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一滴の波紋【原文】1巻の2  作者: 藤田 ユキト
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ある日の日記・95回


九十五回



 二月五日


 当然ですよね!


こんなにいい加減にしてるんだから――


君がとりつく気にならないのも仕方ありませんね。


僕はもうどうでもいいんです。


確かに苦しい……


苦しくて苦しくて、どうしようもない……


ひと時として君のことを忘れられそうもない。


思えば思うほど、胸がしめつけられるばかりなんです。


どうしてこの頃、僕がこんなにも一人閉じこもり、元気なくて――


しかもそのようにして、他の者のことをまったく関わらず「自分本位な奴だ」という批難を受けているのにも甘んじているのか?


そしていつもイライラし、ふて腐れてばかりいるのか?


それは確かに君とのことのふんぎりがつかず、また君のことが頭の中も、胸の中も、一杯だからなんです。


とても手につくものじゃありません。


仕事を離れた時間内というものは、とにかく空しくて空しくてどうしようもありません。


さりとて、いつまでもいつまでも そのような事に縛られていることも出来ず――

従って、この頃は信仰をしたり、本を読んだり、音楽を聴いたりして、何とか君のことを忘れようと努力してます!



とにかく目が覚めたら、スグに君の顔が僕の目の中に飛び込んで来るのです。


何とかして目をつむっていた睡眠時間の間だけが君のことを忘れられる唯一の時間です。


それもひょっとしたら眠っている間でも、君の夢ばかり見ているのかもしれません




 ただ、今は苦しい……


彼等は僕が深刻になって思いつめているなどとは信じてもくれません。


ただ「人の女を奪おうとしてやがるイヤな奴だ!」という――


その一言の一点張りなんです。


 もう僕はウンザリなんですよ。


こんなにも自分の心を理解できない奴等の中で生きていることが。

そして僕も、彼等の生き方など、まったく良しと認めきれない――


言わば、ここまで来てしまったら、水と油の関係同然の対立でしょうね!


これがいつの日か溶け合うようになれるのか?

今の僕には分かりません。


 しかし彼等の方からその努力を払う気を起こさせるようになるかどうかは分かりませんが……


僕としては何とか少しづつ、一歩一歩それに近づくように努力して行こうと思っています。


たとえ真から溶け合えずして終わろうとも、やれる所までやってみようと思っています。


 確かに今の状態だけを見ましたなら、まったく彼等の目に止まるほどの変化を示していないかも分かりません……


それで今の所、彼等はまったく変わっていないということで


「あんな奴、相手にすることないよ、放っておけ」などと


自分達がいかにも成長をしている生活でもやれているかのようにいきがっています。


今の僕は、確かにまだ本当に自分を自己改革出来るという自信は湧いてきていませんが、とにかく努力してます。


 だから僕は、たとえ今そのような嘲笑を受けていても、知らんぷりして


「アハハ、何にも分かってないんだなぁ~。今に、お前等の手にもおよばないようになるとゆうのに、その時が来てアワを食っても知らんぞ!」などと――


返って、僕の方が「マァ~マァ、良いじゃないか。今の所、奴等に鼻を持たせておこうや! 捨てておけ捨てておけ」などと、のん気に構えている次第です。




 でも、それでも前日無理したあくる日なんか、疲れて身も心もグッタリしている時――


急にショボ~ンとなって、目の前が真っ暗になることがあります。


本当に、自分はこの先、皆と仲良くなれるのだろうか?


この会社で勤めていくことが出来るのだろうか?


彼女の一人でも持てる時が来るのだろうか?


などと、急にショチャ~っ(ショボ~ン)と、弱気になることがあります。


今はまったく君のことで……


ただ君を思うことだけで、極端に、そう、うつ症が現れているみたいです。


毎日毎日、一時間一時間の間にも、僕の「そう」と「ウツ」の気分が、あざやかにコロッ、コロッと変わるのです。


 それは別に、本当の君の口から出た言葉ではありませんが――


とにかく、しょっちゅう――


アァ~、君達はまだ本当に悪霊君達の存在を信じられないでいるようですね!


マァ~、それももっと詳しく言えば、ただの幻聴なんです。


君達にも、たまに経験があるでしょう?


風の音とか、騒々しい所にいると、ふとその音が人の声みたいになって聴こえてくるというようなことが……


今、僕が言っているのは、そうゆう事なんです。


ただの音が人の声のように聴こえて、しかもそれが自分にとってはハッキリと辻褄のあった人の会話として聴こえてくる所に、これ程までに自分の心を捉え、信じ込ませ、縛り付けるのだと思います。


その事は、今は仕方がないのです。




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