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一滴の波紋【原文】1巻の2  作者: 藤田 ユキト
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ある日の日記・81回


八十一回



 今は信仰のことで、ある壁にぶつかっている。

このまま突き進んでいいものか? どうか迷っている。


これを何とかしなければならないし、今はその事で頭が一杯なのです。


ハイ!


 とても君のことを考えてる余裕はないのだ!


これからの人生において、家庭を築いていくにも、信仰を土台としていかなければならないと思っています。


 とにかく信仰こそ人間にとって、その人生の目的と、意義を教えてくれるものはありませんし、当然必要欠くべからざることですからねッ。

この信仰をチャンとやれて、もし僕にも一人の共人ともびとが出来たなら、きっと幸福な人生へと変換できることは確実になるだろうと思います。


 だから今は信仰の面を確実に実践に移せるようになることが第一義であり、共女ともびとを補充することは第二義にしておかなければならないのです。


マァ~


――ということで、彼女を持つことは成り行きに任せておこうと思います。


その内、いやがおうでも持たなければならないでしょうし、放ったらかしていても必ずその日は訪れることですからねッ。


もしその日が早ければ早いほど良いのですが――


しかし今の自分にはその時間を左右するだけの意思と実行力がありませんので――


とにかく成り行きに任せておくしかないのです。


ハイ!


 一月二十七日


 アァ~、どうして現代の人間(会社の連中)は、この純粋な恋(愛)というものを理解できないでいるのでしょうか?


確かにあのように血のつながった兄弟(姉妹)のような、砕けた心の触れ合いをしていることは――

人として心強く、微笑ましいことだと思います。


本当に兄弟(姉妹)という自覚があってしておられるのでしたらねっ。



 しかし見て下さい。


確かに彼等には何か一つ欠けているものがあるような気がするのです。

あんなに砕けてほほえましくしている裏に……


無気味な悪魔の忍び寄りの足音が聞こえてくるのです。


確かに自分の耳には聞こえてくるのです。


アァ~、神よ!


彼等に自己を省みる真実の人生(人としてあるべき真の姿の自覚)に目覚めさせる戒めの罰をお与え下さい!


そうでもしないと、彼等はいつまでたっても自己の愚かさに気が付かず、自己のちっぽけな生命いのちに甘んじているこのになります。


 今の自分にはとても彼等にそのようなこと――


力をおよぼすほどの力量など持ち合わせていませんし――


従って彼等が貫禄を振りかざすままにまかせ、自分はちっちゃく縮こまっていなければなりません。



 何とか彼等の傲慢さを叩きのめして、あなた様(一切衆生の仏性)の足元にひざまづかせたいのです。


とにかく彼等には自己を内省する力さえ失われているのですから

ねっ!



そりゃ~、確かに人間皆兄弟(姉妹)ですから、幼き頃(物心ついた頃)より知ってきた身内同様の愛情がごとく振る舞うのは実に微笑ましいことだと思います。


そのことを会社組織(職場仲間同士の間)の中で現すことを夢(理想)としていた頃もありました。



 しかしそれは前にも言いましたように、現代の世の中のように混乱した社会にあって、その冷酷さを重々味あわされてきた自分にとっては、とてもその現実が信じられなくなったのです。


たとえ今こうして目の前でその現実を見せつけられていてもねっ。



 所詮あんなにしていても、裏を返せば一人一人自分の我欲を満たすことしか考えていないんじゃないかと、すぐ疑ってかかるのです。


そのことに僕の愛情が拘束されて、とてもなじむことが出来ないでいます。


今の自分にとって、そこに飛び込むことがどんなに幸せで安泰するかしれないのです。


しかしとてもとても、今の自分の疑惑の念からしては途方もなく、隔たった未知の世界のように思えてくるのです。


見て下さい!


本当に彼等がそのような崇高な愛情(寛大な愛情)というものを持ち合わせて行っているというものでしたら――


とても自分に対してこのようなひどい嘲笑と、冷酷さを投げつけるはずわないのです。


それはあたかも痩せ犬の集団の中に、行くあてを見失い腹を空かして困っている野良犬が紛れ込んで、仕打ちをされている悲惨な情景を思い浮かべます。


こんなに野も山も(人の心)荒れ果てた世の中にあって、安定した食糧(人の心)を確保するだけでも大変だという中で――


それを獲得するのに血まみれになり闘争しなければなりません。


とてもとても一人で居たんじゃ生きてはいけない状態なんです。


そんな中で、もし途方に暮れ、自分の食糧さえ獲得できないでいる野良犬が紛れ込んでも、まったく助けてやることすらしないのです。



 確かにその集団の中では全体の生活(生命)を保持する為に、お互いが力を合わせ、助け合い、励まし合っています。


その愛情というものは、凄まじいほど力強い絆で結ばれています。

それが……


それがどうでしょうか?



 野良犬一匹舞い込んだだけでも、自分達の食糧のわけまえが足りなくなるといって、つっけんどん(突き放す)にしてしまう――


そのような事態を想像するにつけ、その集団の愛情というものが欺瞞に凝り固まったものであるかが察知できるものと思います。


言わば彼等の団結心というものは、そのように他愛のないものなんです。


もし困っている者を一人でも救ってやろうとしている団体であったなら――


たとえ僕のようにひねくれ、要領の悪い者(いわば前の例では、野良犬に当てはまります)が、その群れに馴染めないでいるからといって、いとも簡単にのけもの扱いするはずはないのです。


いかに自分達の分け前が少なくなろうとも、そのような冷酷な仕打ちをすることなど考えられないことだと思うのです。



 もし僕のような愛情を持った人達の集団であったなら、多分自分のようなよそ者的性質(気質)を持っている者であっても、その気質を汲んでやり、その者に都合の良いように待遇を変えると思うのです。


彼等は単に真の人間としてあるべき心で結ばれ、団結している集団でわなく、ただ自分が困らないようにする為に、ただその集団に馴染んでいるだけなんです。


そうでもしないと、とてもこのようにすさんだ現代(世の中)を生きていくことは出来ませんからねっ!


 彼等に望むことは、そのような寛大な愛情に目覚めてほしいということです。





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