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一滴の波紋【原文】1巻の2  作者: 藤田 ユキト
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ある日の日記・91回


九十一回



 二月二日


アァ~、また一つ悲しみが増えた


どうして君は……


アァ~、こんなにも可愛らしく思っているとゆうのに


君は、まるでカタツムリみたいだね


可愛くて頭を撫でようとすると


スグに、ピョコンと首を引っ込めてしまう


またしばらくすると、あたりをうかがいながら恐る恐る首を出してくる


アァ~、どうして君はそんなに可愛いのかい


どうして、いつも僕が君の肌に触れようとすると、スグ引っ込めてしまうのかい


アァ~、カタツムリさんよ、カタツムリさんよ


その恥じらい、初々(ういうい)しさ


まるで大和乙女のカラを背負っているカタツムリさんよ


もう僕は、触ったりなんかしないよ


サァ~、もうそんなに恥ずかしがらずに首を出しておくれ


サァ~、そんなに怖がらないで、首を出しておくれ


もういいんだよ


君に触れたりなんかしないよ


そんなにカラの中に閉じこもっていても、君の可愛らしさは分からないよ


サァ~、見せておくれ、僕(私)に


あのダイヤのように美しい、澄みきった心を


サァ~、見せておくれ、僕に


あの太陽のように輝かしい、うるんだ瞳を


サァ~、見せておくれ、僕に


あの真珠のようになめらかな、みずみずしい肌を


もう僕は触れたりなんかしないよ


いつまでも、いつまでも


君は僕だけのものさ


僕の宝物の飾り棚の上に、いつまでも、いつまでも


君は僕だけのものさ


サァ~、カタツムリさんよ


首を出しておくれ


僕にそのお顔を見せておくれ!


  自由詩『カタツムリ』より



1.


僕は今日も一人


舗道の片隅で、石けりをしています


君にふられた悲しみを、一つ一つ蹴っています


君の面影を追いながら、石けりをしています


ひと蹴りすると


最初に出会った君の恥じらい顔が


またひと蹴りすると


最初に約束した海辺のデートが


またひと蹴りすると


二人で眺めた夕日の丘が


またひと蹴りすると


最初に手を繋いだ夕暮れのススキ野が


2.


僕は今日も一人


静かな湖の岸辺に腰かけています


君と語り合った恋の面影を


石ころ拾って、湖の中へ投げ込んでいます


一石投げると


薄紫色のカーテンで仕切った、二人だけの小部屋が


また一石投げると


君がこしらえてくれたコーヒーの香りが


また一石投げると


可愛さにからかった、君の怒った顔が


また一石投げると


二人だけの小部屋からサヨナラした、寂しい君の顔が


3.


僕は今日も一人


カゲロウ君をつかまえて語りかけています


君とサヨナラした、愛のページをめくりながら


どうして君の生命は


朝日とともに生まれ、夕暮れと共に死んでいくのかい


どうして君の生命は、タバコの煙みたいにすぐ消えてしまうのかい


どうして君の生命は、もっと恋や幸せを味わおうとしないのかい


どうして君の生命は、恋も幸せも知らないままに終わっていくのかい


どうして君の生命は、そんなに短いのかい


  自由詩『カゲロウ』より




1、


僕は今日も一人


舗道の片隅で、石けりをしています


君にふられた悲しみを


一つ一つ蹴っています


君の面影を追いながら、石けりをしています


ひと蹴りすると


最初に出会った、君の恥じらい顔が


またひと蹴りすると


最初に約束した海辺のデートが


またひと蹴りすると


最初に手を繋いだ夕暮れのススキ野が



2、


僕は今日も一人


静かな湖の岸辺に腰かけています


君と語り合った恋の面影を


石ころ拾って、湖の中へ投げ込んでいます


一石投げると


薄紫色のカーテンで仕切った、二人だけの小部屋が


また一石投げると


君がこしらえてくれた朝一杯のコーヒーの香りが


また一石投げると


可愛らしさにからかった、君の(ふくれた)顔が


また一石投げると


二人だけの小部屋からサヨナラした、寂しい君の顔が


3、


僕は今日も一人


カゲロウ君をつかまえて語りかけています


君とサヨナラした、愛のページをめくりながら


どうして君の生命は


朝日とともに生まれて、夕暮れには死んでいくのかい


どうして君の生命は


タバコの煙みたいにすぐ消えてしまうのかい


どうして君の生命は


もっと恋の喜びや、幸せを味わおうとしないのかい


どうして君の生命は


恋の喜びも幸せも味あわずに終わってしまうのかい


どうして君の生命は


そんなに短いのかい


自由詩『さよなら』より





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