歌舞伎町の女王
占い師うらないし
[意味]
人間の将来や運命、物事の成り行きなどを予想することを職業とする人。
出典:類語例解辞典(小学館)
本当の意味で魔法使いと呼ばれる者たちはこの時代ではほとんど見かけない。
人の歴史の始まったときから有るその存在は今も少数細々と暮らしているが、表舞台 人の歴史の紡ぎ手を、科学という魔術に継承したのだった。
「なぁ、あいつらって今も活動してんの?」
話が終わり、一段落ついた静寂を切り裂いたのは頭が完全に白髪に覆われた老人だ。
「さぁねぇ、70年前に代替わりしてから話は聞かないけど」
「やっぱりか、いよいよ本格的に俺達も用済みなんだなぁ」
イギリス イングランドのロンドンに本拠地を置くある集団は元より人である魔術師達が魔法使いについて調べ、魔術として魔法を人が使えるようにする事を目的に作られたものだった。しかし、その理解を深め、より多くの人間が使えるようにしていくなかで科学と呼ばれるようになった。
「にしてもお前、若作りし過ぎだろ最初困惑したぞ」
「あらそう?似合ってるでしょ」
昔からこの男にはデリカシーの欠片もない、もうとうの昔に諦めた。
「そうそう会える仲間なんてお前位しか居ねぇんだぞ?もっと会いやすい感じにしてくれよ」
「そう言う貴方だって、かなり若い言葉使うじゃない、昔みたいにわしとか拙者って言わないの?」
「お前こそ妾はどうした?」
まったく、この男は…
「ん…、そろそろお客が来るみたいだから裏で待っててちょうだい」
「いや、もう帰るよ」
「あら、久しぶりなんだからゆっくりしていけばいいのに」
「そのうちまた来るよ 別に俺の店に来てくれてもいいんだぜ?、何か思い出したらメールしてくれ」
スマホをヒラヒラと揺らしながら名刺を置き外へと出て行く。店の中まで響くエンジン音を響かせ、彼は東洋一の繁華街を後にした。
今から来る客のために部屋中に置かれたアロマキャンドルへ火を点す、こんな雰囲気の何がらしいのか、未だにわからない。
「…どれだけ人の真似をしても貴方は…」
それは彼自身もわかっているはずだ、もう、何度も、何度も何度も何度も何度もそれを味わってきたはずなのに。
「ホントに…馬鹿な人」
全ての蝋燭を点して席へつく。
「いらっしゃいアヅマさん、どうぞ入って」
ドアが開き派手な格好をした中年の女が、入って来るなり下品に話しかけてくる
「貴女どこにカメラ付けてるのよ、そろそろ教えなさいよ」
皆同じことを言う、こういうときは決まってこう返すのだ
「そんなもの無いわ?何度も言ってるでしょ、私は魔女だって」