてしまう

「最初に言っただろ おじさんは魔法使いだって」

「覚えてないよ」

「いただきます...美味しい...」

彼女はカウンターにつき半熟に焼かれた目玉焼きをつついていた

「お前もさっさと食って帰れ、金は全部給料から天引きしとくよ」

そう言い残すと、昨晩のようにまた 階段を登っていった

(天引きって...)

「なんか凄くいい夢見た気がする」と

左手をトーストに伸ばそうとし その手が俺の右手を握っていることに気付く

「...!!ごめんなさい 気付かなくて...その」

「いや、いいよ気にしないで」

と 右手を離そうとするが、キュッと握られる

「...?」

「あの、こんな朝から言うことじゃないでしょうけど...」

「ん?」

「やっぱりいい...です」

そう言うと手をほどきトーストに手を伸ばした

俺はコーヒーを1口飲み 息を吐く

そして、自然と口から言葉がこぼれた

「俺もうおじさんだけどさ もし良かったら 俺の彼女になってくれないかな」

「ゴホッ!」彼女がむせる

その背中をさすりベーコンエッグをトーストに乗せていただく とても美味しい

「よろしく...お願いします」

そうボソッと呟くと彼女もまた 朝食に手を伸ばした


書いてる時に死にたくなりましたw

恋模様的なものを書くのは初めてなので恥ずかしくてもう アキラ100%のモノマネした方がマシくらいです

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