ある日の日記・48回
四十八回
今日、管理人からまた自分の名声を汚すようなことを言われて戸惑いました。
「奴のこすいのは俺が一番よく知ってるよ!寮の毛布や座布団を自分の車に使おうとするんだからなぁ~。本当に汚い奴なんだよ!」
‥確かにあれを使用しようと思い、座布団は今使っているが、たかがそれくらいのことで、こすいという汚名をきせるのはひどすぎますよ!
俺だって寮友会費を納めている身だし、寮の人間なんだよ!
他の者は毎日使っているものじゃないか!
会費を払っても俺はチッともその賄いを受けていないし
座布団ぐらい借りたって何てことないんだよ!
それをこんな風に言った挙げ句、あの時、頭にきて
彼は俺のハサミを横領したみたいなのだ(これは当たっていないかもしれないが。車のそばに置いていて、いくら捜しても見つからないんだから、そうとしか思えないのだ!もし間違っていたなら謝ります!ハイ)
実に意地の悪い人ですよ。まったく!
しかしいったんこじれたことで、やってしまったことだし
彼も返したくても返せないだろうし
自分も分かっているから、そのままほったらかしにしていようと思います。
ハサミくらい、いつでも買えますからねっ。
彼のことは許してやることにします。
ハイ!
十二月十八日
もうこれ以上考え込んでいたってきりがないことだ!
落ち着くこと。
それしか解決の道はない!
誰も自分に敵意を抱いている者なんか居やしない。
やれる!
皆と仲良くしさえすれば、この会社で身を立てていくことも出来るんだ!
今日、川口の店に行こうと言っていながら行かなかったことをお詫びします!
「姉さん姉さんとまつり立てたいんなら毎日来るべきだわ!」
‥ごもっともです!
もうママさんに一存しよう。
サッチャンと‥‥
結構相性が合って、うまくいくかもしれない‥
落ち着いたらすべての悩みも迷いも解消することだ。
これ以上塞ぎ込んで考えていたって何の進歩もないことだ!
もう落ち着こう‥
落ち着いたら、もう君達と語り合うことも出来なくなりますねっ。
寂しいことだけど、いつまでもこのような交際をしていたってキリがないことだし
この辺でお別れすることにしましよう。
サヨウナラ
十二月二十日
いよいよ暮れもおしせまり、今年一年の出来事を思い起こす頃となりました。
僕がある人に恋心を抱いて身をたて直そうと、この会社に入ってからの一年間というものは
ただ訳も分からず、仕事を覚える事だけに没頭していました。
他の娘に恋心を抱いても、いまだ落ち着くだけの力がないことを嘆き
ただ指を加えているだけの一年間でした。
この女性への憧れの気持ちが、どれほど自分の心を苦しめているか?‥‥
計り知れないものがあります。
持ちさえすれば、全ての悩みも苦しみも解消すると分かっていながら。
どうしてもいい加減な身なりでは持つことが出来ないでいるのです。
今年一年間というものは、その足りない力をつける為に
また他の全ての事をふり切って没頭してきました。
今においても、自分がまったく人とかかわらず、自分事のことばかりに夢中になっているということで
自分本意な人間だとか、気狂い、片はだとかいう汚名を授かるほどの、たくましい身分になることが出来ました。
僕にとっては、そのような立派な勲章なんてどうでも良いことなんです。
ただ君達(女性)と結ばれたあかつきには、立派に幸せにしてやれるような自分になりたいということだけが僕の夢だったのです。
他の一切の欲などまったく持ち合わせていないのです。
人の上に立つことも、人を引っ張っていくことも。
皆と仲良くすることも。
僕にとってはまったく興味が湧かず、結局孤立するはめになってしまいました。
僕にとっては、ただ君達を幸せにしてあげれる自分になりたいということだけを目標にしてやってきました。
その為にかえって孤立するはめになってしまいました。
このような立場に立たされては、いくら君達を幸せにしてあげれる力を持てたとしても
男の死に場所で花を咲かせられなくなった男なんて
結局君達に幸せをプレゼント出来ない男だと思います。
といっても、ここで諦める必要はないのですねっ。
これからなんです。 死に場所で花を咲かせられる力をつけていくのは‥‥
だから来年は、一歩前進して、その事を目標にしようかとも思っています。
この頃は、どのように人から批難されても、まったく気にならないほどズ太い神経を装えるほどになりました。
ド胸がついたのか? それともただふて腐れて出来ているのか?
は、知りませんが。
とにかく以前のようにコソコソと逃げまわるような、ひ弱な自分ではなくなったように思います。
これが一時的なものではなく、今後益々、大きく成長していくものであったら
もう自分には怖いものなしのたくましい人間になれるのではないかと思います。
この点においてはまだハッキリしませんので、もうしばらく様子をみてイキがろうと思います。
今は確固とした自信もありませんから、いくら他の者からケンカを吹っ掛けられても、それに乗る気構えが出来ないのです。
けなしたけりゃ~、さんざんけなしてくれ!
もし俺が本当に力を持てた時には、奴等なんか一言も口を挟ませないほどの知力と権威を獲得してやるからなっ!
その時になって後悔しても知らんぞ!
などと、心の中でいきがりながら
今の所、彼等のいきがっている姿を嘲り笑っています。
とにかく、人のことにまったくかかわらず、手助けもしていない現在の自分の態度の悪さは、謙虚に反省しています。
今後その点を直せるかどうかは分かりませんが
とにかく反省していることはしているんです。
申し訳なく思います。
心の目に色々。
色、形の違ったサングラスを掛けて人を見つめてみると
本当に同じ人間でありながらこうも様々
人格、力量の違う人間がいることに驚かされます。
今まで、この日記でさいさん人の人格、力量を分析し、批難してきたのは
ただその点における勉強を試みただけのことです。
まったく彼等に対して敵意も対立心もないことなんです。
彼等はまだ、僕の攻撃によってうけたキズを恨んで、自分に敵意を抱いているようですが。
もう僕としては、今後まったく攻撃を企てる気持ちもなく、興味もなくなってきました。
この点における勉強は終わりましたからねっ。




