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一滴の波紋【原文】1巻の2  作者: 藤田 ユキト
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ある日の日記・78回


七十八回



――いわば、これまでの自分の悪業は、ひとえにそのことを体得する為にあったのではないかと思います。


そして彼(彼等)に物足りなさを感じていたのは、その真実の道理というものを踏まえないでいることにあったのだと思います。


(彼等)にとって、そのことを覚知せず、あのような素晴らしい幸福境を涌現ゆげんさせていることが出来る天分が羨ましくも思います。


(彼等)の姿そのものは「まっこつ(まこと)しんの人間にふさわしい姿」であることを賞賛するのです。


 がしかし、僕は自身それを現すにも、その根底を貫いている道理を踏まえて涌現させたかったし、今後は多分この宗教哲理(信仰)にのっとっていけば、きっとその輝かしい自分の未来像は実現できるものと確信しています!


僕にとっては、一切が今後の活動如何にかかっているのです。

そしてその実現が確実に保証されているのです。


 (彼等)に今一度、声を大にして叫びたいのは――


折角そのような素晴らしい幸福境を実現させ得る天分を授かっているのだから、それをもっと掘り下げ、域を広げ、確固たるものにする為に、その道理をシッカリと踏まえてもらいたいとゆう事です。


確かに(彼等)の今現在の幸福境には、付け足すものなど何も要らないかもしれません!


それに甘んじて生きても決して苦しみ多い人生を送るようなことはないかもしれません。

しかし……


 しかしやはり、人間にとって最高に生き甲斐を与え、生きる目的、生死の空虚さを解決してくれるものは――


その道理をわきまえるしか無いのではないかと思うのです。


たとえ今現在のままで幸福だといっても、その道理を覚知したなら、それに幅をきかせて確実化し、拡大化し、深淵化し――


そしてその幸福境は益々深く、素晴らしくなると思うのです。


 今の僕にとって、(彼等)に求めているものはこの事なんです!――ハイ!




 今は(彼等)の無知からくる悪いウワサをブリまかれて、後輩にまでバカにされている無様な立場に落とし込まれています。


しかしその他愛の無い嘲笑の渦も、僕がそのことを覚知し、涌現出来るほどの力を備えて、一声発すれば一瞬にして壊滅させ得る自信(確信)を持っています。


 だから今の所、(彼等)に情けを掛けてやっているのです……


いつの日にか、惨敗する惨めな姿をあわれんで、それまで楽しませておこうと思っています。


 でわ、今日の所はこの辺で失礼します。


オヤスミナサイ


午前0時55分 消灯



 一月二十二日


 昨日のようなデッカイことを言った手前「さて、どうしたら良かろかいニャ~」と――

チト心配になってきたのです。


ただ、今以上には良くなるだろう――


良くならなければならないということで、今後の目標を掲げたにすぎないのです。


「あの野郎、まだ懲りずにあんなこと言ってやがる。いい加減にせんと本当にぶん殴るぞ!」という恐ろしい後声を受けて、僕は一瞬たじろいでしまいました。


そしてやはり本当に確信出来た時、もう一度昨日のような言葉を、キ奴らの前で堂々と演説ぶろうと思っています。


それまで、もうしばらくおとなしくしていようと思ってます。


 思っています。


  思ってますで終わり!




 今は、まだ君達が見ているとゆう錯覚がしていて、チョッピリ面白半分な気持ちでお題目を唱えています。


本当はこのようにいい加減な気持ちであげることは意味がないのです。


もっともっと真剣に心を込めて唱えなければならないのです。


そうしないと自己の内に閉塔している仏性が開かれず――

従ってチッともその生命が涌現してこないのです。


 それはさておいて、やはりこの信仰(勤行)というものは素晴らしい力が秘められているとゆう実感がウスウスと感じられてくるようです。


何しろですね!


不思議なことに、この勤行ごんぎょうをやっていると、昔々僕が田舎に居て貧しい生活を送っていた子供時代の思い出が脳裏を霞む思いがしてくるのです。


その頃の気持ちとゆうものは、まったく汚れもなく、醜い欲もなく、苦しみもありませんでした。


その頃の思い出が不思議と脳裏をかすめるのです。


それはどうしてなのか?……


 やはり曇りある心が清められて、全ての煩欲から解放されるからではないでしょうか?


そしてそれが人間として一番大切な境涯ではないかと思います。


最初は入信に戸惑い、お題目を唱えるのもコッ恥ずかしい思いをしていましたが――


それでも今は、やはり思い切ってやってて良かったとゆう気持ちがしています。


今までどうしても解放できなかった心の空洞(空虚)というものが、これによって確かに一つ一つ埋められていくような思いがしています。



 とにかくこれは本当でしょうかねぇ~?


「女性の憧れの的だとゆうほどの人が、あんなことで悩んでいるなんて、本当に情けない(嘆かわしい)わねっ! 死ぬことなんか考えることもないのにバカだよ! あの人も……」


――もしこの言葉が本当だとしましたならば「僕はどうしたら良かとかねえ~」と、すぐ戸惑ってしまいます。




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